見出し画像

潮風香る酒蔵で、震災を乗り越えた伝統の酒造りを取材した話|ふるさと納税#4

1.ふるさと納税とは?

こんにちは!宮古市地域おこし協力隊の笹原です!

今回も、宮古市にふるさと納税をした際に選んでいただける、返礼品の生産者さんを取材した記事を投稿していきます。

ふるさと納税とは、あなたが応援したい自治体に寄付ができる仕組みのことです。ふるさと納税の寄付金は税金の還付・控除が受けられます。
さらにお礼品として、自治体から特産品や宿泊券などをもらえる、とてもうれしい制度です。

さとふるより引用

第4回目の今回は、東日本大震災を乗り越えながら、宮古市で170年以上の間日本酒を作り続けている菱屋酒造店ひしやしゅぞうてんさんにお邪魔させていただきました。「男山おとこやま」の名前を冠して、酒造りを続ける菱屋酒造店さんの魅力と返礼品の特徴に迫っていきます。

2.いざ!菱屋酒造店へ!

宮古市鍬ヶ崎下町にある菱屋酒造店さんにお邪魔しました。
醸造所に到着すると港町特有の潮の香りが風に乗って感じられます。それもそのはず、醸造所からわずか200メートルの距離には宮古港があります。魚市場や船着場など、宮古を支える活気のすぐそばで、宮古伝統の日本酒は作られ続けてきました。

宮古市内はもちろん岩手県内外に幅広い層のファンを持っている「千両男山せんりょうおとこやま」。取材開始の時間は朝7時からでしたが、早朝にもかかわらず丁寧にご対応していただきました。

醸造責任者の腹子さん

取材させていただいた日は、ちょうど今年の新酒の仕込みの日。
普段あまり見ることができない、仕込みの貴重な写真と一緒にお届けしていきます。

真新しい杉玉。

日本酒作りに欠かせない「米」と「水」。
菱屋酒造店では、こだわりの酒米と、自社所有の山から引いてきた湧き水を使って作られます。さらにそのこだわりは酵母にも。

洗米と浸漬の様子

今年の新酒には若者でも飲みやすいような味わいになるような酵母を使用しているそうです。

選び抜かれた酒米をまずは、洗米と浸漬。
この過程でも複数回、浸漬の具合をチェックして日本酒造りに最適な含水率にしていきます。一切の妥協が無いからこそ、あのスッキリした味わいが生まれるのだそうです。

協力隊の僕達が到着すると、すでにこしきを使った蒸米むしまいが行われていました。

こしき蒸米むしまいされる様子

家庭の炊飯と同じように洗米と浸漬を行った酒米を「炊く」のではなく「蒸し」ていきます。

蒸し上げられたお米は徹底した衛生管理のもと、麹を添加されて手作業で広げられていきます。蒸しあげられた酒米はすぐに麹菌を添加されて杜氏とうじさんたちによって麹室こうじむろに運ばれていきます。

蒸された酒米と麹を添加する様子
職人さんの目が光ります

麹を機械で振り撒くだけでは、発酵にムラが出てきてしまうため職人さんの目と手によって麹が添加されていきます。

麹室に搬入された酒米

麹室に搬入された酒米は麹室の名前の通り、麹が出来上がるまで保管・管理されます。

もとづくりの様子

熟練の職人たちの技によって、酒母の原料となる「もと」が作られていきます。ぐるぐるとかき混ぜながら、空気と米が触れ合うようにして、乳酸菌を増幅させて、日本酒作りに酵母を死滅させる雑菌が入らないようにしていきます。

その後、水を加えて、酒母しゅぼになっていきます。室内に入ると、フワッと酵母によって引き立てられたお米の甘い香りが感じられました。

酒母。発酵が進んでいる様子がわかります。

麹と酵母と乳酸菌の発酵によって表面にどんどん泡が出てきます。デンプンが糖に変わりアルコールを発生させています。この過程でもろみが作られていきます。

もろみが熟成してきたらいよいよ上槽じょうそうに入っていきます。醪から生酒なまざけを抽出し、ホースをつたって無色透明な日本酒が姿を見せます。

その後、宮古市民にはおなじみの新酒用の若緑の瓶に詰められていきます。

その後は日本酒の種類によってはここから熟成されていき、いつ飲んでも口当たりのスッキリとした辛口の日本酒が仕上がります。

ラベルを貼られるワンカップ男山

丁寧に従業員さんの手でパッケージされていきます。菱屋酒造店ではラベルはほとんどが手貼り。大きい小さいに関わらず、一つ一つ丁寧に心が込められていきます。いつもスーパーで見る形になりました!

3.最後に……。

海が近いこともあり、東日本大震災では甚大な被害を受けた菱屋酒造店さん。酒造りの火は消えそうになったこともありましたが、奇跡的に一つのタンクだけ海水の混入がありませんでした。「フェニックス」と名付けられたその日本酒から再び立ち上がり、宮古で酒造りを続けています。

そんな千両男山に合うおつまみと言ったら、やっぱり新鮮な海産物。
しっかりアルコールを感じる、キリッとした辛口には、宮古港で揚がった魚に限ります!ふるさと納税で一緒に海産物を頼んで、寒いこの時期には燗でもつけて、クイっと一杯、故郷に想いを馳せながら晩酌するのも風情があって良いかもしれません!

ドンコのたたきや鱈キクと一緒に……。

ペリー来航の一年前に「松緑」と言う名前のお酒から始まった、菱屋酒造店170年の歴史。伝統を守り続けながらも、美味しい日本酒づくりのために進化し続ける美味しさをぜひ一口飲んでみてはいかがでしょうか?


【現代の名工・辻村勝俊杜氏】千両男山 純米酒・山廃純米吟醸セット

【昔から変わらぬ味】千両男山 飲兵衛セット

【現代の名工・辻村勝俊杜氏】千両男山 大吟醸 「鴻」&欲張りセット

【現代の名工・辻村勝俊杜氏】千両男山 純米大吟醸&2種の純米酒セット

【現代の名工・辻村勝俊杜氏】千両男山 3種の大吟醸セット

また、菱屋酒造店さんのHPには他にも、種類豊富なセット商品やアパレルなどがありますので、ぜひ下記のリンクからチェックしてみてください。

菱屋酒造店 |商品紹介

宮古市地域おこし協力隊
文章:笹原爽志
写真:吉浜知輝

***

最後まで読んでいただきありがとうございました。
他の記事を読んだり、スキをしていただけるととっても嬉しいです!


この記事が参加している募集