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毎日note17|この愛、まだ使えますか?期限、切れてないですか?

毎日note、17日目。よろしくお願いします。


 無償の愛、という美しい言葉がこの世にはある。一番分かりやすく、かつ、身近に感じるのなら、それはペットに対する愛だと思う。

まもなく5歳を迎える、黒猫のもずくちゃん。我が家のアイドルだ。しかし、彼はどこまでも自由。実家に帰ってきて「もずちゃーん、もずちゃーん」と探し回っても、押入れやベッドの下から出て来ない。

もうそろそろ帰るよ、と声を掛け、玄関で靴を履いていると出て来る。せっかく会いに来たというのに、サービスはこれだけかい。そう呆れながらも、頭をぽんぽん撫でる。可愛くて仕方がない。ちゅーるを箱買いしてしまうのは、仕方のないことだった。

もずくちゃんを初め、他の動物に対しても、見返りなど一切考えない愛を与えてしまう。それは与えたいという意志ではなく、心が自然と分け与えてしまうよう。無償の愛というのは、自然に発生するものらしい。


 この頃、パートナーのKとの関係性で、色々考える時間が増えた。彼は私を大切にしてくれる。それを私はいつしか、当たり前だと思うようになってしまった。よくある話の中で、やっちゃいけないランキング上位に入るだろう。

実際、彼の溺愛ぶりは凄かった。最初は戸惑った。ムツゴロウさんに撫でられている犬たちの気持ちが、初めてわかった。Kにとって、私はそこら辺にいる猫と同じなのかもしれない。なぜかいつも、私の頭を嗅いでいた。やはり、猫か何かと思っているのだろうか。


思い切って、訊いてみた。

「 なんでそんなに愛してくれるの?私、何もしていないのに 」

「 君だって、道端で出会う野良猫が可愛くて仕方ないでしょ?。それと同じ。存在しているだけで可愛いの。しかも毎日そばにいるなんて、こんなに嬉しいことある? 」


驚いた。どうやら彼は本当に、私を猫か何かと思っていたらしい。


 私はもちろん、Kのことを大切にしているつもりだ。彼ほど素敵な人に出会ったことはないし、彼ほど私のことを大切にしてくれる人もいない。彼を傷つけることだけはしたくない、そう思っていた。

だけど。

私は彼を、心の底から大切にはできていなかったと知った。詳しく述べることは避けるけれど、私は彼のことを大切にしているとただ思い込んでいた。

その思い込みは、前回触れたモラハラの種も関係していると思う。

彼にとって「必要」な優しさが、私には欠けていた。なぜなら、その優しさの概念すら、持ち合わせていなかったから。


⁑ 

 彼との距離感が変わった。離れる為の溝ではなく、二人の未来をよくするための、必要な息継ぎだと私は信じている。

私たちは、あまりにも近くにいすぎた。壁に飾った絵は、壁から少し離れないと、全体像が見えない。私たちの関係も今、同じところにいる。

「二人」という絵を飾ったものの、好きが故に近くで見ようとして、何も見えてなどいなかった。なんとなく漠然とした「二人」の一部分を眺めて、全体像には目を向けなかった。お互いが、お互いに依存していた。彼は私を愛することに依存し、私は彼から愛されることに依存していた。「二人」が描かれた絵が、どんなものか見ようとしていなかった。


 以前より少しだけ、ぎこちない日々を過ごしている。ただの平和な会話は減った。家中に少し、真剣な空気が充満している。どうすることが二人にとって良い未来になるか、考えているから。(彼もそうだったら良いケド)

どうでも良いが、私はこれまでの恋人と、まともに喧嘩をしたことがない。

意見がすれ違うのが怖かったし、何より「だめだ」と思ったら、もう「だめ」でしか無かった。それ以上になる可能性は、ほとんど0だった。改善する為に向き合う勇気は、これっぽっちも無かった。

そんなこともあり、今回の衝突が、どうやって解決に向かえば良いのか戸惑っているのも事実。今まで、人間関係を精算し過ぎてきたツケが回ってきた。要らないと思って切り捨ててきた過去の関係を、猛省するばかり。

あの時、たくさんもらった数々の愛たちを思い出す。どれも美しく、トゲがあり、少し霞んでいる。

あの時はごめんね。そう言えたら楽なのに、それは絶対に伝えられない。離れていく辛さを与えてしまった私に残るのは、悔いと向き合う時間だけだ。

そもそも、それらの愛は、彼らにとってはもう、消滅しているに違いないのだけれど。


 愛には有効期限というものが存在するらしい。Kからもらった、たくさんの愛を、今になってもう一度使いたくなっている。たくさん受け取った愛を、今更たくさん私の愛でお返ししたくなっている。

愛に有効期限があるとするなら、彼がくれた愛はまだ使えますか?期限、切れてませんか?

もしまだ猶予があるのなら、これ以上にないくらい使って、使って、擦り切れるくらいまで使って、そうして伝えたい。ありがとうを。



ではまた明日。

 

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