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ヒンカリをつくる

みなさん、ヒンカリをご存知ですか。
グルジア(ジョージア)の巨大小籠包。2014年にグルジアを訪れハマりました。とにかくでっかくておいしい。ロシアにも「ペリメニ」があるけれど、なにがどうなってここまで巨大化したんだろう。そもそもペリメニではなくマントゥからの派生かもしれんけど。

「ああ〜ヒンカリ食べたーーーい」

という、日本で突発的かつとうとうと湧き出すヒンカリ欲を満たしたく、2019年6月グルジア再訪の折に、カヘティ地方パンキシで民泊した宿の母レイラさんにヒンカリの作り方を教わりました。そして時は11月、ようやく作ってみました。

noteは備忘録も兼ねて。

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レイラさんもさじ加減で作るしわたしのメモも雑なので、皮の分量に関してはウー・ウェンさんの本、その他具材はネットで比較しながら。

山 or 町

作る前に悩んだのがレイラさんのレシピ。
なぜなら「レイラさんのヒンカリ」がそこまでおいしくなかったから(えー)。スワネティ地方メスティアの民泊で食べたお母さんのヒンカリがおいしすぎたせいもあると思うけど、やっぱりそんなにはおいしくなかった。

👉レイラさんはムスリムなのでお肉は牛100%(自分たちが食べる時は羊肉、旅行者に作る時は苦手な人も多いので牛肉にしているそう)
👉山で食べられるヒンカリは基本スパイスは使わない

このあたりも関係していると思う。肉肉感が強かった。あと、牛は6月よりも越冬のために脂肪を蓄えた時期のほうが断然おいしい、今はイマイチ、とも言っていた。

そしてヒンカリにもいくつかタイプがあるようで、わたしが食べて感涙していたヒンカリは町スタイル。著書から↓

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レイラさんのヒンカリ↓

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見た目からしてぜんぜん違う。
町のヒンカリはつやつやしていて巾着状。レイラさんのヒンカリからはマントゥみ。だけど山と町で別けても、スワネティ地方も山。ということは地域によって変わってくるのかもしれない。

レイラさんはチェチェン紛争から逃れグルジアにやってきたのだけど、別にこれが「チェチェン風」ということではないのだそう。

・教わったレシピで作ってもさほどおいしくない
・といってあれこれ自己流で手を加えるとうっかりただの小籠包になりそう

という懸念材料(大げさ)を念頭に山町ミックスこんな感じで進めた。

・中力粉 100g
・水 60〜70ccくらい(こねつつ見つつ)

ラップしてねかす。5分もねかせばOKと言われたけど、具を作っているとあっさり15分ほど経過。塩は入れません。理由は後述。

粉は、強力・中力・小麦的な話をレイラさんに伝えるも伝わりきれず不明瞭なまま。よってあいだをとって中力粉に。

・牛豚合挽き 100g(スパイス使わないので豚で臭み緩和)
・玉ねぎ 1/4 みじん切り
・パクチー 刻む
・ししとう(青唐辛子の代用) 玉ねぎと同じくらいに刻む
・カイエンペッパー(赤唐辛子の代用)
・おろしにんにく 小スプーンの先っちょに少し
・塩 小さじ1〜 (味をみながら)
・水 100cc強

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↑これに水をじゃぶじゃぶ入れて混ぜる

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水のせいでぺしょぺしょ。
ヒンカリの「肉汁じゅわあ」の秘訣が水だったのは一番の驚きだった。あのジューシィさは脂系のなにかとばっかり。

あと、水をたくさん加えているので、普段のひき肉料理の感覚よりも多く塩を入れないと味がボケる。

成形

一旦綿棒で伸ばしてこんな感じにくり抜く。
そこから個別にまた伸ばし、具(餡)を包んでいく。

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それなりにヒンカリ感。
ちなみにレイラさんの包んだヒンカリこちら↓

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工場で作ってんか並みに美均等。
動画ぜひ見てください。何度でも見てしまうほど。手練れ!

むちゃくちゃ簡単そうに包んでるけどさあ。


茹でる

わい!ヒンカリがもうすぐ食べられる!
まず、たっぷりのお湯にたっぷり塩を。
この塩、マジでほんとにマジでたっぷり入れる。レイラさんいわく「皮に塩は入れず、茹で湯にたっぷりの塩を入れる」のがコツなんだそう。

<注意>
鍋底にヒンカリがくっつかないよう気をつける。皮が破れたら肉汁が台無し。ある程度茹でたら膨張して浮かんでくるので、注意を払うのははじめだけでOK。あとは7〜8分ほどぶくぶく茹。

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茹で上がったらお皿にあげて、黒胡椒をたっぷりかけたら出来上がり!湯気がほかあ〜〜ふわあ〜〜〜

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かわい〜!

味と考察

案外おいしくできました。
やっぱり何にも入れないより、多少香味野菜など入れた方が味わいがあっていいんじゃないかと思う。玉ねぎのみじんぎりは粗めの方が食べるときに歯ごたえと甘みがあって、おいしいと思った。お水をもう少し足して、更にゆるめの餡にしてもいいかも。改良の余地、多分にあり。

ヒンカリのレシピをいろいろ調べてみたところ、クミンやコリアンダーなどスパイスを多用していなかった点で、VICEのレシピ が参考になった。

料理家の松本あづささんは

”ヒンカリ” は単に水餃子ではなく、もっと広く、炭水化物系主食と簡単なおかずが一体化した料理を指すのではないか、と仮説を立てるようになった

とも書かれているので「ヒンカリ」は、ある場所に行けばまったく違うものかもしれないなと(実際ロシア・ダゲスタン共和国にはヒンカルという似て非なる食べ物があった)。

奥が深いよコーカサス。

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