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変拍子を演奏するコツ・・・?

最近、変拍子の曲の攻略法を聞かれることがありまして。
ヘッダーの(2+2+2+2+3+3)は7拍子の曲の拍の捉え方の指示ですが「7拍子なのにこれは何だ!?」とツッコミの嵐を受けました。
変拍子を楽しむ人としては、一緒に演奏する人が「何か難しい曲だったなー大変だった。」で終わってしまうのは切ないので、徒然と書いていきます。

(筆者はB♭トランペット吹きのため、出てくる楽譜はin B♭で書いたものです。)

結論としては、

① 自分のパートをしっくりくるまで馴染ませて
② 他のパートがどんな動きをしているか把握して
③ 脳みそのスペースを空けておく

のが、変拍子を楽しむコツ・・・かもしれない。

変拍子に慣れる順番としては、

① 3/4拍子と6/8拍子に慣れる
② 2拍子+3拍子の組み合わせに慣れる
③ 2拍子+3拍子の位置が変わることに慣れる
④ 3拍子と6/8拍子、同時に進行している状況に慣れる

・・・の4STEPあると思います。

① 3/4拍子と6/8拍子に慣れる

この曲の前半は6/8拍子と3/4拍子が交互に現れる曲です。

Adventures For Bandの最初のフレーズ(0:34〜)
楽譜の親切設計で、6/8拍子と3/4拍子、交互にとってねと書かれていた。

「8分音符でリズムを刻んでいたら次は4分音符になって・・・」は混乱するので、
「1小節に8分音符が6つあり、アクセントのつく位置が変わるだけ。」と捉えると焦らないです。

(この曲は、当時中学生の私が、楽器を始めて3ヶ月後に出たコンクールの曲でした。最初から変拍子)

② 2拍子+3拍子の組み合わせに慣れる

変拍子の曲は細かく分解すると大体2拍子と3拍子になります。
よくある組み合わせは、

5拍子=3拍子+2拍子 または 2拍子+3拍子
7拍子=2拍子+2拍子+3拍子
9拍子=2拍子+2拍子+3拍子+2拍子

5拍子 / 7拍子 / 9拍子の曲はこちら。

5拍子のDecoupage

7拍子のWhiplash

9拍子のTime For A Change

(これらは大学生の頃に演奏してました、やっぱり変拍子)

③ 2拍子+3拍子の位置が変わることに慣れる

上記のDecoupage,Whiplash,Time For A Changeを数えながら聴くと、時々しっくりこない箇所があると思います。
それが「2拍子と3拍子の位置が変わる」状態です。

五線譜の上のVや△は
Vが2拍子、△が3拍子(または6/8拍子)で捉えてる箇所です。

Decoupageのトランペットのフレーズ(0:13〜)
4小節目と5小節目で2拍子・3拍子を入れ替えると
強拍が拍の頭にくるので、より演奏しやすい。
Whiplashのトランペット・サックスのテーマ終わり(0:42~)
 4小節目を2拍子+3拍子+2拍子で捉えると演奏しやすい。
Time For A Changeの最初のフレーズ(0:17〜)
2+2+3+2拍子と進行していたものが、4・6小節目で3+2+2+2拍子になる。

「どのように拍を捉えると曲に躍動感が生まれるか」を考えることが、変拍子曲の面白いところだと感じています。
また3拍子を、3拍子のまま捉えるか、6/8拍子で捉えるかで前に進む力が変わってくるのも面白いところ。

④ 3拍子と6/8拍子、同時に進行している状況に慣れる

Whiplashの後半(2:38〜)は管楽器とベースは3拍子の捉え方が異なり、ベースはずっと6/8拍子で躍動感を出していくのに対して、管楽器は3拍子と6/8拍子を交互に取り入れているため、各々が別の動きをしているタイミングが発生します。
そういうことがある、と把握しておくと落ち着いて演奏できます。

ここでヘッダーの暗号に戻ると、
「4分音符7つがどう入れ替わるか」と考えると混乱するので、
「7拍子は1小節に8分音符が14つあり、アクセントのつく位置が変わるだけ。
この小節はこの捉え方をすると"吹きやすい"よ。」という指示でした。
Whiplashは小節ごとにこんな指示があります。

ここまでが変拍子に慣れる4STEPでした。


実際に演奏するまでの準備

変拍子に限らず見慣れない曲がある時は、1日で完結せず何日かかけてゆっくり理解していきます。

最初はよくわからないな〜と思いながら、自分のパートをさらっていく。
1日目は流れを把握して、一旦終わる。
「こんなメロディーなんだー」とテンポを落としてさらうイメージです。

その後、脳みそが消化してくれるのを待つ。

次の日とかにもう一度練習すると流れを把握した分、脳みそにスペースができるので、別の情報を入れる。
他のパートとの噛み合わせはどうなっているか知る。
「自分が音を伸ばしている時に、他のパートが細かい音で動いている。」「自分の音を切ったタイミングが、他のパートの入るきっかけになる。」・・・などを把握します。

その後は、自分のパートを吹けるようにしつつ、余力を作っていきます。50%ぐらい余力を残して本番を迎えることを目標にさらっています。

また、私は耳で聴いた情報を覚えておけないので、先に視覚(楽譜)で情報を整理して、合奏した時に他の人と調整できる余力を作っています。
一言一句覚えるというよりは、要点を見つけて、それだけ覚えておくイメージ。

変拍子の曲に慣れていくと起こること

変拍子に乗れるようになると、今度は前のめりになっていく瞬間があるので、ちょっとだけ後ろに時間を使うようにしています。
時間を使いすぎるとただ乗り遅れた人になるので、いい塩梅を探っています。
この「時間を使う」役割をバンドで担っているつもりです。

(右端で吹いてます)


1フレーズが長い変拍子(?)

ここまで話してきた曲はとはいえ1小節で固まっているものでした。変拍子の曲には複数小節にわたるものもあり、どんどん変化していくので1フレーズ丸暗記の曲もあります。

FESTIVAL VARIATIONS

ホルンが美味しいフェスティバル・ヴァリエーション。
(1:01〜)からのトランペットとピッコロのメロディーは常に変化し続けていました。

6/8拍子で進行してきて、7/8、6/8、16分音符で動く小節が2/4拍子。ここまでで1フレーズ!
これを2回繰り返して3/4拍子に戻ります。

楽譜サンプルはここから見れます↓

(フェスティバル・バリエーションは高校生の時に演奏しました。ここでも変拍子)

BULGARIAN BULGE

33/16拍子と36/16拍子のフレーズが交互にやってくる曲。
「これ吹けるのか?」とゆっくりしたテンポでさらい始め、引っ掛けの音も入れて、気づいたら吹けるようになってました。この速さでは吹けないけど。
蛇遣いみたいな気分になれます。また演奏したい。

↓楽譜サンプルはここから見れます

8分音符3つで1つの塊の変拍子

ここまでは8分音符2つを1つの塊として捉える変拍子でしたが、8分音符3つで1つの塊の変拍子もあります。

RIVERDANCE

↓楽譜サンプルと音源はこちらに

前半は9/8拍子、後半は大体12/8拍子で構成されています。
(4:50〜)からのサックスのメロディーは6/8と4/4で表現されていますが、
3拍子(6/8)+2拍子+2拍子と考えると、7拍子の時の練習に近く感じられるのではないかと。

(RIVERDANCEも大学生の時に演奏しました、変拍(以下略))

ここまで変拍子の演奏にまつわるあれこれをまとめてみました。
コツと書きつつ、それに慣れる練習は必要なのですが、一度慣れたら他の変拍子の曲も落ち着いて演奏できるかと思います💡


① 自分のパートをしっくりくるまで馴染ませて
② 他のパートがどんな動きをしているか把握して
③ 脳みそのスペースを空けておく

のが、変拍子を楽しむコツ・・・かもしれない。

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