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招かれざる客

今年もプランターのトマトの成長が著しい。

毎年、近所の人やウォーキングで通りがかった人から褒められたり、育て方のコツを尋ねられたりする、なかなか自慢のトマト。
主に世話をしているのは夫なんだけれど。
(だからコツを訊かれても困る)

で、今年は、新たにあまり嬉しくない客がトマトを見に来るようになった。
見に来るだけならいい。
実を勝手に収穫し、その場で食べて去っていく。

その客は、カラスだ。

色づいてきた実を、「あと1日ぐらい」「今日の夕方まで」と収穫を思いとどまり、陽に当てているうちに、カラスがあっさり採っている。
ご丁寧に、薄い皮だけが地面に残されていたりして、それを見た娘が「トマトとられた!」と本気で泣いたりする。

ところで、カラスはあんなに特徴的な鳴き声だから、庭に来たらすぐに気づくと思っていた。
トマトをとられるのは留守中だけだと思っていた。

でも今日、
「カラスの声が聞こえる」
とリビングのカーテンを開けたときには、すでにトマトパーティーの最中だった。

カラスが二羽、ひとり(一羽)一つずつ、地面に置いたトマトをつついていた。
彼らはきっと連れ立ってやってきて、静かにそうっとくちばしで挟んでトマトをもぎ取る。
窓とカーテンを挟んですぐ側にいる人間にまったく気づかれずに。

そして、トマトを食べながら、ついつい
「うまいな、これ」
「また来よう」
とお喋りをして(鳴いて)しまい、そこで人間に見つかるのだ。

と、最後のカラスのセリフはわたしの勝手な想像なのだけれど、本当に彼らがそうなのなら、ちょっと憎めないな、と思う。

トマトシーズンはまだまだ続く。
今のところ、カラスたちに負けない方法は、まだ少し青いところがあるうちに収穫し、家の中で熟すのを待ってから食べる、を採用している。
網を掛けたりする本格的な対策は面倒だ、というだけなのだけれど。
でも、真っ赤になるまでとらずに待って、もぎたてを食べるというのも魅力的だ。

カラスたちとどう付き合うか、しばらく模索する日々になりそうだ。

#日記 #つぶやき #家庭菜園 #トマト #カラス

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