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『巻き込む力』について考えてみたこと

# これはなに

世の中には一人だけで完遂できるお仕事もあれば、他の人や部署、他社や社会そのものと一緒に行わないと、できないお仕事もあります。

一人でできることは高々知れていて、その人の成果にレバレッジを効かせるため『人を巻き込む力』はとても大事だと考えます。

今回は、今まで色んな人の力を借りて成果を出してきた自分の経験を振り返り、人を巻き込むために大事だと考えることを記載します。

## こんな人は読むと良いかもしれない

・一人で仕事をするのが辛く、大変になっている。
・沢山の人に指示を出さないといけない立場になった。
・利害関係者が多くてバランスを取っていると仕事が全然進まない。

# 巻き込む力の構造

巻き込む力を最大化させる上で、考える必要があるのは『人間性』、『想像力』、『発信方法』の三つです。
※この三つを支える土台として「やり切ろうとする力」がありますが、これは最後に論じます。

なので、巻き込む力はこれらの要素をデザインすることと考えます。

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## 人間性

人間性は、課題起案者の客観的なキャラクターを指します。これがなぜ重要かというと、その課題への注目度合いを決定する役割を担うためです。

更に後工程となる想像力や発信方法を最善の物にするためにも、起案者(たいていは自分)の人間性を正しく認識することが必要です。

## 想像力

想像力は、その名の通り想像力を磨く必要があるため要素に入っています。

想像力を働かせる先は自分の未来と巻き込む相手の未来、両方ともになります。両方ともというのが重要で、後の発信方法の質を決めるのはこの想像力になります。

## 発信方法

残りはデリバリーも含めた発信方法です。誰がいつどのように発信するかを考える必要があります。起案者が必ずしも発信する必要はないというのが肝になります。

実はここを論じるだけでも一つのnoteが書けるほどに変数が多い箇所ではありますが、今回はシンプルに伝え方についてだけ分類して記載しています。

# 人間性

巻き込む力を考える際には16パーソナリティのような詳細な区分は必要ありません。ざっくり以下のカテゴリのうち、客観的に見て起案者がどこに当てはまるかを考えます。

・『コミュニケーションが好きなハイスペック』タイプ
・『コミュニケーションが好きな抜けてるテヘペロ』タイプ
・『コミュニケーションが苦手』タイプ

見落としがちな観点としては、あくまで客観的な人間性であることです。つまり、同じ起案者によっても、場面や案件でどこに当てはまるか変わります。

それぞれの特徴と、相性のよい発信方法について記載していきます。

## 『コミュニケーションが好きなハイスペック』タイプ

このタイプの人は、はっきり言ってかなりお得です。

なぜなら、ハイスペックと認められるほどに成果を既に出しているのであれば説明コスト少なく『まあ、あの人が言うのであれば重要なのだろう』という気持ちにみんななってくれます。人間性貯金がかなり溜まってる状態です。

発信方法についても後述する全ての型と相性がよいので、正直このnoteも読まなくてよいかもしれません。

## 『コミュニケーションが好きな抜けてるテヘペロ』タイプ

このタイプは、人間性がポジティブにもネガティブにも働く可能性があります。

前者の場合は『またか…ヤレヤレしょうがないな』と、もう巻き込まれること自体が予定調和の状態になっています。ただしこれは平素の仕事において真摯さや誠実さを絶え間なく感じさせ、愛される天性のキャラクターも必要になるので、一筋縄ではいきません。

後者の場合は『またかよ…もう知らん』と、人間性貯金が潰えているパターンです。この状態になったら普段のお仕事で巻き返すことしかできません。一緒に頑張りましょう。
とはいえ、起案者は自分であっても発信者が自分である必要はありません。この場合は、コミュニケーションが成り立つ人に対して発信者を依頼してしまうという技も使うことができます。

相性のよい発信方法は無論『助けて!ヘルプ』型です。

## 『コミュニケーションが苦手』タイプ

このタイプは、人を巻き込むために二つの方法があります。演じ切るか、人に任せてしまうという方法です。

HRの人には割と多いタイプかと思いますが、人とお話したり大勢の前で話すのがそもそもめっちゃ苦手という人もいます。その場合であっても成果出すためにはやむなしということで、仮面をかぶり相手にとって適切な発信方法を選り分けるというのが、演じ切るという方法です。
相性がよい発信方法は特にないですが、逆にいうとどれでも使えるというパターンになります。

寧ろ、発信するのは人に任せてしまうというのも、人を巻き込む上では良手であると考えます。

# 想像力

想像力を働かせる方向は大きく二つで、それぞれはさらに以下のように分解されます。

①自分の未来について
・巻き込むことによって、何を成し遂げるのか
・誰に何をしてもらえばよいのか
・それはいつまでにできればよいのか
・そうなると、誰にとって何のいいことがあるのか

②相手の未来について
・巻き込む相手はどのような性格/立場/状況か?
・巻き込んだ相手にとってのメリット/デメリットは何か?
(・巻き込まれなかった相手にとってのメリット/デメリットは何か?)

想像という言葉を使っていますが、実地検分や実際に関係者と話しをするなどもバシバシ使って、想像力の精度を上げていく必要が勿論あります。

## 自分の未来について

まずは、巻き込む対象を正確に判断するために自分の未来(理想)を想像します。

何を成し遂げ、その結果誰が嬉しくなり、そのために誰に何をいつまでにしてほしいのか。
それをできるだけ詳細に想像しておきます。言葉で書くとシンプルですが、意外と網羅的に考えようとすると躓いたり、発信した後に足りなかった!となりがちなので、非常に重要なポイントです。

## 相手の未来について

巻き込むべき相手が決まったら、その相手について想像する必要があります。

人によって、適切な発信方法は更に変わります。

合理的な判断が好きな人、メッセージ性が重要な人、優しい人、いつも怒っている人といった性格に加え、その人が置かれている立場や状態も確認しておいた方がよいでしょう。
『いつもならいいんだけど、その時はちょっと…』という残念な答えを回避しタイミングを味方につけるためには、スケジュールなどその人の状況も見ておいた方がよいかもしれません。
その人を形作る要素は様々なので、普段から周囲に対してのアンテナは立てておいて損はないはずです。

また、巻き込む相手にとってのメリットもきちんと明確にしておきます。これが妥当なメリット(デメリット)になっているかどうかが、発信方法の質を決めてしまいます。

# 発信方法

最後は発信方法です。先述の通り、このチャプターだけでも本来論点はモリモリになりますが、今回は伝え方だけ大きく三つに区分して記載しておきます。

・カリスマパワー型(キングダムの麃公型)
・ロジカル型(キングダムの李牧型)
・ヘルプ型(キングダムの蒙驁型)

ポイントは、使う型が発信者の人間性に近しいほど自分の本当の言葉に近づくので説得力が上がるということと、巻き込む対象によって出し分けが必要であるということです。
また、必ず起案者が発信者になる必要はありませんので、適切は発信方法によっては他の人に「頼む!」するのも良いでしょう。

※なお、キングダムは私の趣味となります。因みに政は全てを巧みに使い分ける超人です。

## カリスマパワー型

「正直理由は分からないけど、絶対右だからついてきてください!」
こう言われて右に行く人はかなり稀有なので、以下に使用用途は限られることが多いです。

・人間性がハイペックタイプである
・巻き込み対象と信頼貯金ができている
・命令できる程に完全にパワーバランスが決まっている

## ロジカル型

「理由はxxxで確率はhogehoge、よって絶対右!」
ビジネス上は、一番汎用性が高い発信方法になります。自分/相手がどのような人であれ使えるというのも利点。ただし複雑な事象になればなるほど、説明コストが高くなってしまうことと、正論がいつも正しいとは限らないため、その点については配慮が必要になってきます。

・人間性は限らず使うことができる
・まだ信頼貯金が相手との間で溜まっていなくても効果が出やすい
・正論だけ伝えても動いてくれないことは多いので注意

## ヘルプ型

「hogehogeができず困っていて、ぜひ一緒に右に行ってほしい…!」
ビジネスで情に訴えるのは本当に運ゲーだし再現性に乏しいため、ヘルプ型単体で使うのはお勧めしません。パワー型あるいはロジカル型と組み合わせるのが良いでしょう。
人間性はハイスペックに限らず使えるのですが、忘れてはならないのが必ず助けてくれた際の妥当なメリットをきちんと伝えるということです。

・人間性は限らず使うことができる
・単体で使うよりは、他の型と組み合わせるのがおすすめ
・助けてくれた時のメリット提示・お礼・どこかでの恩返しを忘れないようにする

# 一番大事なこと

さて、3つの要素について記載してきましたが、そのどれか一つでも欠けてしまうと、巻き込む力はグっと下がってしまいます。全て頑張って考える必要があります。

さらに色々とお話をした挙句、最後にひっくり返してしまうのですが、結局は成果を出そうとやり抜こうとする力がカギになります。これがなければガソリンのない車で走ろうとしながら「上手くいかないなあ」とぼやいているようなものです。

一度断られたから心が折れて「もう誰にも頼まない!」とかは最早論外で、時には巻き込まれてくれない場合には、その手法を見限るということも選択肢として上がります。

提案方法を変える、言う回数を変える、言う相手を変えるなど、いくらでも変数はあるので、その努力を惜しまないやり抜こうとする力があれば、大抵のことはみんな巻き込まれてくれるはずです。

もっとみんながお互いに頼って、得意なことを得意な人ができる世の中になったら、全てが速く、良い方向に進みます。
だからこれを読んで「自分も明日から巻き込んでやってみよう!」という人が一人でも増えれば、とても嬉しく思います。

# 最後に

## 書いたのはこんな人です

株式会社OKAN という会社にいます。HRと労務領域を担当しています。

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## Twitterやってます

気取らない等身大のことを呟いてるつもりなので、興味が湧けば是非フォローください。


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