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ダイヤモンド・プリンセスに学ぶ、新型コロナ時代を生き抜く智慧

新型コロナウイルスに加え、インフルエンザまで船内に蔓延してしまったクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号。

日々更新されるクルーズ船のニュースを固唾を呑んで見守るしかなかった時、Twitterから発信をスタートさせたダイヤモンドさんのやさしくあたたかい言葉の数々に胸を打たれ、その後、下船の日を迎えるまで、無事を祈りながらそのコメントを読み続けました。

なにげなく綴られるダイヤモンドさんのコメントには、いつも驚くような智慧が満ちていました。

未知のウイルスに満ちた船内で隔離生活を余儀なくされながら、ウイルスの脅威を退け、乗り越えたダイヤモンドさんの手記から、わたしたちのこれからを学びたいと思います。

ダイヤモンドさんから学ぶ、先読みの智慧

・船内での感染者発生を知らされていない段階で、香港の街の様子に違和感と不安を感じ、次の寄港地でマスクを購入。
・隔離の告知がされないうちに、タオルを確保。
・ウイルス情報が周知されていない段階で、検疫官の軽装備に危険を感じた。

楽しい旅行中でありながら、ダイヤモンドさんの視野は広く保たれ、優れた判断力と観察眼で、物事を先に先にと読み取っていました。

物事の前向きな受け止め方

検疫後、とうとう乗船中の乗客に陽性患者が確認され、隔離がはじまった瞬間も、「下船できないのか」「二週間も家に帰れないのか」と暗澹たる声をあげる人がいる中で、ダイヤモンドさんは、「たったの二週間、物凄く長いわけではない」と前向きに受け止めます。

そして、Twitterの登録をして、記録を綴りはじめました。

隔離期間中には「全力のラジオ体操」に励んでいました。

これは閉鎖空間で生活しなくてはならない局面で有効とされるストレス対策、
「新しいことをはじめる」
「日課を作る」
「目標をもつ」
「人とのコンタクト(SNSでも可)を絶やさない」
「運動をする」
を見事にクリアしています。

被害者意識に沈まない

メニューオーダーの配布ミスがあっても、
「明日何が届くか分からないミステリー」とダイヤモンドさんは、ミスを楽しみに変換してしまいました。
不足不自由を数えるのではなく、美しい景色や、乗客同士のあたたかい交流、船室の設備の良いところ、食事の美味しさ、クルーのやさしさ、と、楽しいこと、うれしいことを数え、被害者意識を持つことはありませんでした。

「被害者意識に陥らない」
これはストレス対策でとても重要なことです。
被害者意識、他責思考はそのままにしておけば、それはどんどん加熱暴走して精神を蝕みます。そして、内蔵粘膜を荒らし、血圧、自律神経、免疫力にもダメージを与えます。脳機能も低下し、正しい判断ができなくなっていきます。
危機的状況の時に、最も陥ってはならない状態なのです。

どんな状況下でも楽しみや喜びを発見する

船内で販売しているかわいらしいキャンディー缶を楽しむ。物資の状況で変化していく食事の、メニューの文字だけではどんなものなのかわからない料理についてSNSで呼びかけて大勢で予想したり、トリビアで盛り上がったり、行き交う船同士の返礼の汽笛に喜びを感じ、差し入れに喜ぶ――
閉鎖空間でも、ダイヤモンドさんは次々に楽しみや喜びを見つけ、つらい日々の中でも豊かな気持ちを忘れませんでした。

生きている限り状況は常に変化し、変化には必ず楽しい要素が含まれているものです。
楽しさ、喜びは強く脳と精神に作用し、その刺激を受け取った脳は、健康につながる成分を分泌し、心身を活性化させます。
当然、免疫力が上がります。

感謝の心を忘れない

備品の交換や清掃が無くなり、不自由も多い中、クルーからの食事の配膳を、毎回ダイヤモンドさんは感謝の心で受け取っていました。「客なのだから、当たり前」「巻き込まれた被害者なのだからもっと優遇されて良いはず」とは思いませんでした。

クルーやキャプテンの心遣い、医療関係者や海上保安庁、自衛隊、バージ船作業スタッフ、ボランティアの方々が懸命に作業する姿を見つめ、常に感謝の気持ちを忘れませんでした。

感謝する、とは出来事や相手に対して心を開くことです。肩甲骨と同じです。開かれた心はほぐれます。精神がほぐれていくと、身体も連動してほぐれ、関節も筋肉も柔軟になり、血流もよくなります。当然循環もよくなります。

逆に、感謝を忘れ、相手や出来事を否定、拒否し、責める気持ちで対峙すると、人間関係の輪から自分を切り離すことになります。切り離され、孤立した心と身体は、機能を低下させ、免疫力も落ちていきます。

ポジティブであること。それは精神と身体を活き活きと保つコツなのです。

現状をつぶさに見て、自分で納得できる判断をする

人々の会話、ニュース、館内放送など、ダイヤモンドさんは情報収集を怠りませんでした。

今(2020年4月)では潜伏期間が一ヶ月あったのではないかというケースの報告も出てきていますが、まだ14日間ルールに多くの人が縛られていた段階で、ダイヤモンドさんは「未知のウイルスなのだから潜伏期間はまだわからない」と冷静に状況を見ていました。

検査も陰性で14日間ルールもクリアし、隔離の必要なし、と公的機関から判断された後も、ダイヤモンドさんは自宅に戻らず、自主隔離生活に入りました。

情報にきちんと耳を傾けながらも、鵜呑みにしない。常に事実と照らし合わせて検証する。
これもまた、素晴らしいサバイバルメソッドです。

慎重な行動、ウイルスを侮らない

自主隔離後、数種類の検査を受けて、すべて陰性の診断が下り、自宅に戻った後も、ダイヤモンドさんは、ソーシャルディスタンス、換気、手洗い、タオルの共有を避けるなど、注意深い慎重な生活を続けました。
常に最悪のケースを想定し、冷静に、慎重に行動する。
それは生き延びるための、とても有効な智慧です。

船内で新型コロナウィルスから身を守った方法

船内でのダイヤモンドさんの行動は、

何かに触れたらすぐに丹念に手洗いしていた。
食事の前には特に念入りに手洗い。
船内イベントやパーティーにはほとんど参加せず、人混みを避けていた。
換気を心がけ、睡眠を十分にとっていた。
アルコールを飲まなかった。(殺菌効果の高い紅茶や日本茶を飲んでいた)
ビュッフェを利用しなかった。
エレベーターのボタン等を指で押さなかった。(折り曲げた第二関節で押した)

・徹底した手洗い
・換気
・人との距離は2mあける
・免疫力を高める
・こまめな水分補給
・エレベーターやタッチパネルは指ではなく関節で押す
・人混みを避ける

という7つのポイントが見えてきます。

「もう知ってることだ」と思う方もいることでしょう。
けれど、それを徹底して「実行」する。
それが重要です。


ダイヤモンドさんご自身による貴重な手記です。
是非、分かち合って、わたしたちの健康と生命を守るヒントにしましょう。

ダイヤモンドさん手記
「ダイヤモンドプリンセス乗船手記」
「海の向こうへ」

ダイヤモンドさん、貴重な体験の共有、本当にありがとうございました。
心から感謝します。

最後に。

ダイヤモンド・プリンセス号で作業しながらも感染者ゼロを達成した自衛隊の新型コロナウイルスに対するガイドラインです。

感染を防ぐマスクの外し方は、今日からすぐ実行しましょう。

新型コロナウィルスから皆さんの安全を守るために 統合幕僚監部


吹雪の雪山で遭難したパーティーでは、「もうだめだ」「もう助からない」と思った者から倒れていくそうです。人間の精神と身体は、本当に密接につながっている、という証拠ですね。

世界の出来事はわたしたちにはコントロールできませんが、わたしたちは自分自身の心と身体をコントロールすることはできます。大きな脅威を、できる限り小さな脅威に変えていくことはできるのです。

台湾で、徹底した対策を実行した結果、新型コロナウイルスの封じ込めに成功した、というニュースが流れました。
有効な手段で対応すれば、未知のウイルスであっても、必ず封じ込めることができるのです。

みんなでアイディアや提案を出し合う、オンラインハッカソンは徐々に世界的規模になりつつあります。
新しい手段はどんどん生み出せます。
できることはたくさんあります。

できることをしましょう。
するべきではない行為は中止しましょう。
うつさない。うつらない。
そして無事に、かつての日常を、アフターコロナの日を迎えましょう。

――追記――

「ダイヤモンドプリンセス乗船手記」の電子書籍化が決定しました。
(2020年6月現在)

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