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2020年8月26日(水) | 780円の塩と渋谷音楽図鑑


朝起きて、浅間山を眺めながら昨日軽井沢のTRUFFLEというパン屋さんで買ってきたトリュフ塩パンをいただく。手のひらサイズであっという間に食べ終わってしまうんだけど、いつもとは違う特別な朝になったような、なっていないような。

パン屋さんに売っていたひとつ780円のトリュフソルトは、袋のサイズ感と値段があまりにも不釣り合いだったけど興味本位で買ってみました。しかも2種類。

ハガキくらいの大きさの袋にほんの少ししかソルトは入っていないけど、封を開けた瞬間、ぶわっと強烈にトリュフの香りが。「たしかにこれは780円かも。」となぜか納得してしまった・・・。でも、ホワイトトリュフとブラックトリュフの違いはあまりわからず、ちょっぴり悔しい。


そういえば、ネットで注文した「渋谷音楽図鑑」という本が先日届いたので読み始めてみました。以前わたしが担当するJ-WAVEのラジオ番組「SHIBUYA DESIGN」にゲストで出演してくださった「渋谷未来デザイン」の方がチラッと話題に出していて気になったので速攻ポチったのだけど、これがとても面白い。

今から60年ほど前まで、渋谷は今とは全く違う景色で、当時の渋谷のイメージはサラリーマンの街というイメージが強く、都心で働くサラリーマンが郊外の家へ帰るときに立ち寄る場所だったといいます。この本を読むまで全く知らなかったけど、今代々木公園がある場所には米軍施設があったり、パルコができる前の公園通りは街灯もなくかなり異質な雰囲気だったらしい。しかも60年代の若者の街といえば新宿で、渋谷は若者が集まるような場所ではなかったのだそう。

そんな渋谷がなぜ音楽の街になったのか?渋谷生まれ渋谷育ちの音楽プロデューサー牧村憲一さん自らの経験を軸に、同じく音楽プロデューサーでプログラマー・アレンジャーの藤井丈司さん、音楽ジャーナリストの柴那典さんが本の中で語っています。

この時このお店にはこんな人たちが集まっていた、とか、こういう若者たちはこういうところに行っていた、とか、映画館を観終わったあとは夜21時半から始まる演劇の公演にはいつも行列ができていた、とか、そういう人々の日常や流れもわかりやすく書いてあって、とてもイメージしやすいのです。渋谷という街の歴史、渋谷が生んできた音楽の歴史、渋谷が生んだ文化の歴史、そうした色んなものが交差していて、まだ途中までしか読み進めていないのだが、すでに良書だと感じています。

まだわたしが読んでいるのは70年代あたりの渋谷のことだったり、音楽シーンのことだったりで、主に出てくる名前は細野晴臣さん、大滝詠一さん、山下達郎さん、大貫妙子さん、とか。自分が生まれる20年以上前のことだけど、今の渋谷や音楽や文化に至るまでのストーリーを牧村憲一さんの視点で知れて、しかもそれが喋り口調だからすっと情景と共に入ってくる。

わたしは1995年生まれの現在25歳で、70〜80年代あたりのシティポップや90年代あたりのいわゆる渋谷系と呼ばれる音楽のことはなんとなく知ってはいるけど、正直に言えば、知っているのはアーティストの名前や大ヒットした曲くらい・・・当時の人たちが体感した熱量なんかは、わからない部分が多い。なんてったって、Wikipediaなどネットの文章から仕入れた情報ばかりだから。

わたしが大好きな日本史を学ぶときもそうだけど、ただ情報や時系列だけを知ったところで興味ってなかなか持てないんです。こうして誰かの視点で、誰かの人生というフィルターを通して、ストーリーを知れると、「もっと知りたい」という欲も湧いてくるし、自分が知っている渋谷とか、自分が聞いてきた音楽とか、そういう自分の中にある色んなものと紐付けして繋げることができるのです。この本を読み終わる頃には、新たな視点で渋谷を見ることができそう。


武藤千春

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