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コロナ禍で翻弄される学生たちへ希望の支援 「食材もってけ市」

今年の学生たちの現状は、テレビやネットでも報道されているように、決して明るいものではない。新型コロナウイルスの影響により、例年とは異なる学生生活を送らざるを得なくなり、困惑する大学生の実態が徐々に浮き彫りとなってきた。つい先日も朝日新聞と河合塾が共同で調査を行う「ひらく日本の大学」の調査結果で退学・休学を検討する学生が今後も増加するであろうと報告された。突然のオンライン授業や経営悪化に伴いアルバイトのシフトが削られるなど、精神的にも経済的にもギリギリの状態を保っている学生たちが今の日本には溢れている。

街がイルミネーションで飾られ輝きを増す11月30日、私はとある場所へ向かった。そこは学生たちが長蛇の列をつくり活気に溢れ、一層賑わいをみせていた。

「食材もってけ市」

千葉県の西千葉駅周辺は複数の大学や高校があり若者の活気溢れる学生街の一つである。その地域の大学に通う学生がコロナ禍において自分と同じ学生たちが経済的に困窮していく実態を肌で感じ取り、はじめた活動がある。それが、学生を対象に無料で食料品や日用品を提供する「食材もってけ市」

コロナの感染が拡大し始めた4月頃に様々な学生団体の調査で経済的理由等から大学退学を検討するといったデータが出始めた。またその後高知県で学生に向けた無償の食糧支援をやっている事例を知り、自分たちの地域も学生が多いため、そのような活動ができるのではないかと企画したという。この活動の中心を担っているのは、学生の実行委員と学生ボランティアである。

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この活動はSNSを中心に拡散され、厳しい状況に置かれた学生たちのことを想い、多くの物資が寄せられた。Amazonの欲しいものリストを公開するなどして、その時々に必要なものを送ってもらえるような工夫もなされている。現在では毎月百数十人の学生さんたちに数多くの物資を提供できるほど、支援が寄せられてきているという。

この「食材もってけ市」を企画された一人、千葉大学4年生の二瓶満瑠さんは、

「この活動は多くの方の寄付や支援によって成り立っています。毎回このように多くの物資を届けていただき本当にありがたいです」

と日頃から活動を支援してくださっている方々へ感謝の気持ちを語ってくれた。あくまでも自分たちの活動は周囲の支えがあってこそであると言う。

物資を受け取った学生さんたちの話を聞いても、
「バイトのシフトが減って収入も減少しているため非常に助かる」「このような活動をしてくださって感激しています」「思ったよりもたくさんの品を貰えて嬉しい」と言い、そう言葉にした時の温かな笑顔からはこの活動を心から喜んでいるのが伝わってきた。

また、元々食材もってけ市で物資を受け取っていたという人の中から、数多くの学生さんたちが「自分でも何か力になれるなら」とボランティアに加わりたいと申し出てくれて、ボランティアの人数も増えてきているとのことだ。

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食材もってけ市では物資を受け取った後にアンケート調査を実施しており、この結果を後日拝見させていただいた。そのアンケートの中には、「今の生活で困っていること、不安・不満に感じていること」を書く欄があり、以下のような回答が多く見られた。

・アルバイトのシフトが減らされて収入が減少している
・学費が変わらず、オンライン授業のままなので休学を考えている
・進学のための費用に困っている
・出会いが少なく、思っていた大学生活が送れない
・オンラインの授業わかりにくい
・友達がまだできていないため、授業に関することを相談できない
・コロナで友達と会えない

今回の食材もってけ市の参加者は約130名だったのだが、その参加者のほとんどが何らかの不安要素を抱えながら、今も生活しているのだ。このアンケート結果は氷山の一角に過ぎないのだが、これは明らかに今の日本社会における学生たちの「悲痛な叫び」であると思う。

食材もってけ市で直接話を伺った一人は、春からバイトのシフトに1度も入れておらず、また父親もコロナの影響で失業してしまったという。その方は「国立の大学だったからまだよかったです」と気丈に話してくれたが、それでもやはり苦しい状況であることに変わりはないようだ。

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「食材もってけ市」を始めた当初は年内に終了する予定だったというが、コロナ第3波や学生たちの変わらず苦しい状況を受け、実施期間を延期することを決めた。次回の12月の開催日に向けて、また引き続き食料品・日用品の支援を募るとのことだ。一人でも多くの学生たちの生活が少しでも楽になるよう、ぜひ彼らの活動を応援していただきたい。

学生たちは今も先の見えない暗闇の中をがむしゃらに進んでいる。耳をすませば彼らの叫びが聞こえてくるはずです。「学びたい」という意思のある学生たちを支えていくことは、この社会全体が真剣に向き合い取り組むべき最重要課題ではないでしょうか。


詳しい時間帯・開催場所・支援方法は
西千葉・学生コロナ支援『食材もってけ市』
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