コロナ禍でも行列に?!スイーツブランド立ち上げの仕掛けとは
パッケージデザインのお仕事を通して、目新しい商品に出会う機会が多くあります。説明を聞くだけではイメージしにくい、新ジャンルの商品。どんな商品なのだろう…と想像するだけでもワクワクするお仕事です。
お客様からのご要望は「まだ世の中に知られていない新商品。その魅力をデザインの力で、伝わるように表現して欲しい」というもの。そんな新商品の見せ方や認知の作り方に関するお悩みのヒントになりそうな事例を紹介したいと思います。
自慢の商品をたくさんの人に届けたい――。
名古屋で飲食店の開業準備をされていた株式会社ダモンデ様。パティシエールとしての経験を活かし、働く女性を支えるお店をつくりたいとお考えでした。長年温めてきた看板商品は、グルテンフリーのミールシフォン(お惣菜シフォンケーキ)。商品自体が新しく、市場での認知もゼロからのスタート。それだけに、オーナー様の「この商品を多くの人に届けたい」という想いは強く、それを叶える具体策を求めておられました。
体験からファンをつくる、店舗を起点にした戦略設計
オフィス街の店舗のため、競合となるのは早い・安い・旨いが売りの飲食店。一方で、時間を気にせずゆっくりランチやカフェを楽しめるお店は希少です。そこで働く女性をメインターゲットに、ちょっと贅沢な気分で利用できるお店としてポジショニングをとることに。
ミールシフォンの魅力を知っていただくためにも、まずは来店し食べていただくことに集中。色鮮やかなミールシフォンをショーケースに陳列し、女性客の興味を惹く設計に。サイドメニューにも目新しい商品を揃え、店内で過ごす時間を特別なものに演出しています。
グルテンフリーや香料・着色料不使用など、商品の具体的な特長を知ってもらうのは来店後でも遅くはありません。第一印象で目に止まり食べてみたい!と興味を引くことで、商品とお客様を繋ぐ接点を構築しました。
物販事業の足掛かりとなるテイクアウト
ミールシフォンを広めるため、飲食事業と物販事業の2本柱の構築を当初からご提案。本格的な物販事業立ち上げの足掛かりとしてテイクアウトを計画しました。保存方法や賞味期限の設定、お客様からの問合せ対応など事例はすべて、物販事業スタートにむけたノウハウとなります。
しかし知見を得るために新たにテイクアウト顧客を集めるのは非効率。そこで来店後の「ついで買い」に絞り、テイクアウト商品を準備。限られたリソースを飲食事業に集中させ、最小の投資で目的達成できるように設計しました。
テイクアウトできることでご家族用や手土産など、消費者にとって利用シーンが拡大。食後のお客様から「美味しかったから、是非食べてみて!」と拡散してもらえることは、何よりも強力な口コミです。お客様が次のお客様を呼び、ファンの輪が徐々に広がっています。
ブランドを象徴し、ビジネスを後押しするデザイン
商品の顔となるブランドロゴは、ミールシフォンをダイヤモンドに見立てて表現。素材にこだわり丁寧に作られた商品とオーナー様の想いを反映しています。ブランドカラーは甘すぎないピンクにゴールドとグレーの配色で、大人の女性に似合う落ち着いた色味です。
商品パッケージには、ブランドカラーにネイビーを加え、ジェンダーレスな印象に。男性にも抵抗なく手に取っていただき、男性から女性へ、女性から男性へと様々なシーンに対応できるようにしました。資材は高級感の材質を吟味。シンプルなデザインでロゴを引き立て、贈答品として選ばれるように仕上げました。
これらの意匠には、ロゴ・ブランド名・商品を3つセットで覚えてもらえるようにという意図が込められています。商品への思い入れやこだわりを表現し、事業展開を後押しするデザインをご提案しました。
まとめ
ご相談をいただいてから8ヶ月後、第一号店がオープン。同時に発表したプレスリリースでは、オフィスで希少なヘルシーランチ&カフェとして紹介。メディアからの取材が殺到し、オープン当初から行列できるという順調なスタートを切ることができました。開業前から計画、準備してきたオンラインショップもまもなくスタート。
「ミールシフォンを広めたい」という想いを共有し、一番の相談相手として伴走。夢の実現をサポートしていきます。