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VRChatプレイ二周年に寄せて―幻滅の底を踏み破りに行く


私について

2024.01.02、Silentにて、ソーサツ・チエカ

「VRChatに幻滅しかけているとしても、それは新しい出会いや、今知っている人の新しい面を見つけるチャンスだと思うんですよね」
「チエちゃんはさ、けっこう自分を否定してるところがあるよね。そうじゃないと、『幻滅』っていう言葉は出てこないと思うんだよ」
「そうですね……私は、一旦ネガティブな面を見てから、そこを超えて前に進むというのに美しさを見ているんですよね。だから露悪的な言葉を使いたがるんだと思います」

2024.04.11、EClare Church 2024にて、Chitose(ちとせ)さんと小林くん-NeedForestとの会話(記憶をもとに再構成)


私ことソーサツ・チエカは、2022年8月27日にVRChatのアカウントを作り、同8月31日に初めてログイン、9月3日に初めてHomeを出て初心者案内を受けました。このうち、私は8月31日を一応のソーシャルVR開始記念日としています。2023年10月27日にTrustedになり、2024年8月8日にVRChatプレイ時間が1000時間に達しました。

普段はVRChatでフレンドさんたちとお話をしたり、イベントに参加したりしています。また、clusterのイベントに参加することも稀にあります。Neos VRとResoniteでもアバターをセットアップして案内を受けましたが、現時点ではほぼいません。VRにいないときはtwitterで目についた話題に反応したり、noteでVRについて考えたことを書いたりしています。VRやアバターを題材にした小説をnoteに投稿することもあり、2024年8月27日には作品集を電子版同人誌として発売しました。また、「美少女場の量子論」と称する社会物理学上の仮説を研究しており、clusterのバーチャル学会で年に一度発表しています。

始めたときの環境や感じたことについては一周年の記事をご覧ください。本記事では原則として、2023年9月1日から2024年8月31にかけての変化について述べます。

機材

現在の機材は以下の通りです(太字は昨年から変わった部分)。

(PC)
マザーボード: ASUS TUF GAMING B660M
CPU: i5-12400F
GPU: ZOTAC RTX3060
メモリ: 16GB×2
ストレージ: SSD1TB
電源650W Bronze

(VR)
HMD: Vive Pro
コントローラ: Valve Indexコントローラ
ベースステーション: Valve Indexベースステーション2.0 x2
トラッカー: Viveトラッカー3.0 x6(EoZ VRトラッカー用ストラップで固定)、Viveフェイシャルトラッカー

(オーディオ)
スピーカー: Vive Proスピーカー
マイク: BOYA BY-M1コンデンサピンマイク、UGREEN外付けサウンドカード

(声帯)
DAW: Voicemeeter Banana
サンプリングレート: 48000Hz
バッファ: 160サンプル
VSTホスト: Cantabile Lite x64
VST: RX 8 Voice De-noise(環境音の除去) → reaeq-standalone(イコライザ) → pitchproof-x64(ピッチシフト) → Lisp x64(歯擦音の除去)
ピッチ: +4.74
フォルマント: 自動
イコライザ: (ループバック用)200Hz以下と10000Hz以上をカット、(VRChatへの出力用)120Hz以下と7000Hz以上をカット、1800Hz付近を3dB低減

パソコンの構成やVRゴーグルは変わっておらず、修理や交換もしていません。特筆すべきはフルトラになったことで、2023年9月23日にHaritoraX ワイヤレスを導入、2024年1月3日にHaritoraX ワイヤレスの肘拡張を導入しましたが、2024年4月13日にViveトラッカー3.0に変更しました。

アバター

アバターは最初から使っている姿を使い続けています。VRChatを始める前にVRoid Studioで自作したもので、時々小規模な変更をしたりアイテムを足したりしています。この一年では、AvatarBasicTool、インクの出る羽ペン、帽子を着脱するギミック、和傘を新しく入れました。また、同じデザインでポリゴンを減らした姿をFallbackにしています。衣装差分としてバスタオルと水着と中南米風のポンチョの姿を持っていますが、身体の造形は同じです。

2024年8月末にblenderを勉強し始めました。私がVRoidを使っているのは、法的にも霊的にも自分のアバターの権利を自分で握っておきたいと考えるからですが(霊的にというのは大まかに言って、人から「誰誰ちゃんを素体にした改変?」と言われることを好まない、ということです)、VRoidでもわずかながら借り物感があるので、ゆくゆくは完全に自分だけで作ったアバターを使いたいと思っています。

2024.09.01、VRChat Homeにて、チエカぬいぐるみ 

声帯についても特記しておきたいと思います。私はボイスチェンジャーで変換した後の自分の声を常にVRゴーグルのスピーカーから出力して聞いているのですが、この自分に聞こえる声とVRChatを通して相手に聞こえる声が違うことをかねてより気にしていました(下の動画で比較しています)。ボイスチェンジャーをかけた声をネット回線に通すと機械的な感じが強まります。これを補正するために、2024年7月にdiscordの音声テスト機能を使ってイコライザーの設定を調整したのですが、前より芯のある声になった反面、芯があるために私でないときの私(この言い方は正確ではありませんが、便宜的にそう呼びます)の感覚が意識に混じり、言葉遣いが少し変わってしまいました。そのため、前と同じ設定のイコライザを通した声を自分で聞いて喋り、それとは別に新しい設定のイコライザを通した声をVRChatに出力するようにしました。Voicemeeter Bananaの設定で言えば、Hardware Input 1をマイク、Hardware Input 3をループバック(2では意図せずリバーブします)、Virtual Input AUXをVRChatへの出力に使っています。

私は配信はしていませんが、稀にボイチェンの遅延や音質を試すことも兼ねて歌ってみた動画を投稿します。ボイチェンにこだわるのは、それが人の自己認識にとって大きな影響を与えることがまだあまり知られていないと思うからです。自分で筋肉を動かして出した声がすぐに、余さず耳に返ってくることは、自分からは見えない部分も多いアバターよりも強いフィードバックになります。

(※この記事の投稿直前に、VRChatを通した後の音質の劣化は通信入力デバイス(ここではVoicemeeter bananaのVirtual Output)のゲインの上げすぎによる音割れが原因である可能性に思い至ったため、ゲインを下げて改めて比較動画を撮る予定です。)

交友関係

方針

2024年8月31日現在、私のフレンドさんは213人(一年間で73人の増加)、そのうち私からjoinして自然にお話ができそうだと思う方は六割ほどです(一年間で一割の増加)。これは、付き合いの深さ、私がついていける話題がありそうかどうか、相手のコミュニケーションの仕方の傾向、などによります。昨年と変わらず、フレンド申請をする/返す際には、イベント参加のために私から申請する場合を除いて、会話をして互いを尊重できることを確認することにしています。

Twitterでは昨年と同じく、原則としてVRでフレンドになった方をフォローすることにしています。また、VRからログアウトした後には常に、その日VRで経験したことをtwitterに書いています。人と話した内容もテーマだけは書きますが、Inviteのインスタンスで話したこと、個人的な経験に深く関わると判断したこと、秘密にしてほしいと明示的に言われたことは書きません。ただしInviteのインスタンスで話したことでも、公開する許可がその場の全員から取れているとみなせる場合には書くことがあります。写真の扱いもこれに準じます。

Private欄にいるフレンドさんには、原則としてInviteやRequest inviteを送りません。これは、気を許した相手と(あるいは一人で)過ごしている空間に穴を開けることと釣り合うだけの楽しさを私が提供できないと思っているからですが、前もっての約束があるときや、緊急で話したいことがあるとき、会いたければRequest Inviteを送ってほしいと明示的に言われているときについてはこの限りではありません。私自身は普段は緑ステータスにしており、このときにはInviteやRequest inviteは歓迎します。受けられないときには赤ステータスにします。

VR感覚はあまり強くありませんが、VR感覚を鍛えるために、他の方と不用意に身体が接触するのはなるべく意識して避けることにしています。撫でられるのは嫌いではありませんが、喜ぶかどうかは状況によります。最初に言葉か一拍ので合意を確認するような動きがあると好ましいと思います。頭と顔と手以外を触られることと、キスされることは好きではありません。許可を求められても原則として断りますが、触れるのを望むこと自体には悪い印象は持ちませんし、許可を求めること自体は常に許されているべきだと思います。

2024年8月時点でお砂糖とJUSTの経験はありません。これらを話題にすることには、一般論として・個人的な経験としてを問わず抵抗はありませんが(むしろ好みます)、自分で行うのは心からそうしたいと思う相手とに限られます。

三人以上の場でほとんど発言をしないのもまだ治っていません。その分、発言を求められたときに意義のあることを言えればいいだろうと思っています。

交友範囲

今の私のフレンドさんのほとんどは、JPT、哲学カフェ堂、理系集会、言ノ葉堂、フィッシュヘッド、夢幻堂プロジェクトを通じてお会いした方たちです。普段はこれらの繋がりの間を回遊しています。

これらの繋がりの外に出ることは、この一年でほとんどなくなってしまいました。twitterなどで見聞きしたイベントに参加することもほぼなく、この一年で交流を持つようになったフィッシュヘッドと夢幻堂プロジェクトも、元はぽこ堂で知り合ったフレンドさんにjoinしたときにたまたま接触したものです。見方によっては私の交友関係の全てはJPTとぽこ堂と理系集会から発しています。

しかしぽこ堂そのものには、昨年ほどには行かなくなりました。ぽこ堂で知り合ったフレンドさんたちと別のワールドで集まることはありますが、Publicで開かれているぽこ堂のいいところである、初めて会う方とお話して知り合うということへの意欲を私が失いつつあるのだと思います。加えて、私が哲学対話らしい哲学対話のお題に本当はあまり興味がなく、美少女やオカルトをはじめとした「私が貢献できそうな」話題に好みが偏っていることも理由の一つでしょう。

言ノ葉堂2号店で開かれる言ノ葉の集いには、今も時々参加しています。これは、一回に参加する人数があまり多くなく、その中に顔見知りのフレンドさんも何人かいるからでしょう。また、言ノ葉ラジオの「きっとあなたの140字」にも投稿を続けています。2024年7月30日の放送(第174回、お題「祭り」)で、作った140字がちょうど50本に達しました。もう少し長い作品もラジオで紹介していただいており、後述するように2024年8月27日の放送ではゲストとして出演させていただきました。歴史的には言ノ葉堂のコミュニティから派生した「モノガタリ交流会」にも、時々参加して私の作品を紹介させていただいています。

理系集会が開催を休止したことに伴い、そこでお会いしていたフレンドさんの幾人かともあまり会わなくなりました(これは今後も会わないことを意味しません)。一方、それまでに別の場所で会う習慣のできていたフレンドさんとは今でも交流があります。私の頭の上には今でも理系集会のグループバナーを表示していますが、これは墓標のつもりです。

フィッシュヘッドの皆さんとも、参与観察中の文化人類学者のような立ち位置で交流させていただいています。きっかけは2023年6月12日にFriendのインスタンスで偶然その一人と出会ったことで、以降はアバターやワールド制作のアイデアが面白いのでしばしばご一緒しますが、2024年8月にはフィッシュヘッド界隈の中と外の方たちが互いをどう見ているかについての長いnote記事を公開しました。

夢幻堂プロジェクトの集まりにも時々参加しています。集まりの発足する前、会場となる予定のワールド(今は使われていません)にいたフレンドさんに、ワールドの名前がいいと思ってjoinしたのがきっかけですが、発足するとオカルトや政治運動史に関心のある方たちが集まったので面白いと思って通っています。


それぞれの界隈でしてきたことに応じて、私はいくつかの名乗り方ができるはずです。例えば、美少女場の量子論を唱えている人、表現の自由に関心がある人、宇宙科学に縁のある人、VR小説を書いている人、フィッシュヘッドの歴史を研究している人、魔術師、何にでも『灼眼のシャナ』からの引用で返す人、バーチャル美少女ねむさんのシンパ、などです。しかし普段はたいてい「はい、チエカといいます。よろしくお願いします」で済ませてしまいます。まだ私の気にするようなことではないかもしれませんが、いわゆる「何者か」になってしまうと他の方との間に心理的な壁ができ、「何者か」同士で利用する・利用される関係しか結べなくなるかもしれないと思うからです。

実績

ここでは普段していることではなく、この一年間でそこから形になったことについて述べます。「何者か」になりたくないと言った手前、あまり自分を大きく見せたくはないのですが、してきたことに対する正当な評価は受けたいと思っています。

商品

言ノ葉ラジオの企画に投稿してきた作品を収録した同人誌です。「きっとあなたの140字」投稿作品を50作、「きっとあなたの1400字」投稿作品を3作、中編小説を2作、寄稿イラストを1作収録しています。


オリジナル作品

言ノ葉ラジオの企画「第8回きっとあなたの1400字」に投稿した小説です。言葉によって表しきれない感覚を表そうとしました。言ノ葉ラジオの第142回放送(2024年10月31日)で紹介していただきました。


VRでの経験をきっかけにあらゆるものが擬人化されて見えるようになった人の話です。アバターを使うことが人間の擬人化に他ならないというテーマのもとに書きました。「言ノ葉の集い Advent Calendar 2023」の12月20日分の作品として予定していたものですが、一日遅れました。第2回モノガタリ交流会(2024年1月21日)で紹介しました。また、言ノ葉ラジオの第156回放送(2024年3月5日)で紹介していただきました。2024年7月15日からは、メタクロスネットワーク様にて隔週で掲載していただいてもいます。メタクロスネットワーク様では2024年4月15日から6月15日にかけて、前作『卵割』も掲載していただきました。


「ハナサカステップ」という曲をフレンドさんに紹介されて感想を求められたとき、歌詞からイメージしたストーリーがその場にいた全員で違ったので、いっそそれらを小説として書いてみてはどうかということで「解釈小説対決」として書いたものです。私の解釈は「妄想説」に属し、他に「幽霊説」がありました。


前・中・後編からなる官能小説です。「自分自身にお砂糖を寝取られる」という発想から書き始めました。二つのアバターを同時に動かして同時にVR感覚を生やす仕組みを考える必要がありましたが、操作はマリオネットの片手持ちコントローラを模したアバターギミックで、VR感覚は催眠で実現するようにしました。第8回モノガタリ交流会(2024年5月12日)で紹介しました。マリオネットのコントローラをデジタル入力デバイスとして使うアイデアには先行研究があるようです(例えば https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj1983/25/3/25_3_457/_pdf)。

また、作中のシーンをイメージした歌動画を作りました。


言ノ葉ラジオの企画「第9回きっとあなたの1400字」に投稿した小説です。お題は「妖精」を選びました。認知革命の前夜、おおよそ七万年前~五万年前のホモ・サピエンスの少女がVRChatに迷い込む話です。何らかの情報を擬人化したものを妖精や精霊や神と呼ぶなら、アバターを使う人は全てその一員だと私は思います(正確には全ての人がその一員ですが、アバターコミュニケーションはそのことを意識しやすい空間です)。言ノ葉ラジオの第169回放送(2024年6月11日)で紹介していただきました。

感想・評論

「ソーシャルVRライフスタイル調査2023」の集計結果(https://note.com/nemchan_nel/n/n167e77d78711)の全項目にコメントをつけたものです。主に2021年の調査から何が変わったかに焦点を当てています。私は元々2021年の調査をもとにした『メタバース進化論』を読んだことを決め手としてVRChatに来たので、当時の調査で見えていた傾向が変わるかどうかは大きな関心事です。2023年の調査には私も回答しました。


バーチャル学会2023のポスター発表の予稿です。Vtuberに関して古くから「キャラクターと中の人は重ね合わせ状態にあり、観測によってどちらかに収束する」ということが言われてきましたが、この事態を美少女場の量子論の基本原理に基づき、フレーバー(美少女-おじさん)固有基底と伝播抵抗固有基底との間の非零の混合角によるものとして初めて数理的に定式化しました。


私のフレンドさんが、自分のアバターに酷似したキャラクターで成年向けアンソロジー同人誌を発売されたので、自分に連なるものを性的対象にする試みをもっと盛り上げたいと思い全ページにコメントをつけたものです。また、この時期は『アバターマリオネット』を書き上げて間もなかったことも、似た試みを応援しないわけにいかなかった理由です。


VRを題材にした小説『フルトラッキング・プリンセサイザ』の感想です。『フルトラッキング・プリンセサイザ』は、VRChatユーザーが読んで「自分のことのようで面白い」となる作品ではありませんが、ではこの小説はどう読めば面白いのかということは書いておきたいと思いました。


第9回1400字の感想を記録しておきたいと思ったので、先に以前の回の感想もまとめておくのが筋だろうと思って当時の私のtwitterから写してきました。私の好きな作品を私以外から一つだけ選ぶなら『まわる。』です。


これも当時の私のtwitterから写してきました。私の好きな作品を私以外から一つだけ選ぶなら『銀河の果てまで』です。


1400字の企画のたびに全作品を読んで感想をtwitterに書くのは私が参加し始めたときからの慣習ですが、今回は正直に言えば『敗者の残火』の感想を記録しておくためにnote記事にしたようなものです。


私のフレンドさんにお薦めいただいた小説『みどりいせき』の感想です。『みどりいせき』は文体のくだけ方と改行の使い方が一部のライトノベルと似通っており、こういう文体と題材の作品が純文学から出て評価されるようになったのは喜ばしいことだと思います。


催眠の技術のあるフレンドさんに二回目に催眠をかけていただいた時の記録です。こういうことを憶えておいて記録する性格なので催眠にはかかりづらいのですが、美少女に大きな価値を認めている以上は言葉で作られた仮構に没入する能力はあるはずですし、そうでなければ魔術師は務まらないので、いっそ自分で徹底的にかかったふりをしようという姿勢で臨むことでそれなりにうまくかかれました。


フレンドさんにお薦めいただいたルポルタージュ『ルポ 誰が国語力を殺すのか』の感想です。何を国語力の低下の表れとみなすかや、ゲームに対する立場は部分的に私と異なりますが、言語能力をつけさせるための取り組みとして紹介されているものは効果的だろうと感覚的にも思います。


VRChatのフィッシュヘッド界隈の歴史と、外部の方からの見られ方、そしてフィッシュヘッドコンテンツを人前に出すことの意義について書きました。このタイミングでこれを書いた理由は、フィッシュヘッドの活動が拡大して外部の方たちが「フィッシュヘッドの何がいいのか」を議論し始めたのを見てそろそろ誰かが記事を出しそうな気配を感じたから、外部から少数派に向けられるそうした分析が特殊性愛やオタクに向けられてきたものと同じ権力性を持っていることを指摘しておきたいと思ったから、VRChatを新しく始める方が増えたことを受けて既存の文化や原住民の考え方が失われないように言語化して残しておく必要があると思ったから、私が普段から美少女を贔屓していることの罪滅ぼし、フィッシュヘッドの一人の「人々の嫌悪感によって排除されがちな属性に市民権を得させるために積極的に人前に露出して人々を慣れさせたい」という方針に同意しこの考え方を広めたいと思っているから、です。

イベント登壇など

二日目のCブロック(応用数理・経済学)で「美少女場の量子論2―擬人化キャラクター論とメディアペルソナ論の交点」をポスター発表しました。


VR小説『Aleph』を紹介しました。


VR小説『アバターマリオネット』を紹介しました。


ゲストとして出演し、作品のテーマやVRへの考えについてお話しました。


二次創作

私が応援しているVtuberさんの活動六周年記念配信に寄せて作ったファンアートです。一つは和紙のちぎり絵、もう一つは祝詞です。


私が応援しているVtuberさんたちに脈絡なく送ったファンアートです。和紙のちぎり絵一枚を含む、アニメのパロディです。

この一年の雑感

何が楽しいか

VR環境が回復し、またTrustedになったことで、おのぼりさんだと見られるのではないかという不安はなくなりました。VRChatで自分なりのプレイスタイルを築いていて、ここでの処世術や礼節をある程度わきまえていると見てもらえるだろう、と思うと新しい場に出たり何か活動をしたりするときにちょっとした安心感になります。特に私は美少女やアバターに関して何かを言う活動をしているので、この点は重要です。

小説や記事が徐々に積み上がってきたことで、それらの作品を通して認知されることが時々あるようにもなりました。稀にですが、初対面の方から「twitterで時々見かける人」「これこれのnote記事を書いた人」として知られていることがあります。私は流行に乗ったり毎日記事を書いたり親しみやすい口調で宣伝したりするタイプではないので、私にしか書けなさそうな内容・量・切り口で、長期的に特殊かつ切実なニーズを持った誰かの役に立つようなものを残していきたいと思っています。

フルトラになりましたが、トラッカーを着脱することは特に面倒だとは感じていません。今ではむしろ3点やデスクトップでは私でないような感じがしています。表情や姿勢をあるべき形に保つ労力はかかるのですが、それによって物理肉体の方をあるべき私に合わせるように矯正したいと思っています。

何が厳しいか

私がVRChatを始めた頃に出会ったフレンドさんの多くが、ほとんど常にPrivate欄にいるようになりました。特に物理女性だと判明している方たちについて顕著ですが、これに限られません。個別に理由を尋ねたわけではないものの、まず考えられるのはしつこく関係を迫ってくる人がいたからという理由です。迫られる方には気の毒に思う反面、私もPrivateにいる方にRequest Inviteを送ることが憚られるので寂しく思います。また、そのようにしつこく迫る人は一体どこで上手な人付き合いを学び、どこで救済されることができるのだろうということを私はいつも考えます。

新しく人と出会う機会も、一年前に比べれば減りました。トラストランクのようにシステム面からフレンドを増やすことを促す仕組みが、Trustedになって働かなくなったこともあり、またいつログインしても安定して会えるフレンドさんたちに恵まれていることもあり(この安定が見せかけにすぎないことを私は理解しているつもりですが)、知らない界隈やイベントに自分から足を向けることが減ったためです。特に一年前によく通っていた、ポピー横丁のBAR Pyxisにはほとんど行かなくなりました。しかし場所や人に悪い印象を持っているわけではないため、また行きたくなることもあるだろうと思います。

フルトラになりましたが、人と話しているときに身振りで自分が口を開く予兆を伝えるのはまだうまくいきません。恐らく目線の情報が必要なのだろうと思っています。なおトラッカーについては、現時点では多少費用がかかってもViveトラッカーをお薦めします。数時間にわたって会話をすることが多く、また物理現実側の事情を相手に意識させず自分で表現する通りの存在でありたいと望む私にとって、十五分に一度特徴的なポーズをとらなければならないHaritoraX ワイヤレスのキャリブレーションは無視できないものでした(2024年4月13日時点、VR Managerベータ版リリース前)。

VRChatが「やさしい世界であってほしい」という期待に覆われていることの副作用として、自分の言動や作品に対して忌憚のない意見をもらいづらい、他の人に注意や批評をしづらい、ということも感じています。これは何かを始めたばかりの人の意欲を削がないという点でよいことであるはずなのですが、自分の問題に気づかない、迷惑行為への対処法が分からない、という結果も産んでいます。しかし、現実の慣習を安易に持ち込まず、VRではどうするべきなのかを一から考えることを促しているとも言えるため、これはこのままでいいと思います。

おわりに

私は拡大していくソーシャルVRの世界に追いつくほど色々な場所に行ったわけではないものの、最初の年の物珍しさや期待が薄れ、「VRChatはだいたいこんな感じ」という倦怠が出つつあります。これから思いもよらないことが起こるのかもしれません。しかし、そうして日常の一部になったときに、真にソーシャルVRは生活の場となり、ユーザーは世界に定着したと言えるのかもしれない、と思っています。

以上が私がVRChat二年目を通して感じたことの記録です。これまでVRで出会った皆さん、これから出会う皆さん、次の一年もどうぞよろしくお願いいたします。


〈以上〉

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