『チョコレートの手引』⑤原料の生産国について学ぶ

この本についても5回目となりました。

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カカオは世界で作られていますが、その土地の気象条件や土壌、栽培方法などで味わいが変わります。

ざっくりと赤道の北緯〜南緯20度の、地域で条件が揃っている箇所が産地として多く、
主に、アフリカ、中南米、東南アジアです。

2014-2015年 カカオ豆生産量、
4233千トンのうち、
アフリカが3071千トンで72.5%、
中南米761千トン18.0%、
東南アジア401千トンで9.5%です。
アフリカが圧倒的!

では国ごとの特徴をみていきます。

コートジボワール
1890年頃フランス人によりカカオ栽培が持ち込まれ、今では生産量の約40%以上がコートジボワール産です(世界第1位)。フォラステロ種で、苦味、渋味がしっかり。

ガーナ
生産量世界第2位。1879年頃に西インド洋の島からフォラステロ種のカカオ豆が持ち込まれました。小型のアメロナード種、アマゾン種のハイブリッド種が栽培の主流。国の機関・ココアボードが管理しているので品質が安定しています。苦味と酸味のバランスが取れています。

ココアボードの下部組織
CMC:カカオ豆販売
QCC:品質管理
CPC:カカオ豆生産
PBC:仲買
CRIG:品種・栽培の研究

マダガスカル
トリニタリオ種がメイン。豊かな酸味と果実感(赤いベリーやカシス)あり。

サントメ・プリンシペ
1824年にポルトガル人がブラジルのフォラステロ種の挿し木を持ち込む。力強い風味の中に、スパイス・ハーブなど複雑な香り。

カメルーン
他の豆より赤みを帯びていて、レッドカカオと呼ばれる。西部地域に集中しており、雨が多いので人工乾燥を行うので、独特の燻臭がつくリスクも。

ベネズエラ
主にトリニタリオ種ですが、一部ではクリオロ種も栽培しています。高品質で香りがよい。

スーデルラーゴ まろやかな味わい
ポルセラーナ クリオロ性が強く繊細な香り
チョロニ・チュアオ・オクマーレ 果実や花の香りが強い
カレネロ フルーツ、ナッツ感
リオカリベ フォラステロ性が比較的強い

エクアドル
スペイン語で「赤道」という意味。固有のアリバ種(フォラステロの一種)は、ジャスミンの花、果実の蜜のような香りと軽い渋味。
CCN-51 アリバ種とフォラステロ種のハイブリッド。華やかさは弱いが、短期で収穫しやすい。

ドミニカ共和国
1665年にカカオが持ち込まれ、クリオロ性が残るトリニタリオ種がメイン。鮮やかな酸味、トロピカルフルーツやドライフルーツの風味。

トリニダード・トバゴ
トリニタリオ種の起源。もともとはクリオロ種を生産。その後フォラステロ収穫が持ち込まれ、わずかなクリオロ種と交雑し、栽培しやすくしました。量が少ないので高値で取引されやすいです。

メキシコ
もともとクリオロ種の起源の地でしたが、今はトリニタリオ種。鶏肉にカカオとスパイスを使用したソースをあわせた「モレ・ポブラーノ」という料理もあるほど!

ブラジル
ブラジル産は、フォラステロ種が起源。東部トメアス地区では、アグロフォレストリー農法(農業と林業の掛け合わせで、持続的な土地利用)によって生産しています。

インドネシア
生産量は世界第3位。フォラステロ種が主。天気が変わりやすく発酵を行わないので、渋みや酸味が強い。木炭などのスモーキーな香り。ウイスキーのピート香も特徴。
ジャワファンシー:クリオロ種の強いトリニタリオ種。

ベトナム
フォラステロ種とトリニタリオ種の栽培。酸味がやや強めで果実味、ややスパイシーな香り。

パプアニューギニア
薪を使用した人工乾燥。繊細でフルーツのような風味。

カカオ生産量(2014-2015)が多い国
コートジボワール、ガーナ、インドネシア、エクアドル、カメルーン、ブラジル、ナイジェリア

次回は、カカオの愉しみかたについて学びます。

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