熱中症で亡くなった叔父のこと

いつか書こうと思っていたこと。

2019年の7月はとても暑い7月だった。

中旬に、めったに連絡なんてとらない親戚から、一本のメールが入った。「Yが死んだらしい。また、連絡する。」

Yおじさんは、父の弟で独身一人暮らしだった。女っ気を感じたことは無かったけど、頼まれて部屋の掃除を手伝ったときに、うずたかく積まれたエロビデオはあった。(1990年代)

自営業だったこともあり、健康的な生活をしているとは思えなかった。安全運転にはうるさかった。私が車の免許をとって初めて公道で運転したときに、助手席に座ってくれた人だ。タバコは吸わなかったけど、お酒は浴びるように飲んでいた。釣りが好きで、若いころは友人と釣り船を共同所有して釣りに行っていた。心臓が悪くて薬を飲んでいると聞いていた。祖父母の介護は叔父が中心でやってくれていたので、とても感謝もしていた。いろいろな部分が均等ではなく、なんとも不思議な人だった。

そんな叔父がひとりで亡くなったと聞いて、正直そんなに驚かなかった。

2019年、記録的なあの暑い日が何日も続いたときに、部屋の中で死体で発見された。新聞が取られていないことに気が付いた近所に住む親せきが訪ねて行った時には、既に亡くなっていた。

一人暮らしの自宅で亡くなって発見されたことで、警察が入り、変死扱いで司法解剖がされた。事情聴取もされた。結果的には事件性はなく、「熱中症による」とされたようだ。死体検案書を見ていないので分からないが。

葬儀が済んだあと、私たち甥姪に召集がかかり、部屋の大掃除が行われた。召集指令に添えられた注意事項「暑いけど、長そで長ズボン、マスク必須。運動靴のまま上がってくれ。」と。どういうこと?

行って納得。1LDKの部屋・・・物が多すぎ! というより、ごみ屋敷。どうやって生活していたんだろう。大人7-8人がかりでまる一日頑張っても終わりが全く見えないごみの量。普段から産廃を扱っている専門職な親戚が指揮しているのに終わらないってどういうことよ? 

一番多かったごみは、ビールや発泡酒の空き缶と焼酎・ウイスキーの空き瓶、水のペットボトル。リビングの床にばらばらと、足の踏み場なく敷き詰められていた。ちょろちょろしか流れないトイレとごみ置き場になっているお風呂、ちらばっている薬、ほこりが積もった仏壇、2005年のカレンダー・・・どうやって生活していたんだろう?

認知症があったことは間違いない。アルコール性のものかも知れない。若いときから相当の量のアルコールを継続して飲んでいたし。止める人はいなかった。

最後の数年間は、セルフネグレクトの状態でもあったのだろう。

事前に状況が知れたとして、専門職としてどうかかわれただろうか? ヘルパーをいれて、少しずつ一緒に部屋の中をきれいにする? 昼からアルコールを飲まないために、デイサービスに通う? 本人はそれを望んだだろうか。
熱中症で孤独死、死に際に会いたい人はいなかったのだろうか?

後片づけは大変だったが、借金はなく(貯金もなく)、周りに迷惑をかけることもなく、消えるように亡くなれたのは、うらやましくも思う。



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