見出し画像

モンゴルで5年働いて変わったこと

私は結局モンゴルで5年働いたわけですが(当初の予定は2年)、その中で人間的に変わったよな〜と思います。新卒で入ったので仕事ができるようになったとかそういうものだけでなく、変わったところがあるように思います。

5年働いて何が変わったのか、考えてみます。

人にやさしくなった

マイノリティとして仕事をしていると理不尽なこともありますが、分け隔てなく声をかけてくれる先生や日本人の意見を尊重してくれる先生もいて、温かさが身にしみました。相手の気持ちを想像して行動することの大切さを学びました。
あと、モンゴル人って基本的に年上の人に優しいんですよね(文化的なところがあるみたいです)。バスの中で席を譲るのは当たり前、逆にやらないと気持ち悪いみたいです。日本に来た生徒の引率で電車に乗っていた時、ちょっと離れていたところにいる年配の方を発見した生徒は、その人を呼びに行って「どうぞ」と席を譲っていました。譲られた方もびっくりしていましたが、彼らにとってはそれが当たり前のようです。ちょっとしか歳が離れていない私ですら、バスや電車などで「先生、どうぞ座ってください」と言われます。
校内で荷物を持って歩いていると、生徒が持ってくれることもしばしば。椅子や机を運んでいるとよく生徒が「持ちましょうか」と声をかけてくれました。聴解の授業はCDプレーヤーとか荷物が多くなりますが、そういうものを職員室まで持って行くと申し出てくれた生徒も多数。ある生徒は私が帰る時間に現れ「先生帰りましょう」と、家まで私のノートパソコンを持って送ってくれました(まあ、学校の寮に住んでたのでめっちゃ近いんですが)。ノートパソコンぐらい持てるんですよ、私も。でも、そういう小さいことが、異国で生きる私にはうれしかったです。
たくさん助けてもらって、助けられるありがたさがわかり、私も手伝いたい、小さいことでも人の役に立てるって良いな思うようになりました。

学校って楽しい


日本にいたときは、「学校が楽しい」と思ったことはあまりなかったです。生徒だったから?集団生活が苦手だったから?よくわかりませんが、モンゴルの学校は毎日に行くのが楽しかったです。先生になったからかもしれません。集団行動はそんなにしなくていいし、生徒からはよく話しかけられるし…それとも学校自体が楽しかったんでしょうか?
これは先生視点で楽しかったことですが、いつも日本語の授業を真面目に受けていない生徒が、学校のイベントでバスケがすごく上手だったり、他の科目のオリンピック大会で好成績を上げていたり、「日本語はあんまり…だけど、他のことは頑張ってるんじゃん!」っていうのがとても楽しかったです。(ということで、よく仕事をサボって体育館にバスケとか見に行ってました)

生徒が一番の先生


いつも一生懸命がんばっている生徒たち。先生のこともよく観察しています。生徒の何気ない言葉で気付かされたり、学んだりすることもたくさんありました。
正直、私が行ったころのモンゴルって発展途上国と新興国の間ぐらいの位置づけで、バブルとインフレとでみんながみんないい生活を送っているわけではありませんでした。モンゴルって300万人しかいないし、ロシアと中国の間の地政学的にも微妙な位置にあるので、それを生徒は全て背負った上で勉強しているような印象を受けていました(勝手な偏見?)。
地方から一人で出てきて、親戚の家や寮から通っている生徒もいたし、両親が仕事で忙しくて、幼い弟や妹の学校の送り迎えや世話を昼休みや放課後にしている生徒もいました。それでも、文句も言わずがんばる生徒を見ていると、私の人生めっちゃ楽してたな、彼らにできることはないだろうかと私も考えるきっかけになりました。
そうやって一生懸命生きているからなのか、日本語で話すと語彙が少なくてストレートに話さなければならないからなのか、結構真意をつくことを言ってきたりしました。「先生はなんのために生きていますか」って聞かれたりとかね。
それ以外にも、私のことをよく観察していて、「先生はいつも呼び止めるとなんで直立不動なの?」と聞かれたりしました。とりあえず「気を付け」をしろと、12年以上教育を受けた成果がここで現れたようです(私も気付いていなかった)。日本の教育ってこういうことなのか…と生徒に教えられました。

おもしろい国だなぁ


日本と違う「遊牧文化」のモンゴルは、伝統文化が日本以上に日常生活に根付いていました。時間感覚や考え方も合理的で、最後には何とかなってしまう「火事場の馬鹿力」がすさまじいです。
私は計画をしっかり立てて、計画通りに進めたいと思いますが、計画がうまく行かなくても全然大丈夫、問題があったらみんなで考えて協力してくれるモンゴルでの仕事は非常にやりやすかったです。逆に、計画を先に考えておくので、困ったときに頼られることもしばしば。
それ以外にも、「冬には肉を食べろ」「体調が悪い時はラクダのミルク」など、都市に生きる人も遊牧民の考え方を大切にしていて、スキあらば草原に行きたがる(勝手なイメージww)のモンゴル人は、やっぱり遊牧民の血が流れているんだなぁ、と思いました。私も草原への旅行は大好きです。

親に感謝するようになった

親に感謝してなかったわけじゃないんですが、モンゴルに行って、年上の人を大切にする姿勢、特に親に感謝する気持ちを表す場面に何度も出くわしました。日本語の作文に想いを綴ったり、留学前の壮行会では必ず両親への感謝を伝えているし、両親が出張で家を空けがちな生徒も、「でもお父さんとお母さんの給料で私は学校に通えているから」といっていて、私は何も考えずに高校や大学に通っていたな、と思いました。そこから、私も改めて親に感謝しないとなと思うようになりました。


発展途上国への見方が変わった


モンゴルは今は新興国という位置付けが良いのかもしれませんが、いわゆる先進国ではない国=遅れているという考えを改める機会になりました。私は大学生のころは英語圏の国に興味があって、それ以外の国に行くという考えが全くありませんでした。もちろん、国の名前や位置、なんとなくの情報は知っていても、私の興味のある国の世界地図には載っていませんでした。モンゴルに行ったのも、仕事が見つからなくて仕方なく、というところがありました。
でも、実際に行ってみてびっくりしました。日本は物質的に豊かだけど、殺伐としたところがあると思いました。モンゴルは人があったかい。私も学ぶべきところがたくさんあると気づきました。そして、「日本のような発展した国になりたい」という生徒に、「日本みたいにならないで〜(反面教師にして〜)」と言っていました。モンゴルのいいところを生かして発展してほしい、具体的にそれが何かは私も表せないけれど、唯一無二のモンゴルらしい発展ができるはず、と思っています。

これは、実際に行ってみないとわからなかったし、住んでみて、働いてみて分かったことだと思います。外国で仕事をすることは大変なこともあったけど、悪くない選択だったと思います。

いただいたサポートは、お茶菓子代に使わせていただきます。いつもギリギリで生きているので、いただいたサポートの分、息抜きしたいと思います。