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「ケーキの切れない非行少年たち」読了。読み物として面白かった。

「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)読みました。賛否両論あるみたいですね。それは、Amazonレビューとか読めばいいかと。確かにそう感じる部分もあるな、って納得できたりもする。

個人的には、著者の推論なのか体験なのか、それとも学術的に言われてることなのかがわかりやすく書かれているのが親切で快適に読めました。

そこらへんがゴチャゴチャしてる新書はしんどいので。

いきなり関連図書

自分は大学院で少年非行に関する授業を取っていたことがあったので、そこまで衝撃は受けませんでした。

元保護観察官の先生が直接授業をしてくれて、生々しさがすごかったので。

授業の教科書として使われていた、先生の著書を貼っておきます。「少年非行-保護観察官の処遇現場から」という本です。もっと「非行少年について知りたい」という感想を持った方はこちらも読んでみると良いかもです。

「ケーキの切れない非行少年たち」では、非行少年の頭の中で何がおきているのかを解説してくれていますが、こちらは著者が関わった非行少年一人一人の育った環境や心理的な困りごとなどにグッと迫っています。

詳細な事例の紹介を通して、「ケーキの切れない非行少年たち」とは異なる観点から非行少年についての理解が深まるのではないのでしょうか。

関連図書として1冊紹介しているけれど、私もそんなに詳しくないので他にも良い本があればぜひ教えてください。

ざっくり内容

本書の内容は、目次とかレビューを調べるとすぐに出てくるでしょう。IQや認知力の低さによる困りごとを抱える非行少年たちに目を向けて、問題提起をしています。「悪いことをしたら反省しろ」というけど、そもそも反省という行為が難しい非行少年もいるんだよ、ということで。

あと、後半では、認知力を改善するトレーニング方法なども紹介しています。学校などでもできそうです。

そうなんだ〜ってなったところ

今はIQ70未満が知能に問題があると判断されるけれど、昔は85未満だったんですね。個人的に一番気になった記述です。

しかし 、 「知的障害は I Qが 8 5未満 」とすると 、知的障害と判定される人が全体の 1 6 %くらいになり 、あまりに人数が多過ぎる 、支援現場の実態に合わない 、など様々な理由から 、 「 I Q 8 5未満 」から 「 I Q 7 0未満 」に下げられた経緯があります

そもそもIQって100未満でも生活につらさを感じる場合があるのに、「85あるからセーフじゃん!甘えるな」などと言われちゃうとしんどいですね。

こういう基準って、世の中が知的障害だらけになってしまう って理由で改定されたりするんですね。実情としては知的にしんどさがあるのに、「はい、健康!努力してね!」って健常者と同じ基準で戦わなきゃならないのは大変そう。

教育現場だと、「グレーゾーン」として特別支援教育の対象になるかならないかの境界線に位置する子どもを把握することはありますが、社会に出るとそんなもんないしなあ。

あ、この本、ケーキを上手に切れない子どもについては数ページ程度の記載です。上記のような認知の歪みの例として紹介されている程度です。衝撃的な内容ですし、タイトルの付け方うまいですよね。

著者の表現が好き

内容と全然関係ないんですが、文章の書き方が好きでした。嫌味ではない程度の皮肉が含まれてたり、軽快だったり。抜粋して紹介します。

「反省できるだけでも上等ではないか 」ということでした 。

この本の本質的な内容でもあるのですが、ワードが強い。

では 、少年院に入って教育を受けると 〝人を殺したい気持ち 〟は消えるのでしょうか 。

そんなことないよね って内容なんだけど、パンチがある。

少年院の非行少年の中にもいました 。少年院で教官の先生から注意や指導を受けると 、 「僕は褒められて伸びるタイプなのに 」と泣きながら言い訳をしたりする少年が 。きっと親からそう言われてきたのでしょうが 、その結果が少年院です 。

過度に褒める教育は効果ないからやめろって内容の記述。「その結果が少年院です」は従事してた人だからこそ書ける辛辣さ。

こういう強い印象をともなう文章書けるようになりたいなー、と思いながら読んでいました。

130ページくらいの読みやすい量で、Kindleでも買えます。話題書なので興味のある人は是非。2時間くらいで読了できました。

ところでタイトルの「の」が気になる

「ケーキの切れない非行少年たち」ってタイトルが衝撃的ですよね。

個人的には、「ケーキの」の「の」がきになります。文法的に間違いじゃないかって意見がツイッターでも散見されましたが、多分あってる気がする。

映画の見れない環境
映画が見れない環境
映画を見れない環境

どれも言いますよね。じゃあ、この「の」は文法的になんなんだ。

主格の「の」だと、「が」と入れ替えができるんでしたっけ。今回のように「ケーキ」という対象を示す「を」と入れ替えができる場合の「の」は文法的になんて呼ばれるんですかね…?

「ケーキの切れない非行少年たち」や「映画を見れない環境」の場合、「ケーキの切れない」「映画を見れない」が「非行少年たち」「映画」をそれぞれ修飾すると思うのですが、この場合の「の」は文法的にアリなのか、なんて呼ばれてるものなのか気になります。

彼の話す内容は難しい
彼が話す内容は難しい

のように置き換えができる「の」とは違う気がするのですが、どうなんですかね…。彼を話す内容は難しい となると別の意味になるので。

ここ数日、ネットで検索しまくってもうまく見つけられてないので、日本語に詳しい方がいましたら優しく教えてくれると嬉しいです。

ではでは。
#本の感想 #読書 #非行 #学校 #感想 #読書

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千鳥あゆむです。なんか数年前にnoteidをchidorimediaにしてたっぽいので、本とか記事とか映画とかを読んだり見たりした感想を書きます。ネタバレはするかもしれないけど私は悪くない。あと、東京の美味しいインドカレー屋を教えてください。

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