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【選挙ウォッチャー】 東京都知事選2020・豊洲開場直後のトラブル。

多くの反対を押しきって進められることになった築地市場の豊洲移転。かねてから多くの人が指摘しているように、この豊洲新市場は隅から隅まで欠陥だらけ。不便になることはあっても便利になることはないという無能を極めたハコに仕上がっており、10月11日の開場直後からトラブルが多発しています。この問題については、たくさんのメディアやジャーナリストが追いかけていることもあり、選挙ウォッチャーである僕としては、どのような問題が起こっていたのかをまとめることで、2020年の東京都知事選に向けた資料とさせていただきたいと思います。

なぜ、トラブルが多発することが予想されていたのに、何一つ改善されないまま、混乱を放置した状態で開場することになってしまったのでしょうか。これは小池百合子都知事はもちろん、このプロジェクトを進めてきた都議会議員や歴代の知事にも責任があります。そして、こうした問題が一部で指摘されていたにもかかわらず、無関心を極め、野放しにしてきた有権者にも責任があります。築地の歴史と伝統を壊しただけで、新たな文化が生まれるとは思えない豊洲新市場の現状をお伝えしたいと思います。


■ 豊洲新市場は観光客が来るところではない

築地市場は、市場の敷地内に入らずとも、その周辺の場外市場や飲食店、街並みなどを楽しむことができましたが、豊洲新市場の周辺には飲食店はもちろん、観光できそうな施設も存在しないため、そもそも楽しくありません。ちょうど今日から一般人も中に入れるようになるそうですが、中の飲食店に昔のような風合いはなく、無機質なデザインの店内で食べることが「おいしさ」につながるとは思えないため、どんな名店であっても、かつてのような売上を期待することはできないのではないかと予想します。また、豊洲新市場の最寄り駅は、ゆりかもめの新市場駅ということになりますが、有楽町線の豊洲駅からは2駅も離れているため、歩いて行くには遠いのです。足の悪い人が行こうと思ったら、わざわざゆりかもめに乗り直さなければならず、交通インフラが整っていません。「豊洲」というイメージから豊洲駅に行ってしまう人が多いと思いますが、ここから遠いというのは最悪です。外国人にも不親切なので、観光産業にもマイナスになりそうです。


■ 築地市場と豊洲市場の基本的な話

築地市場は1918年の米騒動をキッカケに、1923年に生鮮食品が広く適正な価格で取引されるように中央卸売市場法を制定し、1935年に開業しました。現在は大手スーパーなどが卸売市場を通さない方法で取引をしているので、1980年代には80%以上が卸売市場経由で入荷していましたが、現在は約50%ほどになっています。それでも「築地」が世界のブランドになっているのは、仲卸業者たちの厳しい「目利き」によるものが大きく、しっかりと品質の良いものを選び、良質な生鮮食品を提供することを仕事にしてきたため、一流レストランからも信頼され、愛されてきたのです。しかし、近年になって大手スーパーなどを中心に「目利き」を嫌う傾向が出てきました。仲卸業者を通すと、良い商品は値段が高く、悪い商品は値段が安くなってしまうため、何でもいいから安く仕入れたい大手スーパーは悪い商品ばかりを掴まされることになります。これでは顧客を満足させることができないため、目利きをせずに、良い商品も悪い商品もゴチャゴチャの状態で、あとはお客さんの目利きが悪かったと言わせたいのです。築地が「目利き」によってブランド化されていくことになったのに、目利きのプロたちを使い勝手が悪く、どう見てもお客さんが来るとは思えない豊洲市場に押し込んだのは、単純に築地市場から移転させたかっただけでなく、目利きをなくし、良い商品と悪い商品をなるべく分けない世界を実現するためではないかと言われています。そんな豊洲市場なのですが、実は、どう頑張っても赤字が続くビジネスモデルになっています。築地市場はトントンだったのですが、豊洲市場は維持していくのに都民の税金を使わなければならない仕組みだということです。今でも駐車場代などが高いことに不満が出ているのに、これを少しでも解消しようと思ったら、さらに料金を値上げなければならなくなり、ますます豊洲市場を利用する業者の負担は増えることになります。また、豊洲市場は常に魚を冷やせるコールドチェーンに対応しており、氷を使う必要がないと考えているようですが、セリ市場の室温が30度に迫るなど、夏の暑さが一段落している時期にコレなので、今後、冷凍マグロが溶けるような室温にならないとも限りません。そんな時に氷で冷やすこともできないので、本当はなかなか欠陥だらけです。ただ、メディアは悪いことばかり報じるわけにもいかないということで、豊洲市場が築地より広いとか、ヨーロッパに輸出するために衛生管理の国際基準を満たすための認証可能な施設だとか、いろいろなメリットを話しているのです。ただ、築地をそのまま使おうとは言いませんが、築地を市場関係者の意見を取り入れて改修したら本当は「世界最強の市場」ができるのではないかと思います。なぜこうした戦略を取らないのかがまったく理解できません。


■ 水神様を軽視する東京都の関係者たち

築地市場を豊洲に移転するにあたり、東京都はまず築地市場内にある神社を破壊しました。「ここにはもう神様はいない」ということにして、神様を信仰している人たちを排除することにしたのです。僕は神様を熱心に信じているタイプの人間ではありませんが、もし信仰している人たちを大切にするのなら、築地市場の神様を引っ越しさせるのは最終日を終えてからにするべきで、豊洲市場をオープンするにしても、まずは水神様を鎮座させてからオープンするべきです。ところが、人々の信仰や神様さえも軽視する愚かな人間たちが、まるで追い出すかのように神様を移し、いまだ豊洲市場の神社はオープンしていなかったのです。こんなことだからターレーの事故が起こったりするのではないかという話なのですが、神様に対してもこんな仕打ちをしているのですから、このまま無事であるはずがありません。

東京都の職員たちは、自分の立場もあろうかと思いますが、築地市場から出ていかない人たちを強制的に排除しようと、嫌がらせのように客の姿までビデオで撮影する始末ですが、神様にさえマウンティングしてしまう強引なやり方で、人々の反発を招かないと思っていること自体がマヌケです。5700億円もかけて欠陥だらけの新市場を作って、欠陥だらけであることを認めず、基準値以上の化学物質が検出されても安全だと言い張り、地盤沈下していても大丈夫だといい、一方的な安全宣言で突き通そうとしているのですから、やがて責任を追及される日が来るはずです。その頃には責任を取らないつもりなのでしょうけど、そんな奴は地獄に落ちたらいいと思います。


■ 初日からターレーをめぐるトラブルが続出している

築地市場の名物とも言える「ターレー」は、豊洲に移転してからも使われています。築地市場は広く平坦だったため、ターレーは市場関係者にとって使いやすい乗り物で、だからこそ重宝されてきたわけですが、豊洲新市場はスロープが多く、ターレーとトラックが混在して走る危険なルートも多いため、あまり便利な乗り物ではなくなってしまったというのが現状です。初日はターレーが炎上したり、女性がターレーに挟まれるという事故もありました。こんな事故が相次ぐようであると、豊洲市場は安全設計とは言えません。まだオープンして数日なので、このまま見守るしかないのかもしれませんが、重大な事故が起こらないことを祈るしかありません。


■ 小池百合子都知事はスカートで寿司屋を貸切に

あのオバハン、何を考えているのかが全然わかりません。豊洲新市場が開場を迎えるにあたり、視察にやってきた小池百合子都知事。その出で立ちは、まさかのスカートに長靴という奇抜なものでした。かつてはそのファッションにも関心が集まった小池百合子都知事ですが、まったくTPOを考えない、空気の読めないファッションで登場したのです。そして、週刊文春の報道によれば、この日は築地市場にあった名店「大和寿司」という寿司屋を借り切って、側近たちとともに贅沢ランチ。開場のご祝儀だと言わんばかりの振る舞いですが、この混乱の責任を微塵も感じていないということを証明したに過ぎません。


■ 東京五輪では築地市場を輸送の拠点にする計画

どうして強引に豊洲市場への移転を進めたのかと言うと、築地市場を解体し、2020年の東京五輪の際に輸送の拠点となる場所を作ろうと考えたからです。しかし、猪瀬直樹さんが滝川クリスタルさんと一緒に「お・も・て・な・し」とか言っている頃は、半径8キロ圏内ですべてを楽しめるコンパクトなオリンピックにすると言っていたはずでした。ところがどっこい、ゴルフは埼玉県だし、野球は福島県だし、もはや「ちっとも東京ではない」というオリンピックになっているので、当初の「コンパクト五輪」というコンセプトは微塵も残っておらず、福島県まで野球を見に行くのに築地の輸送拠点は必要ありません。こんなグダグダな計画になっているのに、平然と「輸送拠点が必要だ」とホザいている東京都の職員たちは、脳味噌が沸いているとしか思えません。自分の立場ではそう答えるしかないのかもしれませんが、まずは「おかしい」と言わなければならないのではないでしょうか。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

豊洲は、都内で生活している人でさえ「不便」だと感じるような僻地です。JR山手線の有楽町駅から地下鉄の有楽町線に乗り換えて8分。ただし、ここからゆりかもめに乗り換えて市場前駅に行かなければならないので、トータルでは20分以上かかります。新橋駅から「ゆりかもめ」に乗って行く場合でも27分。一方の築地市場は有楽町駅や新橋駅から歩くことも可能で、タクシーなら5分程で到着します。便利な場所に移転するならともかく、交通インフラがまったく整備されていない不便な場所に移転するというのですから、誰にもメリットのない話なのです。これまではシェフが自ら築地で仕入れてランチ営業していたお店が、アクセスの悪い豊洲市場まで行っていられないので、ランチ営業を取りやめる、もしくは豊洲市場から仕入れないということになれば大ダメージです。誰も試算してくれないと思いますが、豊洲市場に移転したことによる経済損失は建設費の5700億円を軽く上回ってしまうのではないでしょうか。強引に移転するからには反対した人たちでさえ「豊洲に引っ越して良かったこともある」と思ってもらわなければなりませんが、今のままでは確実に賛成していた人たちさえ後悔することになりそうです。そもそも赤字を垂れ流し、使い勝手が悪く、アクセスまで悪いという経営戦略を考えた人間が誰もいないような市場が、再び築地のようなブランドを築き上げることができるかと言ったら、そんなことはないでしょう。日本の食文化を世界に発信するためには、豊洲を一時的な引っ越しの場として、再整備して築地に戻すべきだと思います。これまでの歴史を無条件に手放し、職人たちを引退させるなんて愚の骨頂です。東京都知事選は2020年に行われますが、まずは小池百合子さんが都知事ではなくなることが東京の新しい未来を築くための第一歩かもしれません。[了]

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選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを公開中です。立候補する方、当選させたい議員がいる方は、すべてのレポートが必見です。