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【選挙ウォッチャー】 日野市長選2021・分析レポート。

4月11日告示、4月18日投開票で、東京都の日野市長選が行われ、とんでもない結果になりました。市民の政治に対する無関心が、とんでもない結果を生み出してしまったのです。選挙というのは、政治のことを真剣に考えている人も1票を持っていますが、政治のことをまったく考えておらず、雰囲気で投票してしまう人たちも等しく1票を持っています。政治に興味を持たない人が多くなれば多くなるほど「バカの1票」が重みを増していくことになります。先日の宝塚市長選ではギリギリのところで知性派が勝ちましたが、N国党の出現によって明らかになったように、僕たちは「反知性派」と戦わなければならない時代に突入しているのです。

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大坪 冬彦 63 現 自民・公明・国民・都民F・生活ネ推薦
有賀 精一 62 新 無所属(共産・立憲の一部支持)

この選挙が「とんでもない結果」だと言えるのは、けっして「自民党が勝ったから」という話ではありません。自民党にも良い市長はいるし、どんなに菅政権がバカだったとしても、だからと言って、自民党が全否定されるべきでもありません。ただ、「元副市長が億単位の横領をしていた」という前代未聞の大事件が起こっていて、その副市長と関係が疑われる市長が潔白を証明するわけでもなく、再び市長選に立候補し、当選をしている。これは「異常」としか言いようがありません。おそらく、大半の市民がこのレポートを読まされて、「そんなに酷いことが起こっていたのか!」を目を丸くすることでしょう。これは大坪冬彦さんが主張するような「デマ」「フェイクニュース」といった類のものではありません。そもそも「副市長が億単位の横領をしていた」という話は事実であり、既に刑事事件になっているのです。こんなに深い闇がありながら、百条委員会を開くことも拒否をしているのに再選してしまうのです。これは単純に「事件のことをよく知らないから」に他なりません。田舎だったらとっくにクビになっているだろうけれど、クチコミで詳細が広がることのない都会だからこそ、このような結果になってしまっているのだろうと思います。この世に必要なのは、間違いなく、わかりやすい情報発信なのだと思います。


■ 日野市副市長の横領事件をわかりやすく解説

逮捕された日野市の元副市長・河内久男容疑者(79)は、市の職員として土地の区画整理を長く担当し、助役や副市長を2009年まで12年間務めました。前副市長の馬場弘融さんの時代に副市長だった人物で、逮捕直前は「日野市川辺堀之内土地区画整理組合」の理事長相談役。この他に、元まちづくり部参事の立川道雄容疑者(75)と、組合職員の小田野克巳容疑者(64)が逮捕されています。捜査2課によると、3人は組合に勤務していた2017年9月から2018年9月にかけ、道路や公園、緑地などを作る土地区画整理事業に関連し、市から助成金を詐取。多額の人件費を工事費の一部などと装って事業計画書を市に提出。市から8000万円の助成金を不当に交付させた疑いがあるのです。しかし、副市長は副市長でも、現役の副市長ではなく、大坪冬彦市長の責任は薄いと判断されて、市民はあまり問題にしていないのだと思います。「昔の副市長の悪事を、今の市長のせいにしたら可哀想だ」ということで、多くの人が大坪冬彦市長に投票してしまったのだと思います。ところが、実際は大坪冬彦市長と元副市長は「無関係」だとは言えません。それは次から次へと新しい疑惑が浮上していることからも明らかです。

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まず、河内久男容疑者は、市の保育園の民営化事業を主導しており、補助金がそれまでの1億1400万円から6億円に増額されています。また、河内久男容疑者には日当として6万円が支払われていたことがわかり、総額にして2328万円が支払われていたことが明らかになっています。これらの不透明な支出は、まさに大坪冬彦市長の時代に行われたもので、区画整理事業の助成金詐欺は「氷山の一角」で、この問題、掘れば掘るほど次々と闇深い新事実が出てくるのではないかと言われているのです。しかし、わけのわからない補助金の増額が判明しても、大坪冬彦市長はまったく説明しようとしません。説明もしなければ、原因を解明しようともしない。百条委員会の設置も拒否しています。こんなことでは、この問題は迷宮入りになってしまうのですが、市民の皆さんは、それでも大坪冬彦さんを市長にし続けるという判断をしたのです。これをクラスのマドンナA子さんのアルトリコーダー窃盗事件に例えると、こうなります。

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同じクラスに好きな女の子がいるという話で意気投合した大坪君と河内君が放課後、こっそり教室の中に入り、河内君がA子さんのアルトリコーダーを盗みました。次の日、A子さんのアルトリコーダーがなくなっているということで大騒ぎになり、挙動のおかしかった河内君のカバンの中にA子さんのアルトリコーダーが入っていたことがわかり、犯人は河内君だということがわかりました。リコーダーを盗んだだけかと思いきや、リコーダーをペロペロしていたこともわかり、クラスのみんながドン引き。すると、どうやら大坪君と河内君が一緒に教室に入っていたことがわかり、大坪君にも疑惑の目が向けられることになったのです。すると、大坪君は「リコーダーを盗んだのは河内君であって、僕が盗んだわけではない。僕はB子さんのことが好きなので、A子さんのアルトリコーダーを盗む動機は何もない」と言い出しました。でも、教室には一緒に入っていたんだから、河内君がA子さんのリコーダーを盗もうとしていたことぐらいは知っていたのではないだろうか。大坪君は「知らない」とか「記録にない」とか言うばかり。最終的に「どうしてこんな事件が起こってしまったのか、自分が責任をもって解明する」と言い出しました。ただ、盗んでいたのは河内君だとしても、大坪君も十分に当事者なのです。A子さんのアルトリコーダーを盗んだのがあくまで河内君だとしても、じゃあB子さんの物は無事だったのでしょうか。とりあえずリコーダーはあったけれど、何かがなくなっていても不思議ではない。もしかしたら、椅子を直接舐めている可能性だってあるのです。すると、大坪君と仲良しのクラスメイトたちが口々に言いました。「大坪君が悪いことをする人じゃない。B子さんのリコーダーはちゃんとあるんだ。俺たちは大坪君を信じる!」と。すると、今度は同じクラスの有賀君が「だったら、持ち物検査をしようじゃないか!」と言いました。カバンの中を見せてもらって、何もなかったら信用しよう。ところが、今度はクラスメイトが「持ち物検査をするなんて酷い。それは大坪君を疑っている証拠だ!」と言い出し、持ち物検査を断固拒否。ということで、大坪君がB子さんに何をしたのかは迷宮入りに。さあ、有権者の皆さん、有賀君の「持ち物検査をしよう」という提案をどう思いますか?

結論から言うと、有権者の皆さんは「大坪君を信じる」と言って、この事件に蓋をしました。億単位のお金が横領され、不自然な補助金がたくさんあって、今日までに3回も「財政非常事態宣言」が出されていて、「お金がないから」ということで、さまざまな行政サービスが削られている中で、不正があっても、市民の皆さんはこれが重大な問題だとは思わなかったということです。すべては「あんまり深く知らなかったから」です。でも、これからの時代は「よく知らないから」という理由で、あまりよく考えずに投票していると、時に人の命が奪われることになってしまいます。実際、大阪では無能の吉村洋文知事を選んでしまったばっかりに、新型コロナウイルスでどんどん人が死んでいます。「コロナで人が死ぬのは行政のせいではない」と思う人がいるかもしれませんが、大阪では既に「高齢者の治療を諦める」という医療崩壊が起こっており、それなのに周辺の自治体にSOSを出さず、緊急事態宣言やロックダウンを要求することもなく、ただ感染者を増やしてしまったので、ますます人が死ぬという事態に陥っているのです。バカを政治家に選んでしまうと、人が死ぬのです。


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