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【選挙ウォッチャー】 練馬区議選2019・分析レポート。

昨年4月、練馬区長選があった時に練馬区議補選も行われ、この時は欠員5に対して10人が立候補しており、もともと小池百合子さんのお膝元だったこともあり、都民ファーストの会から2人立候補したのですが、2人とも落選する結果になりました。今回は定数50となっており、62人しか立候補しませんでした。落選するのはたったの12人。これではポンコツが当選してしまうという環境にあります。本当はもっとたくさんの人に立候補してもらいたいのですが、なかなか難しいようです。

練馬区の有権者は約60万人。当落のボーダーラインは約2800票。ほぼ同じ有権者数の大田区議選が定数50に対して70人が立候補、世田谷区は定数50に対して75人が立候補しているので、定数50に対して62人しか立候補していないというのは、ポンコツを落選させるには少ないと言えます。そして、ここにはNHKから国民を守る党のほか、日本第一党の候補者も立候補しており、ヘイト野郎どもが議員になってしまう可能性があったのです。


■ NHKから国民を守る党は当選している

練馬区は、新宿や池袋に1本で行けることから、学生を中心に人気です。お金のない学生たちは強制的に支払わされている感のあるNHKの受信料は問題として捉えている人が多いでしょう。だから、NHKから国民を守る党に投票してしまう人はそれなりに多いのかもしれません。しかし、それはあまりにも本質を見抜けていないと言わずにはいられません。「NHKから国民を守る党」は、自己承認欲求の塊である立花孝志が、自分を認めてもらいたいばっかりに立ち上げ、ただ大騒ぎして勃起するだけのカルト政党です。ただ影響力を持ちたいだけのアホが、ろくすっぽNHK問題に取り組むわけでもなく、ただいろんなメディアに出て「NHKをぶっ壊す!」と言いたいだけ、目立ちたいだけなのです。もし本当にNHK問題に取り組んでくれるのであれば、もちろん僕も両手を挙げて応援したことでしょう。ところが、本当に壊すつもりはありません。立花孝志は「NHKをスクランブル放送にすればいい」と言っていますが、さまざまな改革方法の中でスクランブル放送が最も可能性の低い選択肢です。こんなことなら、まだ「NHKの民放化」と言ってくれた方が健全です。どうしてみんなが受信料を払っているのかと言ったら「公共性を保つため」です。ということは、どちらがより公共性が高いかを考えたら、NetflixやDAZNのように、お金を払った人だけが見られるようにするというのが最も公共性が低いわけですから、民放化した方がよっぽど公共性が保たれるという話です。しかし、どうして立花孝志がスクランブル放送にこだわるのかと言うと、「スクランブル放送」という言葉を覚えてしまい、最も過激な選択肢だからです。これは建物をどのように解体するかの議論をする時に、さまざまな工法を議論するのではなく、「上から空爆すればいい」と言っているような話です。鹿島建設や清水建設といった大手ゼネコンが持っている解体技術の話ではなく、最も頭の悪い「空爆」という選択肢を掲げた末に「一瞬で粉々になる合理的な方法だ」と言ってしまうのです。建物を解体するのに「空爆」という選択肢がないように、NHKを改革するのに「スクランブル放送」という選択肢はあり得ないので、受信料を税金で賄うようなことになっても「税金で負担するのでは意味がない」と言って、永久にスクランブル放送を訴えることができ、さまざまなメディアに出演して「NHKをぶっ壊す」と言い続けることになるのです。

練馬区から立候補した松田亘は、妻で新宿区議となった松田美樹とともに、NHKから国民を守る党の活動には熱心に参加している「熱狂的な信者」です。さまざまな選挙活動に積極的に参加しているようで、今年の参院選では130万円の上納金を松田亘の分と松田美樹の分の2人分、合計260万円を納めています。昨年4月の補欠選挙には落選覚悟の「売名」で立候補し、8483票を獲得。この時から1年後の練馬区議選を見越して活動していたため、今回はまったく危なげなく当選してしまいました。


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