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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#71)。

議員としての品格を求めず、いかに過激で話題になる動画をアップするかを競うカスみたいなYouTuberのノリで炎上商法を駆使してアクセスを上げ、一部のB層から熱烈な支持を集める「NHKから国民を守る党」の立花孝志。この男の狙いは知名度を上げ、たくさんの人からチヤホヤされること。究極の「かまってちゃん」がNHK問題を利用して政治家になってしまったというわけです。そのため、このたびマツコ・デラックスさんに暴言を吐き、騒動を大きくしようと、あの手この手で動画をアップしています。せっかく国会議員になったのに、立花孝志の言動は調子に乗って大きくなるばかり。反知性派カルト集団に力を与えてしまうととんでもないことになるというお手本のような動きを見せています。


■ マツコ・デラックスをぶっ壊す

事の発端はMXテレビで放送中の「5時に夢中」の中でマツコ・デラックスさんがNHKから国民を守る党に対してコメントを求められ、いつものように歯に衣着せぬ辛辣なコメントをしたことにあります。小学生並みの脳味噌をしている「小並脳」の立花孝志は、批判もすべて「悪口」に聞こえてしまうため、冒頭から「マツコ・デラックスをぶっ壊す!」と発言したかと思えば、東スポの記事を片手に「東スポさんがこんなに記事にしてくれているのに、今日の『5時に夢中』では取り上げなかった」と言い、「逃げるの?」だそうです。東スポは、マツコ・デラックスさんにも噛みつく頭の悪い国会議員を「読めばわかる」のテンションで面白おかしく伝えていたのだと認識していますが、立花孝志の支持者層は「読んでもわからないB層」なので、東スポの記事はN国党の「宣伝」になってしまいます。もともとは東スポと東スポとして楽しんでいる人たちのためのエンターテイメント記事なのに、うっかり宣伝に利用されるのは御免である。「5時に夢中」が取り上げないのは自然なことですが、立花孝志は「逃げるの?格好悪いね!」なのです。「いちいちオマエみたいなクソと付き合ってるほど暇じゃねぇんだよ、こっちは!」という話なのですが、「逃げるの?」なのです。立花孝志の言動をいちいち拾ってあげる親切な人は僕だけで十分です。

さて、立花孝志は動画の中で、マツコ・デラックスさんが「NHKからどれだけのお金をもらっているんだ」と言っていますが、ぶっちゃけた話、マツコ・デラックスさんはNHKからほとんどお金をもらっていないと思われます。というのも、マツコ・デラックスさんを重宝しているのは民放のテレビ局で、NHKには1本もレギュラー番組がないからです。マツコ・デラックスさんは今、9本のレギュラー番組に出演していると思いますが、そのすべてが「民放」であり、NHKのレギュラー番組は1本もありません。もちろん、これだけの人気者ですから、何かのタイミングでNHKの番組にゲスト出演することもあるかもしれませんが、NHKにはまったく依存していないし、NHKに対しても絶妙な距離感を保っているのがマツコ・デラックスさんです。というか、ビックリするのは、立花孝志がマツコ・デラックスさんのことをほとんど知らないということです。マツコ・デラックスさんがどうして人気なのかも、マツコ・デラックスさんが日頃からどのようなスタンスで世の中を斬っているのかも、ほとんど知らないのです。クソほどの情弱なのです。だから、マツコ・デラックスさんにケンカを売る動画のアクセス数がめちゃくちゃ高いことに驚き、「どうやら数字を持っている」とかホザくのです。今日の今日までマツコ・デラックスさんのことをよく知らないなんて、さては立花孝志、マツコ・デラックスさんが滅多に出演しないNHKしか見ていないのではないでしょうか。NHKに対する愛情が止まりません。

マツコ・デラックスさんをあまりよく知らない情弱の立花おじさんは、「たぶんマツコさん、めちゃくちゃ金もらってるんですよ」と言いました。「たぶん」ではありませんが、どうしてマツコさんが売れっ子になったかと言えば、完全なる弱肉強食の芸能界で世間の皆さんに「この人は面白い」と認められたからです。立花孝志は脳内には「俺様最強ホルモン」が分泌しているので、マツコ・デラックスさんより自分の方が圧倒的に面白いと思っているのだと思いますが、過激なことを繰り返している節度のないYouTuberと同じなので、地上波のテレビに出していいタイプの人間ではありません。


■ マツコ・デラックスさんを利用する立花孝志

マツコ・デラックスさんの知名度は、明石家さんまさん、タモリさん、ビートたけしさんにも匹敵する全国的なもの。安倍晋三総理より多くの人に知られており、もちろん、立花孝志の比ではありません。今回の参院選で、一躍「時の人」となったため、立花孝志の知名度は飛躍的に上がりましたが、それでもマツコ・デラックスさんの知名度には遠く及びません。日頃からさまざまなYouTuberとのコラボを熱望している立花孝志ですから、もしマツコ・デラックスさんと共演できれば、こんなにおいしいことはありません。いろんなところで「マツコ・デラックスとも共演した」と言えるようになり、また一つ自慢できることが増えるってなものです。こうやって動画を撮影し、「文句があるなら俺を番組に出せ!」と吐き散らす理由は、こうすれば番組に呼んでもらえるかもしれないし、呼んでもらえなかったとしてもマツコ・デラックスさんと戦い、「NHKの味方は全員敵だ!」と宣言できれば、あのマツコ・デラックスとも戦う男として、一部の人たちから熱烈に支持されるようになるというわけです。立花孝志は動画の中で何度も「マツコ・デラックスをぶっ壊す!」と言っていますが、これは明らかにマツコ・デラックスさんを「敵」として「利用」しています。


■ NHKの集金人は暴力団関係者ばかり

「国会議員がマツコ・デラックスをぶっ壊す」という動画の中で、立花孝志はNHKの集金人が暴力団関係者ばかりだとする発言を繰り返しています。集金人でオラオラしている人はいるかもしれませんが、立花孝志は暴力団関係者であるという確固たる証拠を持っているのでしょうか。先日も同じような主張をしていますが、立花孝志には摂津市議の渡辺慎吾さんに名誉毀損で訴えられ、歳費を差し押さえられた前例があります。NHKがどこまで沈黙を続けるのかは知りませんが、これは立花孝志を名誉毀損で訴えるべき案件であると言えるでしょう。立花孝志が動画の中でどのような説明をしているのか、書き起こしをしてみました。

「もしね、そんな集金人の被害が出てないんだったら、僕、NHKから名誉毀損で訴えられてるでしょう。国会議員が公の記者会見でNHKの集金人は暴力団員みたいな、暴力団とつながってるって明言してるんですよ。事実だからね。吉本の、あの、宮迫さんとか、ロンブー淳、淳だ、ロンブー、亮君かなぁ。ちょっとね、闇社会とつながっているだけで大々的に報じるわけでしょう。NHKの集金人なんて暴力団関係者ばっかりじゃないですか。ムチャクチャばっかりしてくるんだもん。違うんだったら違うで、いくらでも受けて立つよ、NHK。暴力団みたいな奴じゃん、そんなの、何をもって暴力団と言うかわからないけど、少なくともまっとうな奴じゃないっすよ。金払えって大きな声で脅したり、家の前で待ち伏せしたり、そんな被害者がいっぱい出てるの」

立花孝志の話を喜んで聞いているB層の皆さんは気付かないと思いますが、実はこれ、めちゃくちゃ頭の悪い話をしています。というのも、立花孝志はNHKの集金人が「暴力団である」と断言している一方で「何をもって暴力団と言うのか分からない」とも言っているのです。立花孝志は「法律の専門家」を自称しているわけですから、「暴対法」を知らないなんていう、まさか弁護士資格も持たないくせにペラペラと偉そうにオリジナルの法解釈を動画で垂れ流す痛々しい中二病のオジサンのようなことはないはずです。つまり、「法律の専門家」でいらっしゃる立花孝志が、暴力団の定義を知らないはずがない。ということは、立花孝志は暴対法に基づく「暴力団」の話をしているはずです。その上で、もしNHKが暴力団とつながっているのだとすると、これはとんでもないニュースです。立花孝志は「つながっている」と断言しているわけですから、ぜひ証拠を出してもらいましょう。大変興味深い話です。


■ 「暴力団とつながっている」を広める党員たち

いくらNHKの集金人がオラついていたとしても、暴力団とつながっているとは考えられません。暴力団というのは、有名どころで言えば「山口組」「住吉会」といった方々のことで、そういった方々にお金を払って集金してもらうというのは非常にリスクが高いからです。かつて警察官の女性が暴力団の男性と交際し、最初は良かったものの、途中から態度が一変し、「暴力団と付き合っていたことをバラすぞ」と脅され、お金を毟り取られていたという事件もありました。いくら受信料を払ってほしいからって、暴力団に依頼するというのはリスクが高すぎるわけです。いくら立花孝志がバカだと言っても、本当は庶務だったくせに「経理にいた」と嘯いていない限り、この常識が分からないはずがありません。企業には常にリスクがつきまとい、契約した企業が倒産するリスク、契約した企業が反社会的組織であるリスク、契約した企業が詐欺集団であるリスク、すべてを見抜いて回避しなければなりません。そのために稟議書を書いたり、取締役のオッサンがハンコを押したりするシステムになっているわけです。ゆえに、大企業になればなるほど契約を結ぶのは大変であり、いくら自分の会社が優良企業だと訴えても、なかなか契約してもらえないものです。銀行はもちろん、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用情報も大事で、暴力団と付き合いのある企業、あるいは、暴力団のフロント企業がNHKと契約するというのは、かなりのハードルです。立花孝志はその非常に高いハードルを暴力団が超えていると言っているわけです。常識的には考えにくいですが、「ある」と断言している以上、その証拠を見せてもらうしかありません。会社でハンコを押す立場の人間だったら、NHKほどの企業でこんなことが起こるとは考えられないことは常識的に分かるはずなのですが、分からないからNHKから国民を守る党を支持しているのだと思います。

川口市議の塩田和久は、わざわざNHKが「反社会的勢力とのつながりはありません」というプレスリリースを出したことについて、「NHKが痛いところを突かれたから、こんなプレスリリースを出したんだ」という頭の悪いことを言っていました。こんな奴が議員をやっているんだから、どれだけレベルが低いんだという話ですが、国会議員から下手な言いがかりをつけられたのですから、このようなプレスリリースを出すのは企業として当然です。NHKとしては、一応、やることはやった上で、それでもかかってくるクレームの電話などを記録し、裁判に持っていくだけです。今頃、粛々と裁判の準備が始まっているだろうと思いますが、裁判を起こされてもNHKから国民を守る党は痛くも痒くもありません。どうせ「NHKが潰しにかかってきた」と大騒ぎすることで、さらにカルトな信者を獲得する作戦なのです。実際にはガチで名誉毀損をしているだけなのに、巨悪のNHKから潰されようとしていると大騒ぎし、B層が釣られて支持率が上がる。ぶっちゃけた話、そこらへんの新興宗教よりタチが悪いです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

「俺はN国党を支持しているのではなく、ただNHKをぶっ壊してほしいだけなんだ!」と言っている人たちを見て、僕は絶望しています。「俺はワールドカップで優勝してほしいだけなんだ!」と言って、Jリーグで活躍した経験もない僕をサッカー日本代表のゴールキーパーにはしないでしょう。気持ちがあれば誰がやってもいいというのなら、本当に僕がキーパーになっちゃいます。しかし、勝つためにはそれではいけません。日本中、あるいは世界中でサッカーをしている日本人の中から一番うまいと思われる人をキーパーにするに決まっています。もちろん、将来を見据えて若手を起用することもあるでしょう。でも、ズブの素人は絶対に採用しないはずです。今、立花孝志を支持している人たちは、「ずっとブラジルにいた」と自称している草サッカーのオジサンに夢を託しているに等しいです。気付いてください、そいつらはニセモノです。

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