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【選挙ウォッチャー】 2024年元日の能登半島地震・情報まとめ(#2)。

 気づけば、この国、めちゃくちゃヤバいことになっています。
 最大震度7にして、津波の被害も深刻な能登半島地震が1月1日に起こって、今日でかれこれ10日以上が経ちますが、総理大臣をはじめ、いまだ多くの国会議員が現地に入らず、ろくすっぽ進まない救助や支援に対し、「今はまだ行っちゃいけないんだ!」と言い出しています。
 あまりにも被害が深刻すぎて、現場に入るのは自衛隊や消防・警察などに限られるので、「国会議員が入ったら邪魔になる」と本気で信じているからなのですが、国会議員はこれから甚大な被害が出ている能登半島に莫大な国の予算を投じ、復旧や復興をしなければならないはずの存在です。現場を見ないで、一体、どうやって予算の「あり」「なし」を決めるのでしょうか。


■ 被災地には入れるし、国会議員は仕事である

志賀原発からすぐ近くのところに、これだけ大きなヒビが入っている場所がたくさんある

 そもそも「被災地に入ってはいけない」とされる理由は、「道路が渋滞するから」なのですが、渋滞の原因は、他県から迷惑ボランティアが殺到しているからではなく、「被災者たちが生活をしているから」です。
 いかにも日本らしいところですが、輪島市や珠洲市に住んでいて、被災しているにもかかわらず、「仕事には行かないといけない」という人がそれなりにいて、そこに生活の物資を買うために加賀地方まで往復する人、被災地に親族を助けに行く人など、やむを得ない事情で車に乗らなければならない人たちがたくさん往来しています。
 そして、これを解消するためには、突貫工事で道路の仮補修をして、なるべくスムーズに走れるようにして、踏まなければならないブレーキの数を1つでも少なくする必要があります。が、既にNHKが報じているように、いまだ地元の業者に発注がないため、「被災者のためなら喜んで徹夜で道路を作るのに!」とモヤモヤした状態で待機をしています。どのみち仮補修をしなければならないことに変わりはないので、物量作戦で一気に修復した方が復旧が早いにもかかわらず、いまだ修復ができない状態に、建設業者も首を傾げています。

各地で仮舗装の工事が進められていたが、北に行くにつれ、その工事は進捗率が下がる

 今回の能登半島地震は、これまでできていたはずの工事が遅々として進まないこともあり、救助や支援の手が大幅に遅れ、初期に必要な「物量」を担保できていません。
 先日、秋田県の佐竹敬久知事が、投入された自衛隊について「最初1000人、2000人、今では6000人」と指摘。本来であれば、最初から1万人規模の投入が必要だったとし、「われわれ東日本大震災を経験した者として、非常に歯がゆい状況だ」と述べています。エイヒレを片手に熱燗を飲んでいるんじゃあるまいし、なんでこんなにチビチビやっているんだと憤りすら感じますが、この「遅れ」を現場で見てくる国会議員は、こっそり行っている一部の人しかいません。そもそも国会議員が「こっそり行かなければいけない」時点でおかしいことに気づいてもらいたいです。
 今、被災地に何が足りてないのか。今、被災者が何に困っているのか。それをキャッチするのは、「国会議員の仕事」であり、それをキャッチするために国会議員が被災地に入るのは、煉獄コロアキが入るのとは全然違うということです。何に恐れて現地に入らないのかと言ったら、山本太郎のようにアホのネトウヨから「なんで行っちゃいけないって言われているのに被災地に行ってるんだ!」と言われるのが怖いからです。


■ 「被災地に入るな」の悪影響

塩村文夏先生から撤回を求められたツイート

 本来であれば、何かしら被災者の役に立つはずのボランティアにも来ないことを呼びかけ、「これこそが被災者のためなんだ」という謎ムーブは、アホの日本維新の会だけでなく、立憲民主党にも広がっています。
 ほとんどの責任は与党にあるものの、チェックするべき立憲民主党がコレなので、もし僕と長澤まさみちゃんが結婚するくらいの確率で政権交代が起こったとしても、「この国が良くなることはない」とバレてしまう瞬間だと思います。実はこれ、けっこうな地獄絵図です。

断腸の思いで自身が入らない理由を語って「来るな」を呼びかける近藤和也先生(引用元リンク

 被災地に有用な人たちにも「行くな」と呼び掛けてしまうムーブは、あろうことか、地元選出の国会議員にも向けられており、なんと、被災地のド真ん中である石川3区選出の近藤和也先生まで「自分の活動が不要不急ではないという自負はある」と言いながら、「こんな背景の私でも今は穴水町以北へ行くことを控えている」と述べ、「自粛を呼び掛けている自分が被災地に行くのはいかがなものか」となり、1月3日を最後に奥能登には入っていないと長文で綴られていました。
 これには「んなアホな!」と目ん玉が飛び出そうになりましたが、おそらく皆さんは「被災者である地元の議員がこういう決断をしているんだ。それを尊重すべきだ!」になってしまうのでしょう。いやいやいや、細かい路地裏まですべてを知り尽くす地元選出の国会議員だからこそ、「アンタが行かなきゃ誰が行くんだ!」です。地元の国会議員が被災地を入るのと、煉獄コロアキが被災地に入るのが同じに思えたら、いよいよおしまいです。
 もっとも、Twitterではこんなことを言っているけど、本当はそんなことを言いながら、こっそり被災地に入っている可能性もゼロではないため、一度は「バカか!」と言いましたが、撤回しました。


■ コンビニにできて、国会議員にできないこと

 いまや「コンビニ」は、我々の生活に不可欠なインフラです。
 セブンイレブンは七尾市が最北ですが、ファミリーマートは輪島市や珠洲市にも展開されており、社員たちが開店の準備をしています。一日も早く開店することが被災者が日常を取り戻すためにも必要だということで、社員が奔走しています。
 ちなみに、これほどの大地震ですから、コンビニがしばらく閉店になることはわかりきった話ですが、さっそく翌日には社員に指示が飛び、コンビニの現金は即日のうちに回収され、ATMも空っぽだといいます。火事場泥棒に盗まれでもしたら大変ですが、自衛隊ですら入りあぐねている間に、コンビニの社員たちは、ものすごく迅速に動いていました。
 日経ビジネスの記事によれば、ローソンでは発災直後に従業員は避難を最優先に行動し、すぐさま対策本部が立ち上がり、店舗やスタッフの安否確認を行うと、1月3日には石川県にパン2000個、2リットルのペットボトル5760本を送り、4日以降は富山県や新潟県にも物資を送り、1月4日には社長自らが被災地に入り、オープンに向けて陳列を手伝ったとありました。
 また、被災地に電波を届けるため、docomoやauは被災地に基地局車を手配し、auでは1月7日の時点で輪島市や珠洲市など、被害が深刻だった場所に32台を配置しています。
 さて、僕たちのインフラを支えてくれる企業が被災地に乗り込み、被災した方々の生活が少しでも安定するように奔走する中、ニッポンの国会議員の皆さんは何をしたのか。1月5日に会合を開き、自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、国民民主党の6党は「1月6日、7日、8日の3連休は、国会議員が被災地に入らないようにする」という合意を取り付けました。
 この3連休で、なるべく被災地の問題・課題・苦しみを把握し、解決するために「見てきましょう」ではなく、「みんなで見ないことにしよう」という合意を取り付け、「これが被災地のためなんや!」になりました。なんてったって、被災地が「渋滞したら困るから」です。
 いよいよパチキレて、被災地の避難所では暖が取れず、震災関連死が懸念される中、与党も野党も「そんなことより渋滞したら困るじゃないか!」になったのです。
 とにかく一番心配なことが、現場で被災者の方々がどうなっているかではなく、「渋滞の列の1台になったらダメ、渋滞だけは絶対にダメ!」になっているので、本来は被災した国民がどうなっているのかを誰より知らなければならないはずの国会議員たちが現場に行かず、被災者よりも「渋滞」を心配するようになりました。被災地と言っても、志賀町や穴水町くらいまでなら、ほとんど渋滞なしで行けるはずなのですが・・・。


■ 深刻なニッポンの「渋滞恐怖症」

 被災者の体調より「渋滞」が心配になってしまう、素晴らしい国・ニッポン。
 確かに、本当は2時間で行けるところを4時間かかったら、その2時間でできるはずのことができなくなってしまいます。だから、渋滞の車列の1台に加わることは、絶対にやってはいけないタブー・オブ・タブーです。
 きょうび、グーグルマップで行き先を設定すれば、どこがどれくらい渋滞していて、どれくらいの時間を要するのかを出してくれるし、カーナビでも渋滞情報は常に更新されています。21世紀も四半世紀が経つと、世の中は大変便利なもので、渋滞の場所に行かなくても、お手元のスマホで渋滞の様子をリアルタイムでチェックできるのです。
 つまり、渋滞スポットの最後尾に着いて、「うわぁ、こんなに渋滞してるのかよ!」ではなく、行く前に「これくらい渋滞してるじゃん!」となりますし、迂回路がある時には最速のルートを自動的に教えてくれます。ですから、渋滞スポットの手前で時間を読みながら、最も空いているタイミングを選ぶこともでき、少しでも渋滞を回避するために、ドライバー側も時間をずらせるようになっているというのが、「令和」の時代です。
 ただ、素晴らしい国・ニッポンは10分でも渋滞しようものなら「今、被災地を渋滞させたな!」となり、学校でウンコを漏らした奴と同じくらいのヒエラルキーにされてしまうため、国会議員さえ自粛中です。今、被災地のリアルは国会議員よりファミマの店員の方が知っています!
 おい、そこのオマエ! 何があっても絶対に、渋滞だけはさせるなよ!


■ 馳浩知事が1週間目で気づいたこと

石川県の馳浩知事は、文部科学大臣だったこともあり、日本の教育部門のトップだった

 石川県の馳浩知事が、震災から1週間以上経って、とっても重要なことに気づきました。これは、めちゃくちゃ重要すぎるぐらい重要なので、皆さんも心して聞いていただきたいのですが、今、被災地では道路が寸断され、陸路では行けない場所がたくさん存在しています。なので、どれだけ孤立しているのかを正確に把握できていないと思うのですが、我らが馳浩知事、めちゃくちゃ重要なことに気づきました。

「(支援物資を)自衛隊のヘリの空の部隊で運ばざるを得ないことがわかった」

 それな! それ、めっちゃ重要! 「よく考えたら、空からしか無理なんじゃね?」つって。いやぁ、大発見すぎて、目からウロコが出てきたと思ったら、涙と一緒にコンタクトレンズが出てきました。
 しかも、この大発見は、驚きポイント2倍です。なんと、空を使えば、諸悪の根源であり、絶対に起こしてはいけない、あの忌々しい「渋滞」が、まさかの回避できるシステムです! 天才すぎるッッ!
 あまりにビックリし過ぎたので、僕の自慢のポケットから秘密の道具を出しちゃおうかと思うんですけど、もしこれを馳浩知事に見せたら、さらなる大発見すぎて、後ろにでんぐり返しを3回転ぐらいしちゃうんじゃないかと思うんですが、手をグーにしながら、ほとんどタケコプターのアレをご紹介しますね!

「(テテレテッテレー♪)ドローン!!」

 来年4月に開催される大阪万博では、人を乗せたドローンが大阪の空をビュンビュン飛び回る計画だと言いますが、これを使えば、人が乗り越えられない山の向こう側の様子を見られるし、場合によっては家の中に入っていくこともできます。温感センサーをつけたり、物資を運ぶこともでき、とっても便利です。既に薬を運ぶプロジェクトが動いているようですが、大阪万博が開催されている時の大阪の空ぐらいドローンが飛んでもいいはずなんですが、あっ、ドローンはすぐさま飛行停止にしたんでしたっけ!


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

地震で潰されてしまった車、中に人がいなかったことを祈るばかりだ

 我がニッポンは今、「入ろうと思えば入れるし、たとえ避難所で人が苦しんだり、震災関連死のリスクがあっても、『よし』と言われるまで待っているのが、真のボランティアだ!」という空気に包まれており、国会議員の皆さんが「そこのオマエ、まさかボランティアに行こうなんざぁ、思っていないよなぁ、絶対、絶対、絶対ダメだぞ!」になり、アホのネトウヨが「そうだー!」でした。なので、皆さんは断腸しながら犬のようにお座りをして待っていてください。これがこの国の絶対的な「正義」です。
 このことから言えることは、この国は、政治家も国民も、みんな揃ってバカしかいないので、いざとなった時に、国や政治家に助けてもらえる可能性は極めて低いということではないでしょうか。ニッポン、マジやべぇです。


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