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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・ホワイトハウスに辺野古工事中断を求める署名活動。

9月30日の沖縄県知事選で明確に「辺野古基地反対」が示されたにもかかわらず、沖縄の民意を完全に無視する形で安倍政権が土砂投入を強行してしまったため、人々の反発はさらに強いものになりました。辺野古基地建設は表向きは「米軍のため」ということになっていますが、実質的には約2兆5000億円と言われる建設費でウマウマしたい人たちのための利権です。そこで、辺野古基地の建設を止めるために、市民がホワイトハウスに請願を出すという動きになったのです。驚くことに、これまで政治的な話はごく一部の芸能人がひっそりやってきたものですが、今回は芸能界の第一線で活躍していると言っても過言ではない、りゅうちぇるさんやローラさんといったタレントが、ホワイトハウスの署名活動に賛同し、拡散したのでした。長いものに撒かれるだけが日本の芸能界かと思っていましたが、もしかすると少しずつ変わっているのかもしれません。


■ ローラさんの発言に阿鼻叫喚するネトウヨたち

微妙な売れ方の芸能人だったら「パヨク」のレッテルを貼れば済んだ話なのですが、インスタグラムのフォロワーが約520万人という日本屈指のフォロワー数を誇るローラさんが「沖縄の海を守ろう」と言い出し、辺野古基地建設に反対する署名を紹介したことは、ネトウヨの皆さんには大事件となりました。ネトウヨが最も恐れているのは影響力のある人が正論をかましてくることです。ザコには「パヨク」の一言で済んだものの、みんなから愛されているような人が現れてしまうと太刀打ちできなくなってしまう可能性があるのです。9月30日の沖縄県知事選の時も、若い女の子たちの間で「安室ちゃんはデニー派ではないか」という噂が流れたことにはだいぶ手を焼きました。今度はローラさんです。下々のネトウヨたちに大きな影響力を持つネトウヨ言論人たちは、世論の流れが大きく反対派に引っ張られてしまうことを心配し、ここぞとばかりにローラバッシングを始めました。ジャーナリストの石井孝明さんは「この人、日本人でなかったら、内政干渉行為と普通の国では騒ぎになりますけど」と発言。内政干渉ということは、ローラさんは「国家」ということになるため、ローラ王国のローラ姫の発言だと認識しているようです。おてんばプリンセス・ローラ姫のハチャメチャな行動に真面目な家来たちが右往左往する様子はコメディーとして面白そうなのですが、一個人の発言を「内政干渉」と言ってしまうジャーナリストって、どうなんでしょうか。

ローラさんに対するバッシングを煽ったのは、KAZUYAというネトウヨユーチューバーと百田尚樹というウィキペディアコピペおじさんだと言われています。まずはウィキおじさんですが、「『カエルの楽園』を2016年に刊行した時、『これは予言の書か!』と言われた。というのは『カエルの楽園』に描かれた出来事が次々に現実化しからだ。で、今回、著者自身が腰が抜けるほど驚いたのは、『カエルの楽園』に登場するローラという牝ガエルが、現実に登場したことだ。『カエルの楽園』のローラに関しては多くの人から『なぜローラという名前?』と聞かれた。作中のカエルたちの名前にはすべて意味があったからだ。でも、ローラには意味がなく、なぜその名前を付けたのか自分でもわからなかった。だが今、現実のローラの出現に震えている。私は天才的予言者だったのかも」。青山繁晴先生にも通じるスピリチュアル発言を展開しているノンフィクションコピペファンタジー作家の百田尚樹先生なのですが、作品に登場するカエルのローラは名前以外に共通点はないだろうに、「ローラの出現に震えている」と言っているのです。オッサン、それ、たまたま名前がカブっただけや! 次の作品では登場人物に「クリステル」とか「ダレノガレ」みたいな名前をつけておけば、また天才的予言者になれるのではないでしょうか。これを機に不思議な力を手に入れて、お告げで稼ぐビジネスでもするのでしょうか。続いて、KAZUYAというネトウヨユーチューバーですが、「タレントのローラさんが政治的発言をしたということで話題だ。インスタに『美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの』と辺野古移設反対の署名を促した。政治発言をするのは自由だが、沖縄って埋め立てまくりなのに今回だけ言うのは違うんじゃないか」と言っています。でも、こんなに美しい海を大規模に、しかも基地のために埋め立てるのは辺野古基地の建設予定地だけなので、他のものが容認できても辺野古基地だけは容認できないというのは自然な考え方です。ましてや、もともと山の中に作る計画を「建設費がたくさんかかるから儲かる」という理由で海を埋め立てる計画に移したのです。その歴史を無視して、まるで辺野古基地に文句を言うのがおかしいかのような印象操作をするのがKAZUYAというネトウヨユーチューバーです。那覇空港の滑走路だって埋め立てるじゃないかと言われていますが、大浦湾の美しさとは大きく異なり、那覇空港は多くの人が「埋め立てることを容認できる海」なのです。そして、「ローラさんが一番危惧すべきは、左翼界隈から勝手に辺野古基地反対マスコットのように使われることだ。まぁそれも自ら選んだ道。仕方ないね」だそうです。今のところ、ローラさんに感謝の気持ちを述べる人はいても、ローラさんを旗印に運動していこうという様子は見えないし、ネトウヨのマスコットが勝手に危惧しているだけに過ぎないのですが、ネトウヨ言論人の話を聞いて「パヨクが活気づく!」と思えてしまう大量のB層ネトウヨたちがローラバッシングを始めているという図が見えてきます。


■ 「政治的な発言」という封印のようなレッテル

ローラさんに対して、「政治的な発言」というレッテルを貼ることにより、人々に「このような発言をするのはタブーである」という印象を与えているのが現代のニッポンです。このような政治的な発言が抑制されてきたばっかりに、人々が「政治に物を申すのはいけないことなのだ」と認識するようになり、話題のテーブルに乗らない毎日を過ごした結果、今では4人に1人も選挙に行かないところもあり、若い人ほど政治や選挙に無関心になっているのです。そして、政治に無関心になった結果、消費税は10%になり、年金はもらえなくなり、10万ベクレル以下の放射性廃棄物は産業廃棄物として普通に捨てられることになり、沖縄の人たちがどれだけ反対しても工事が強行されるような日本になっているのです。世論が黙っていないと面倒臭いことになるので、人々が騒がないように常に抑制する社会が出来上がっているというわけです。このまま政治的な発言が抑制され続けると、いつか「徴兵制を採用しよう」という議論が巻き起こった時に、「徴兵制には反対だ」と発言したら「政治的な発言をしている」と言われるようになり、いよいよ「国を守りたくないとは反日だ」と言い出すネトウヨが現れ、無駄にイキがっているだけのアホに支配される国が出来上がってしまうかもしれません。これは「知性派vs反知性派」の戦いです。安倍政権の中枢は既に日本会議に支配され、USBもハッカーも知らないサイバーセキュリティー担当大臣が誕生し、「英語ができないので総理大臣は目指さない」と言いながら、世界のAIを使った産業革命の時代に乗り遅れようとしているのです。「政治的な発言をしてはいけない」という空気が作り上げられたために、アホが大臣をやって、日本が世界の競争に負ける。もっと政治に興味を持って発言していかないと、日本は間違いなく落ちぶれていくことでしょう。


■ 政府が見限られてホワイトハウスに署名をする日本

これはもう悲しい現実でしかありません。本来であれば日本政府にコメントを求めるところですが、「日本国民のために建設している」と言うだけで、沖縄県民の民意を無視して工事を強行する理由は述べられないまま。あまりに酷い日本政府は信用されなくなって、だったらホワイトハウスにコメントを求める署名を出した方が有効的だと判断されたのです。ホワイトハウスからコメントをもらうためには1月6日までに10万筆集める必要があったのですが、ローラさん、りゅうちぇるさん、村本大輔さんをはじめ、多くの著名人が賛同し、現在は10万筆のハードルをクリアし、署名の数はさらに増えているところです。このような現象が起こっていることについて、菅義偉官房長官は「他国が行っている施策に関することだ」と述べただけでコメントを控えています。自国民の中で起こっているムーブメントなのに、能面みたいな無表情でコメントを控える官房長官。ずっとこんな調子なので、いよいよ日本政府が見限られ、この声は海外に向けて発信されるようになってきているのです。


■ 県民投票の予算を否決している自治体もある

来年2月24日には辺野古基地建設の是非を県民に問う「県民投票」が行われますが、その予算案を否決する自治体がいくつか出てきているので、どうなっているのかをチェックしたいと思います。辺野古基地のある名護市は野党13人が賛成し、公明1人と自民系12人が反対となり、県民投票の関連予算は可決しました。一方、普天間基地のある宜野湾市では「普天間基地の固定化につながる可能性がある」という理由で否決。辺野古基地の建設に賛成なら賛成と投票することができるのに、沖縄全体では反対の方が多いはずだと考えているため、住民に意見は問わないという決断をしました。自民党系の政治家が多いエリアでは続々と否決の判断が出ていて、沖縄市、うるま市、糸満市でも関連予算は否決されています。うるま市は2年前に女子大生が米軍関係者にレイプされた末に殺害された場所であり、糸満市は「ひめゆりの塔」「平和祈念公園」がある場所です。そんな所でも基地建設の是非を問う県民投票をしようという提案に、議員たちが「やらない」という決定を下してしまうことが、現代のニッポンがいかに戦争に近いところまで来ているのかを象徴していると言えます。人々が「政治に口を出さない」ということを口酸っぱく教育されてきたばっかりに、ポンコツな政治家がたくさん誕生し、「県民の意見を聞かない」ということを簡単に決定してしまうような議会が成り立っているということです。基地に賛成するか反対するかを問うているのではなく、住民の気持ちを直接確かめようという機会を作ることに反対しているのですから、いよいよ深刻なところまで来ています。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

これまで「政治的な発言はタブー」という空気を作り出し、おかしいことに「おかしい」と言ってこなかったせいで、まったく仕事をしないゴミみたいな政治家がたくさん生まれています。僕は「選挙ウォッチャー」として、とんでもないポンコツ政治家たちを一歩踏み込んで炙り出していますが、そのバカさ加減は、人々の想像を超える次元に到達しています。サイバーセキュリティー担当大臣がUSBもハッカーも知らないまま年を越してしまう日本なのです。普通だったら翌日にクビになっていなければならないのに、ワイドショーもワイドショーで責任を追及せず、「今年の漢字は何ですか?」という質問をしているのです。すべては「政治的な発言はタブー」という空気を作り出してきた結果なのですが、みんなで政治のことを考え、ケンカをしてでも居酒屋で話し合わなければ、この国が良くなることはありません。しかも、もしローラさんが「うーん、辺野古基地はどんどん埋め立てたらいいと思うの!」とか言っていたら、きっと「政治的な発言」とは言われなかったことでしょう。要するに、「お上の考えと違うことは言うな」と言っているのです。ネトウヨは中国の言論統制をバカにしていますけど、日本は罰則があるわけでもないのに、メディアを使ってお上の考えと違うことを言ってはいけなかったのです。それがSNSの普及によって、メディアを通さなくてもできるようになってしまったものだから、言論統制を担うネトウヨ言論人たちが大騒ぎして、B層ネトウヨたちにバッシングさせているのです。ネトウヨが何を言おうと、思ったことをどんどん発信していくべきです。そうすれば少しずつみんなが思っている「こうなったらいいな」に近づいていくはずです。[了]

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