見出し画像

【選挙ウォッチャー】 新型コロナウイルス・最新情報(#150)。

 子どもたちが夏休みに入り、大人たちももうすぐお盆休みを迎えることから、自然に行動制限のような環境が出来上がり、新規感染者数が減少に転じることを心から願っておりますが、試算を出している科学者たちは「減少のスピードは遅いのではないか」という予測を出しており、まだまだ忍耐が必要になっています。
 人間、2年半も自粛生活をしていると頭がおかしくなってくるのか、大量の死者を出しているアメリカやイギリスの例を持ち出し、「海外ではマスクを外してウーウェイしているのに、いつまでも自粛をしている日本はおかしいのではないか」と言い出す人が増えるようになってしまいました。「おかしくなったのは、オマエの頭やねん!」なんですが、マスクをして、自粛をして、なるべく感染しないように気を付けて行動する人が、だんだんマイノリティーになりつつあります。


■ 日本とアメリカとイギリスの死者数

日本とアメリカとイギリスの100万人あたりの死者数(Our World in Data COVID-19)

 日本はこれまで「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」などを駆使して、人々に行動制限をかけてきたため、実は、アメリカやイギリスなどに比べると、かなり死者数を抑えてきました。
 ところが、今回の第7波では、いよいよ頭がおかしくなり、これまで「神真都Q」「国民主権党」しか言ってこなかったような「マスクを外して経済を回そう」が蔓延。同様の主張をしていた「参政党」「NHK党」が議席を獲得し、第7波で日本の死者数がアメリカやイギリスを超えるのは、ほぼ確実ではないかと思えるグラフの推移になってきました。
 アメリカやイギリスがコロナ対策に失敗したのは、流行初期に「コロナはただの風邪」と言っていたトランプ大統領や、ジョンソン首相がトップだったことが大きいと思います。ろくすっぽ対策らしい対策を打てなかったことで、自動的に初期のスウェーデンのような政策になり、「大量の感染者と大量の死者を受け入れる社会」が出来上がり、その代わりに「もうマスクもしないで、コロナを気にせずに生きる」という環境を手に入れることができたと考えられます。

日本とアメリカとイギリスの100万人あたりの感染者数(Our World in Data COVID-19)

 こちらは日本とアメリカとイギリスの新規感染者のグラフです。
 日本は第1波から第4波までは、高いマスク着用率と自粛で乗り切ることに成功し、第5波はワクチンによって収束に成功しました。アメリカやイギリスと比べると、ケタ違いに流行を抑えることに成功しています。
 しかし、第6波以降は「オミクロン株はただの風邪」という言説が流行したことで、日本のディフェンス力は大きく下がり、第6波や第7波は大きくなっています。ただ、それ以上にアメリカやイギリスは酷いことになっていました。アメリカでは、国民の約58%が1回以上感染したことがあり、子どもは75%が感染したことがあるという状況です。
 こうしたことを背景に、アメリカやイギリスでは「オミクロン株」に対する抗体を持っている人がそれなりにいて、ある種の集団免疫に近い状態が出来上がっており、「BA.5」が中心の第7波については比較的抑えらえれている状況にあるのではないかと考えられています。
 第7波だけを切り取ると、マスクをしている日本が大流行していて、マスクをしていないアメリカが流行していないように見えますが、それは第6波での大変な犠牲の上に成り立っている話なので、部分的に見て「マスクなんて無駄!」と言ってしまう奴は、科学的思考が一切できない、グラフも読めない致死レベルのバカだと言っているようなものなので、「日本の知性の限界を示している人たち」だと思ったらいいと思います。


■ 「BA.2.75」で第7波が長くなる可能性

東京都モニタリング会議のゲノム解析結果の推移(引用元リンク

 僕たちは今、「BA.5」というオミクロン株に襲われ、あまりの感染力の強さに救急車が間に合わないほどですが、早くも「BA.2.75」という変異株がシェアを占めていくのではないかという懸念が生まれています。
 東京都モニタリング会議のゲノム解析結果の推移では、「BA.2.75」はまだ1件見つかっただけで、全体の「0.06%」ということになっていますが、第7波が終わり切らないうちに、この「BA.2.75」が感染者の山を作ってしまうのではないかと懸念されているのです。
 他にも「BA.4」「BA.2.12.1」などの変異株があるのに、どうして懸念されているのかと言うと、これだけ強い感染力を持つ「BA.5」より、さらに強い感染力を持つことがわかり、研究者たちを驚かせているからです。しかも、感染力と反比例して病原性が弱くなるということはなく、「BA.5」と同程度ではないかと考えられています。

東京都モニタリング会議のゲノム解析結果の推移(引用元リンク)

 この「BA.2.75」の特徴は、「L452」の変異がなく、「G339H」の変異があるもので、プライマーをセットすれば、PCR検査で「BA.2.75」であるかを判別可能だといい、東京都ではさっそく準備をするとしています。
 そして、この「BA.2.75」の解析は、東京大学医科学研究所がどこよりも先駆けて研究論文を発表してくれています。こうやって研究してくれている人たちのおかげで、僕たちも対応策を考えられるというものです。

Virological characteristics of the SARS-CoV-2 Omicron BA.2.75(引用元リンク

 この論文によれば、「BA.2.75」の特徴的な変異は、「G339H」だけでなく、たくさんあることがわかっています。変異がたくさんあるほど、これまでのウイルスとは別の特性を持つことになりますので、さらなる研究が必要になります。
 さて、この「BA.2.75」は、非常に感染力が強いことがわかりました。これまでの「BA.2」を1とした時に1.4倍、「BA.5」の1.2倍ぐらいの感染力の強さです。なので、理論上はその感染力の強さにより、「BA.5」のシェアを奪っていく可能性があると考えられています。

Virological characteristics of the SARS-CoV-2 Omicron BA.2.75(引用元リンク)

 ただし、これまでの「BA.2」「BA.5」と同様、レムデシビル、モルヌピラビル、パクスロビドは「BA.2.75」にも有効であるという結果になっていますので、せっかくの治療薬に意味がなくなってしまうということは避けられていると思われます。なので、「BA.2.75」に感染した人に、しっかり治療薬を配ることさえできれば、救急搬送困難事案を減らし、社会の負担を軽減できるのではないでしょうか。政府が今、取り組まなければならないことは、どうやって感染した人に薬を配るのかという仕組み作りだと思います。


■ 全国の感染状況まとめ(8月10日版)

 さて、全国47都道府県の新規感染者数と主なトピックスを1行で紹介します。スマホでご覧いただいている方は2行以上になっているかもしれませんが、なるべく短い文章で簡潔に状況をまとめております。

北海道:7773人。札幌市3172人。30代と40代最多で増加傾向。
青森県:874人。病床使用率が60%。記録的大雨がしばらく続く予報。
岩手県:1482人。盛岡市600人。4人死亡。感染者・死者とも最多。
宮城県:4199人。コロナ急拡大で献血が減少、安定供給協力呼びかけ。
秋田県:1351人。症状が出た64歳以下に抗原検査キットを無料配布。
山形県:1387人。山形市306人、村上で355人、庄内で295人。
福島県:2554人。症状が軽い場合にはお盆休み明けに受診するように。
茨城県:2963人。つくば市223人。30代と40代が感染中心世代。
栃木県:2668人。お盆期間の発熱外来逼迫防止で軽症者は受診控えを。
群馬県:2784人。発熱などの症状がある人に抗原検査キット配布開始。
埼玉県:1万3035人。さいたま市リモートワークで人口増加全国1位。
千葉県:8392人。東葛北部、東葛南部、安房の病床使用率が100%。
東京都:3万4243人。これでも発熱相談件数と新規陽性者数減少傾向。
神奈川:1万2965人。コロナ禍と燃料高騰で銭湯500円に値上げへ。
新潟県:3420人。陽性者登録センター開設し、抗原検査キットで登録。
富山県:1895人。「BA.4」を初確認。富山アラートを23日まで延長。
石川県:2147人。「BA.2.75」初確認。高松市市議ら石川視察で感染。
福井県:1271人。北陸新幹線「かがやき」やJR西日本の特急が満席。
山梨県:1569人。富士吉田市は全市民を元気づけるため1万円を給付。
長野県:2387人。20代・30代はウェブから抗原検査キット申込可。
岐阜県:3802人。県内に住む80代の女性から「BA.2.75」を初確認。
静岡県:7089人。10人死亡。浜松市1704人、静岡市1402人。
愛知県:1万8862人。眼科や産婦人科などにも発熱外来をしろと要請。
三重県:3887人。21日まで「BA.5対策強化宣言」発令、何もしない。
滋賀県:2578人。病床使用率70%超、県独自「医療体制非常事態」。
京都府:6478人。コロナで式典中止相次ぎ、西陣織の売上が過去最低。
大阪府:2万3730人。高齢者施設クラスター大量発生で死者増加予測。
兵庫県:1万2254人。知事にローカル線存続や山林の公的管理を要望。
奈良県:2277人。血中酸素濃度80%でも拒否なのに、病床余裕宣言。
和歌山:1722人。BA.5強化宣言に知事「政府専門家役立たずで邪魔」。
鳥取県:1008人。BA.5強化宣言を出して国に財政支援等を求める方針。
島根県:955人。全数把握の見直しに知事「信じられない発想」と批判。
岡山県:3315人。知事「救急車は緊急を要する時に呼べ」と呼び掛け。
広島県:5372人。福山市で最多1119人。三原やっさ祭り開催予定。
山口県:2483人。岩国錦帯橋空港も無料で抗原定性検査が可能になる。
徳島県:1454人。これでも阿波踊りを強行するのかと県民でさえ驚く。
香川県:1882人。コロナ禍に負け、高松の商店街がゴースト化の懸念。
愛媛県:2514人。踊り手に抗原検査して松山野球拳おどりを強行開催。
高知県:1445人。とさでん交通の運転手が感染で空港連絡バスが運休。
福岡県:1万2260人。お盆に発熱外来すると協力金で、協力病院3倍。
佐賀県:1988人。唐津市で会話が全部英語の「国内留学合宿」を開催。
長崎県:3370人。公約だった県独自の対策は何だったんだと県民憤り。
熊本県:4370人。消防隊員で感染相次ぎ、火災出動態勢が綱渡り状態。
大分県:2383人。お盆期間限定でドライブスルー式の発熱外来を増設。
宮崎県:3303人。台風シーズンを前にコロナ禍前提の避難所運営訓練。
鹿児島:3988人。長渕剛が感染して、鹿児島公演が中止・延期された。
沖縄県:5063人。ワクチン接種なしで基礎疾患なしの30代男性死亡。

 本日の日本全国の新規感染者数は25万0403人となり、死亡者数は251人となりました。一般的に死亡者数は遅れてカウントされますので、来週には1000人台になってしまう可能性もあり、その中には子どもや若い人が含まれる可能性があります。

 九州は全県において、50人に1人に近い状態で新型コロナウイルスの感染者や療養者がいると思いますので、非常に厳しい状態です。まもなく四国も同様の地獄に突入するとみられます。
 青森県だけが取材できる基準を満たしていますが、豪雨の影響で検査が進んでいないだけではないでしょうか。愛知県、京都府、大阪府、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県は、東京都より感染が深刻な状況です。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 おそらくお盆休みの期間は、新規感染者数が少なくなるのではないかと思いますが、それは検査ができていないだけで、実際の感染が減るとは思えませんので、お盆明けが酷いことになりそうな予感がしています。
 いずれにしても、急激に減衰に転じる要素がありませんので、仮に減衰に転じるようなことがあっても、スピードは緩やかではないかと思います。なので、感染対策の手を緩めるわけにはいかず、引き続き、なるべく自宅で過ごしましょう。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。