見出し画像

【選挙ウォッチャー】 安倍晋三総理が突然の辞任を発表。

ついに歴史的な瞬間が訪れました。7年8ヶ月にも及んだ史上最長の安倍政権がとうとう終わることになったのです。かねてから健康不安説は囁かれていましたが、森友学園問題にしろ、加計学園問題にしろ、桜を見る会問題にしろ、何度も何度も辞めるべきタイミングがありながら、今日の今日まで頑なに辞任をしなかった安倍政権が、こんなにあっさりと終わりを迎えるなんてことは誰も予想していなかったと思います。あまりにビックリし過ぎたので、今日はわかりやすく解説するための記事を書きました。


■ 安倍晋三総理が辞任するとどうなるのか

そもそも総理大臣というのは、与党の代表(今回で言うならば、自民党の総裁)がやるという暗黙のルールがあります。これは法律などで決まっているわけではないので、本当は誰がやってもいいのですが、なんとなくそういうルールになっています。今日まで安倍晋三さんが総理大臣だったのは、安倍晋三さんが自民党の総裁(自民党の一番偉い人)だったからです。安倍晋三さんが「総理を辞める」ということは、すなわち、自民党の一番偉い人を辞めるということなので、改めて、自民党の中で誰を一番偉い人にするのかを自民党内の選挙で決めて、その人が新しい総理大臣になります。新しい総理大臣が生まれる時には必ず解散総選挙が行われるイメージがあるかもしれませんが、解散総選挙をする必要はありません。自民党内で誰を一番偉い人にするかを決めたら、その人が総理大臣になり、新しく総理大臣になった人が外務大臣や防衛大臣など、誰を大臣にするのかを決めます。今の各大臣たちは安倍晋三総理が任命した人たちなので、新しい総理大臣になったら、その人が新しい大臣を決めます。この人が大臣だったらいいなという好きな人を大臣にするのですが、逆に言えば、「こいつだけは大臣したくない」という人は大臣にしないことになるので、このあたりの人間関係は見どころ満載です。新しい官房長官は誰になるのか、新しい防衛大臣は誰になるのか、「ミスター当たり前」こと小泉進次郎センセイはどうなるのかなど、これからますます目が離せません。


■ 祖父の代からの悲願である改憲は実現せず

安倍晋三総理の悲願と言えば「改憲」ですが、ほとんど議論が進まないままの辞任ということになりました。まだまだ自民党内で改憲についての議論がまとまっていなかったとはいえ、衆議院では既に3分の2以上を獲得しており、参議院では3分の2に1議席足らないという感じでしたが、立憲民主党と国民民主党の合流新党から「玉木新党」が分裂し、そこに参議院議員の榛葉賀津也さんが入ると言われていたことから、うまいこといけば3分の2を満たすかもしれないというタイミングで、安倍晋三総理が辞任することになりました。もともと来年9月までの任期中に憲法改正原案を国会で発議して国民投票に持ち込むのは日程的に難しいと見られていただけに、最初から実現の可能性なんてなかったとも言えますが、これだけ改憲に積極的だった総理も珍しく、これで改憲の論議は次の総理大臣に引き継がれることになりました。次の総理大臣は改憲をどのように考えている人物なのでしょうか。


■ 急に騒がしくなる「ポスト安倍」問題

安倍晋三総理は体調こそ優れないものの、今すぐ入院が必要なレベルではないそうなので、これから行われる総裁選で、次なる総理大臣となる自民党総裁が決まるまでは総理大臣を続けるとしています。ちなみに、もし何らかの事情で入院が必要になったりして、総理大臣としての職務を続けられなくなってしまった場合には、副総理大臣である麻生太郎さんが一時的にバトンを引き継ぎ、次なる総理大臣に渡すということになります。もちろん、麻生太郎さんが総裁選に立候補して総理大臣になるということがあれば、その時にはそのまま総理大臣ということになるかもしれません。ただ、御年79歳にして、9月に誕生日を迎えたら80歳になる麻生太郎さんは、微妙に引退も囁かれていましたので、たぶん総裁選には立候補しないのではないかと思います。それにしても、次の総理大臣になる人は、とんでもなく大変です。野球で言うならば、10-0で負けている試合の7回裏ノーアウト満塁をリリーフするようなものなので、日本の運命を一身に背負う次なる総理大臣が誰になるのかという話は、全国民が見守るべき話と言えましょう。


■ 総裁選の方法や日程は二階俊博幹事長に一任

自民党の総裁選というのは、自民党内でのオリジナル選挙なので、自民党員でもない一般の有権者が参加することはできません。また、いつもなら自民党に会費を払っている人には全員に選挙権があったのですが、どうやら今回は、党員や党友(自民党に党費を納めている一般の会員)の投票は省略すると言われているので、自民党の国会議員と、各都道府県の地方議員3名ずつが選挙権を持っているというような方法で行われる見込みのようです。まだ正式に決定しているわけではないので、いろいろな声を受けて変更される可能性はありますが、もし党員や党友の声が反映されなくなってしまった場合には、全国的に人気の高い石破茂さんにとっては不利な戦いとなります。早くも自民党内の駆け引きは始まっているという感じです。なお、総裁選は9月中には実施されるということです。


■ 新総理が握る「解散」という難しいカード

僕が間違えて認識していたので、改めて書き直しますが、今回、安倍晋三総理は総裁の任期を途中で投げ出す形になってしまい、この場合は次の総裁が安倍晋三総理の任期を引き継ぐ形になるそうで、次に決まる総裁の任期は2021年9月までだといいます。そして、自民党の総裁選の任期以外に必ずやってくるものが衆議院議員の任期です。小学校で習ったと思いますが、衆議院の任期は4年、参議院の任期は6年。前回は2017年10月に選挙をやりましたので、2021年10月には必ず衆院選が行われるのです。これは誰が総理大臣になっても変わりません。そして、総理大臣には衆議院を解散する権利があります。本来、この「解散」というカードは「こんな議会では国民のためのちゃんとした政治ができない」と判断した時の切り札として用意されているのですが、実際には、政権与党が選挙に勝ちやすいタイミングで選挙をやるためのカードとして使われています。もし2021年10月までに、新しい総理大臣が国民の納得のいくような政策を打ち、新型コロナウイルスを終息させ、日本経済をガンガンに回していくようなことに成功したとすると、「ありがとう、自民党!」ということになって自民党が大量に議席を獲得することになることでしょう。しかし、新しい総理大臣がポンコツで、ろくすっぽ新型コロナウイルス対策ができず、地獄のような死者数になり、倒産が止まらず、日本経済がガタガタになり、自民党のクソ加減に国民の怒りが爆発し、「とりあえず自民党以外だったら何でもいいわ!」というぐらいに他の政党に投票するようなことが起こってしまったら最悪です。だったら、2021年10月に強制的に選挙をしなければならない事態に追い込まれるまで待たず、今のうちに選挙をしてしまった方がもうちょっとマシな結果になるので、早めに解散をしておいた方が良いことになります。しかし、今すぐ選挙をしようにも、新型コロナウイルス対策がろくすっぽできていない上に、「GoToトラベルキャンペーン」で感染だけが広がったのではないかという微妙な結果になっていて、今、このタイミングで解散総選挙をするなんて言ったら「ナメとんのか!」と言われることは間違いありません。とっとと選挙をしたいけれど、だからと言って、このタイミングで選挙をやったら何を言われるか分からない。ということで、新しい総理大臣はどのタイミングで「解散総選挙」を切り出すのかが、ずっと問われ続けることになります。


■ アベガーよりアベガーガーの方が大変

安倍晋三総理の辞任が決まり、これまで安倍ちゃんをマンセーしてきたネトウヨの皆さんが発狂している真っ最中です。ネトウヨの皆さんは、安倍ちゃんが辞めたら「アベガー(安倍総理を批判している人)」は、「明日からどうやって生きていくんだ!」と言っていたんですが、どうやって生きていくも何も、これからは心穏やかに、これほどの安堵感はないくらいに平和な毎日を過ごしていくだけだと思います。ひとまず新政権が安倍政権よりも圧倒的にまともであることを期待し、それまでは自民党総裁選の日を指折り数えて待つのでしょう。プレミアムフライデーの発表ということもあり、昨日から今日にかけて美酒を味わっている人も多いのではないでしょうか。それより心配になっちゃうのは、安倍ちゃんをマンセーすることでメシを食ってきたネトウヨビジネスのオジサンやオバサンです。この人たちは安倍晋三さんが総理大臣だったからメシを食えてきた茶坊主なので、安倍晋三さんが総理大臣ではなくなった瞬間、説得力を失ってしまうかもしれないのです。なにしろ、辞任を発表する記者会見の突然まで「安倍ちゃんは元気に決まっとるやろが!」と吠え、「安倍ちゃんが辞めるかもしれないというのはパヨクメディアによるパヨクの願望だ!」と言ってきた人たちです。安倍ちゃんと寿司を食ったり、焼き肉を食ったりして、やっぱり安倍ちゃんは最高だと言い続けてきた人たち。新しい総理大臣がそういう人たちと同じように接してくれるかどうかは未知数なのです。そして、その下にいる一般階級のネトウヨの皆さんは「安倍ちゃんが病気のせいで辞任することになったのに、この期に及んで批判してくるパヨクは人でなしだ」ということで、そういう人を見つけては片っ端からクソリプを送りつけていく「安倍ちゃんバッシングマナー警察」になってネットパトロール中なんですが、とうとう「一国の総理大臣に向かって『安倍ちゃん』と呼ぶなんぞ、失礼すぎる!」と言い出すアホまで生まれる始末。精神的な支柱を失って泣きたいのは、「アベガー」を攻撃する「アベガーガー」の皆さんなのかもしれません。こんな夜は思いっきり泣きましょう。


■ 岸田文雄政調会長が総裁選に立候補

安倍晋三さんが「辞任を発表する」というニュースが流れた瞬間、総裁選に立候補すると発表したのが岸田文雄政調会長です。「安倍総理、おつかれさまでした! お体、大丈夫ですか?」みたいな時間もなく、食い気味に「総理大臣、俺、やります!」を表明しているのですから、安倍晋三さんの辞任を待ちに待っていたのは、このオジサンかもしれません。こんなもの「総理大臣になりたいわけじゃないんですけど、みんなが総理大臣になれ、総理大臣になれって言ってくるもんで、自分に総理大臣の器があるのかななんて思ったりするんですけど、そこまで言われちゃあしょうがないんで、俺、総理大臣やりまーす!」が正解だと思うんですけど、フライング気味に手を挙げて立候補すると言っている奴がいるので、だいぶややこしいです。これからどんどん「総理大臣は安倍さん以外に考えられないに決まっているじゃないですか。急に安倍さん以外の人を総理大臣にするなんて言われても、そんなの決められるわけ・・・俺、やりまーす!」みたいな奴が出てくるわけで、全体的にものすごくややこしいです。選挙をウォッチングするのが仕事の僕としては、もちろん、自民党総裁選も「選挙」ということでウォッチングの対象なので、片っ端から記録をつけていこうとは思っています。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

画像1

森友学園問題、加計学園問題、公文書改竄問題、桜を見る会問題など、実にさまざまな疑惑がある中で、安倍晋三総理は今日の今日まで何一つ責任を取らずに日本のトップに君臨し続けてきたわけですが、こんなに突然、終わりの時が来るとは思いませんでした。何度も何度も「安倍辞めろ!」と言い続けてきたのに、今日の今日までちっとも辞める気配がなく、なんなら永久に続けるのではないかと思うほどだったのに、辞めるとなったらこんなに急に辞めるのですから、正直、かなり驚いています。現在、総裁選に意欲のある人として名前が上がっているのは、石破茂さん、岸田文雄さん、野田聖子さん、下村博文さん。とりあえずこのメンツなら、安倍晋三総理のようなネトウヨ内閣になることはなさそうなので、ひとまず安倍晋三総理よりはマシな気がしていますが、なんとなくこの4人以外のメンバーが総理大臣になりそうな予感がしていて、今から戦々恐々です。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。