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【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#296)。

 今回の衆院選は、「NHKから国民を守る党(現・NHKと裁判してる党弁護士方72条違反で)」にとって、「最後の打ち上げ花火」だと言っても過言ではないが、せっかくの打ち上げ花火もシケているようである。
 あまりに頭がイカれているので、それまでまったくテレビに呼ばれることがなかった立花孝志だったが、公平性の観点からテレビの党首討論などに呼ばれ、フル勃起で出演し、雄弁に政策を語り、「立花孝志ここにあり」を見せつけようとしていた。だが、立花孝志のYouTube動画の再生数は、「格差社会は最高だ」という頭のイカれた解説が5万回、党首討論で岸田文雄総理に会った感想が5万回、日本第一党や新党くにもりを絶賛するネトウヨに媚びた動画が5万回。れいわ新選組が寄付を集めているのは貧困ビジネスだと批判する動画が、やっとのことで6万4000回程度である。
 参院選の頃は、軒並み50万回や60万回といった再生数を連発し、100万回を超えることも珍しくなかったのだから、その影響力は10分の1以下に落ちてしまったと言ってもいい。もっと言うと、再生数の伸びている岸田文雄総理に会ってきた感想は自民党支持者が、日本第一党や新党くにもりを絶賛する動画はそれらの政党の支持者が、れいわ新選組を批判する動画はれいわ新選組の支持者が再生しているため、純然たる立花孝志の動画の視聴者はほとんどいなくなっていると言える。テレビ番組への出演が多くなったことで、露出が増え、焼き畑農業のように、今になってN国党を支持するような情弱の中の情弱もいることにはいるが、それでも、そんなに多くはないだろうというのが今のところの見立てである。


■ N国党の獲得議席は「0議席」

 これだけテレビの露出が増えたのに、N国党の予想獲得議席は、残念ながら「0」である。さまざまな所から情報を集めているが、N国党が議席を獲得できると予測を出している機関は一つもない。
 それもそのはず、N国党は先日の参院補選・山口県選挙区に、有罪判決を受けて控訴中の迷惑系YouTuber・へずまりゅうを立候補させて落選。2020年4月の志木市議選で無投票当選を果たして以来、今回で「47連敗」となっている。ありとあらゆる地方選挙に挑戦し、ろくすっぽ勝てずに落選を繰り返すぐらいに嫌われている政党なので、小選挙区はもちろん、各比例ブロックでも相当厳しい数字になることが予想されている。
 立花孝志は、今回の衆院選の目標を比例ブロックで2%取ることに置いているが、おそらく2017年の衆院選で幸福実現党が獲得した票を下回ると見られ、ざっくり0.4%~0.5%前後になるのではないだろうか。もちろん、これでは議席を獲得できないし、来年の参院選で2%を取ることもままならないことだろう。


■ N国党にとっては最後の国政選挙である

 今回の衆院選は、N国党にとって「最後の国政選挙になる」というのが長らくN国党を最前線で見てきた私の見立てである。来年の夏には参院選が行われるが、おそらくN国党は候補者を擁立できない状態に陥っているのではないかと思う。そもそも立花孝志がシャバの空気を吸っているのかどうかさえ分からない状況にあるのではないだろうか。
 まず11月末には、昨年度の政治資金収支報告書が公表される。これでN国党のお金の流れがさらに明らかになり、立花孝志や「立花孝志ひとり放送局」に、一体、どれだけのお金が「貸付金」という形で流れているのかが明らかになる。
 これらの「貸付金」は、「貸付」と言われるぐらいなので、立花孝志や立花孝志の会社への「借金」となっている。しかし、立花孝志や立花孝志の会社に収入らしい収入はなく、返済のアテはない。

 立花孝志は、かつて「高須クリニック」の高須克弥院長と対談をしたことがあって、当時、参院選に挑戦した際に一般人から借りた1億円の返済の原資を質問されたことがあった。そして、立花孝志はこれまでもたびたび「政党交付金で借金を返す」と明言しているが、政党交付金で借金を返すことは法律で認められていない。何らかの方法でマネーロンダリングをして返済すると言いたいのかもしれないが、今のところ、肝心のマネーロンダリングの方法は思いついていないようである。
 参院選の時には1億円だった借金も、今回の衆院選では5億円以上に膨れ上がっており、「議席は増えないのに借金だけが増える」という悲惨な懐事情となっている。
 しかも、立花孝志は衆院選と参院選で受け取れる政党交付金が増えることを前提に借金をしているが、今年の衆院選では丸山穂高が不出馬となり、このまま議席を獲得できなければ、いくら1票あたり80円の政党交付金が入ると言っても、丸山穂高の分で相殺され、政党交付金はほとんど増えることがない。立花孝志の返済計画に狂いが生じ、返済が滞る可能性が高くなりそうなのである。


■ 資金が枯渇する「諸派党構想」の団体たち

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 当初の計画によれば、立花孝志は借金によって5億円以上の運転資金を調達し、今回の衆院選では「医者」「弁護士」といったエリートばかりを揃え、「美男美女作戦」と称し、ルックスの良い高学歴の美男美女を擁立することで、より多くの票を獲得する予定だった。
 ところが、この5億円以上あったはずの運転資金はいつの間にか枯渇していて、「諸派党構想」と題し、さまざまな弱小政治団体を集め、自腹で300万円の供託金を用意できる者には無条件で公認候補とした。
 これに参加したのが「つばさの党」「子供未来党」などの弱小零細政党だったが、早くも「つばさの党」は600万円の供託金を支払ったことで党の資金繰りが悪化し、寄付を呼び掛ける動画をアップしている。

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 宮城2区から立候補している「子供未来党」の林マリアゆきも、活動資金が底をついたといい、選挙3日目にして街頭での選挙運動を中止。いずれも厳しい懐事情に見舞われている。
 せめて選挙運動に関わる活動資金ぐらいは用意しておくべきだろうが、彼らは選挙に当選することを目的としているわけではなく、あくまで参加することで得られる「政党交付金の分け前」が目的なので、選挙への立候補は儀式に過ぎず、「お金をかけない自由で楽しい選挙」を展開するという。選挙を楽しむ精神は大切だが、有権者と真剣に向き合うわけでもなく、選挙を楽しんだ末にお金が入るシステム。これが立花孝志の「諸派党構想」だが、これでは「選挙を金儲けに使っている」と言っても過言ではない。
 政治家たちは、我々の税金を無駄に使おうと思えば、いくらでも使うことができる。だから、選挙でちゃんとした税金の使い方をしてくれる人を議員にしようということになるのだが、彼らのやっていることはまったく本末転倒で、政党交付金を不正に使っていると言わざるを得ない。


■ 今回の衆院選で「85連敗」となる見込み

 N国党は、2020年4月の志木市議選で無投票当選して以来、今日の今日までまったく選挙に勝てていない。10月24日に行われた参院補選・山口県選挙区に迷惑系YouTuber・へずまりゅうを擁立して供託金没収の大惨敗をしたことで、その連敗記録は「47」となっていた。
 今回、選挙の直前になって立候補を取りやめた人もいるので、今日までまとめられていなかったが、議席を獲得できなかった場合、連敗記録は以下のところまで伸びることになる。

48連敗目:斉藤忠行(北海道6区)
49連敗目:荒川順子(岩手2区)
50連敗目:林マリアゆき(宮城2区)
51連敗目:説田健二(群馬3区)
52連敗目:河合悠祐(埼玉3区)
53連敗目:渡辺晋宏(千葉7区)
54連敗目:猪野恵司(東京7区)
55連敗目:田中健(東京15区)
56連敗目:長谷川洋平(東京22区)
57連敗目:渡辺麻里子(神奈川15区)
58連敗目:池高生(長野3区)
59連敗目:辺見信介(山梨1区)
60連敗目:門田節代(愛知1区)
61連敗目:山田いずみ(三重1区)
62連敗目:日高千穂(滋賀1区)
63連敗目:西脇京子(大阪16区)
64連敗目:加藤孝(奈良3区)
65連敗目:遠西愛美(和歌山2区)
66連敗目:矢島秀平(広島3区)
67連敗目:中島康治(高知1区)
68連敗目:広田晋一郎(高知2区)
69連敗目:熊丸英治(福岡6区)
70連敗目:本間明子(熊本3区)
71連敗目:野中美咲(大分1区)
72連敗目:重黒木優平(宮崎3区)
73連敗目:宮川直輝(鹿児島4区)
74連敗目:中村幸也(沖縄2区)
75連敗目:斉藤忠行(比例・北海道ブロック)
76連敗目:林マリアゆき(比例・東北ブロック)
77連敗目:黒川敦彦(比例・北関東ブロック)
78連敗目:渡辺敏光(比例・南関東ブロック)
79連敗目:田中健(比例・東京ブロック)
80連敗目:池高生(比例・北陸信越ブロック)
81連敗目:山田いずみ(比例・東海ブロック)
82連敗目:日高千穂(比例・近畿ブロック)
83連敗目:矢島秀平(比例・中国ブロック)
84連敗目:中島康治(比例・四国ブロック)
85連敗目:斉藤健一郎(比例・九州ブロック)

 N国党は、小選挙区に27人、各比例ブロックに11人(重複含む)を擁立しているため、1つも議席を獲得できないとなると、一気に「38」の負けが加算され、合計で「85連敗」を記録することになる。


■ 葛飾区議選では「87連敗」となる見込み

 衆院選は10月31日に投開票が行われるが、実は、11月7日に行われる予定の葛飾区議選に、NHKと裁判してる党から黒瀬信明、つばさの党から根本良輔が立候補する予定だ。
 ご存知の通り、「つばさの党」はN国党の「諸派党構想」で連携している政治団体であり、「準N国党」の立場である。黒川敦彦自身が動画で「根本良輔が当選すればN国党の連敗記録はストップする」と語っているため、実質的にN国党の人間であると考えてもよい。
 葛飾区議選は、4年前に尊師・立花孝志を議員にした「聖地」であり、元N国党員の平塚正幸が立ち上げた「国民主権党」から中根淳が立候補する予定となっている。
 葛飾区議選では、投票してもN国党、つばさの党、国民主権党などの政党交付金が増えるわけでもなく、ただ議員になるだけであるが、反社会的カルト政党の人間が議員になってしまうと、政治が歪められてしまう可能性があるため、もっと議員にふさわしい人間を選ぶようにした方が良い。もっとも今回は香ばしい候補がたくさん出てくるため、泡沫候補に入る票はますます分散すると見込まれるため、いずれの候補者も当選は厳しい。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 N国党に投票してしまう人は、どんな人か。
 それは、一言で言えば、「今日の今日までろくすっぽ世の中のことを考えてこなかった人」である。
 世の中には、命や生活に直結する大きな問題が数えきれないほどある。例えば、日本の少子高齢化は深刻で、これから日本は急速に人口が減ってしまう。人口が減ると、お金を使う人がいなくなる。お金を使う人がいなくなると、どんなビジネスもうまくいかなくなる。ビジネスがうまくいかなくなると、人々はどんどん貧しくなる。貧しくなると、子供を産んで育てることができなくなる。こうして負のスパイラルに突入すると、国が立ち行かなくなってしまう。
 国が立ち行かなくなっても、この土地に生きる人はいるし、日本人が消滅するわけではない。たから、ただただ日本人が貧乏で苦労の多い民族になってしまうだけである。自分たちの世代はギリギリで幸せを享受できたとしても、子や孫の世代は苦しい生活をする人が多くなり、この国の希望が失われてしまうのである。
 そうならないように、どうすれば良いのかを考えるのが「政治家」の仕事であるが、「NHK問題以外は何もやらない」と宣言しているアホの政党は仕事を放棄していると言ってもいい。ワンイシューというのは、一見、わかりやすいかもしれないが、「万単位ある問題の小さな一つにこだわる」という方法で国民を幸せにできるはずはない。ましてや、税金の無駄遣いを厭わない反社会的カルト政党に期待できることなど、一つもない。
 11月末になると、NHKから国民を守る党の政治資金収支報告書が公表される。いよいよ砂上の楼閣が崩れてゆく様を見ることになる。N国ウォッチャーたちのお楽しみは、今回の衆院選ではなく、その後なのである。

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