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書いて伝える栄養士になるまで

学校栄養職員の仕事を始めて1年は、人付き合いも含めて様々に気を遣い、この仕事の大変さを痛感した。思うようにいかないもどかしさもあり、このまま普通に給食を提供しているだけでいいのかな?と思い始めた。

そこで毎月一回、献立表とともに発行する「給食だより」を工夫することにした。給食だよりとは
献立の内容や栄養価について説明をしたり、食育目標や家庭へのメッセージを記載した、保護者向けの手紙のことだ。一年目は初めてのことばかりで新しいことを取り入れる余裕もなく、ごく普通の給食だよりを作成していた。

学校は目標が多い。児童に向けた週目標、月目標、食育月間や読書月間に合わせた目標…など。
そもそもそのような目標は意味があるのかな?
1週間経ったら、月が変わったら違う目標に切り替わる。たとえ目標が達成されなくても。日常、教職員が関わりながら伝えていけばいいことだし、その時限りの目標設定に疑問を感じていた。私が保護者という立場だけであれば、それほどこういうことは気にならなかったかもしれない。しかし自分自身が学校に配置され保護者に伝える立場になり、自分の言葉で発信したいと考えた。

2〜3つのタイトルに分け、B4の用紙にびっしり文と関連のある写真やイラストを詰め込んだ。内容は、給食時間の報告や様子を見て感じたこと、私自身がプライベートで体験した食に関係するエッセイ、社会的な問題と給食を関連付けたものなど。とにかく、自分が見て感じて経験したことを書いた。そうじゃないと、ありきたりでどこかで見たり読んだりした給食だよりになってしまう。
私じゃないとできないこと、思いにこだわって書くようにした。

私がこの仕事に就いて一年目から3年間お世話になった校長先生は、給食だよりを楽しみにしてくださるようになった。その後校長先生が他校へ異動された際も「メールで給食だよりを送ってほしい。」とおっしゃってくださり、楽しみにしてくださる方が1人でもいれば書き続けよう、と心に決めた。

栄養職員としてだけではなく、教育に関わることができているような気がした。子供をもつ身になって世の中の見方が変わり、様々な視点から食とつなげることが面白く、学びにつながっていった。

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