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#詩

大樹

大樹

大樹が一本、立っている
豊かな土壌のうえに──

子供たちが集っても上が見えない
若い女が腕を広げても抱きかかえられない

大樹は根から葉脈から養分を吸い上げて
白い、白い樹液を空に噴き上げる

一面、空から降り注いだあと
虹がかかる

やがて大地のうえに樹液はしみこみ
長い月日を乗り越え

春の泥のなかからふくらみが
いくつもの乳房が盛り上がり
白い乳を吹き出す

とめどなく

こうして、子供を

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ロックンロール9

ロックンロール9

ロックンロールにひざまずき

ロックンロールに楯突いて

ロックンロールでがんじがらめ

ロックンロールは絶対じゃない

ロックンロールですら相対的

突き放すために切り離されるんじゃない

真っ直ぐ絶妙な位置から放るため

首から下はあとがない

首から上はビンビン

ご満悦の猿

とろけるような脱皮

振り返る君を神聖化して

踏み鳴らすホームで鎮静

見せつけるために切り離されるんじゃない

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虹のメロディ

虹のメロディ

異国の街に辿り着いたら新しい服とボタンを探した想像力は人生のスパイス美しい世界の道しるべ

虹のメロディが心を弾ませる自分の機嫌は自分でとるんだポケットの中には沢山の思い出いつだって笑顔を取り戻せるのさ

懐かしい友達お世話になった人達命をつないでくれた人達僕は今日も明日も元気に生きてゆきます

心の扉をノックしたなら新しい世界がすぐにやってくる素敵な未来は自分で望む宇宙はいつも答えてくれる

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それでも進む【詩】

それでも進む【詩】

コツンとひと躓き
よくあることさ、と波は歌う
コツンともうひと躓き
今日は忙しいね、と波は笑う

冷たい汗をこっそり流しながら

ガタガタ道だと思ったら
タイヤがボコボコだったらしい
ガッタンと躓き傾き
だけど進まねばなるまいよ

赤土にガソリンを流しながら

気付いたら波は静かになっていて
一ミリも動かない、塊になっていた

大好きと大嫌いの間

大好きと大嫌いの間

大好きと大嫌いの真ん中は

数学のグラフみたいに

ゼロになれるのかな

大好きと大嫌いの真ん中は

空気みたいに

あるようでない感じかな

大好きと大嫌いの真ん中は

海の底みたいに

知らないで居られたかな

大好きと大嫌いの真ん中は

それとも

雨が降らないと虹が見られないのに似ているかな

大好きと大嫌いの真ん中は

それとも

お互いに喧嘩したりしているの

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尊い涙

尊い涙

ひとが好むもの
悪の敗北
悪魔がすすり泣きしている
姿を見ること

そして
その悪魔が
こう叫ぶこと
「あのひとを救ってあげてください!!」

その瞬間に悪魔の姿は天使に変わり
深淵から天高く
舞い上がった

最後の最後で
わたしは
自分のことから
離れ
誰かを救うことを願った

それを叶えることができるのは
深淵の悪魔たちではなく

かみ

わたしの叫びと涙は
舞い上がった
天高く

ひとが好む

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憧れ

憧れ

あなたの流す涙と
私の流す涙は
何もかもが違っていて

これ以上
自分を慰めるためだけの涙は流したくないのです

誰かへの感謝の涙を流せるような
「哀れ」などという言葉から一番遠い
あなたのような人に 私はなりたい

道端(詩)

道端(詩)

可能性と安心の狭間のふもと
ころころとならぶ屋根屋根

雲の切れ間は無限と有限の間
天井があれば人は眠れるが
空が見えなければどこにもゆけぬ

白鳥がわらった
僕はこれでいいと思った
雲がわらった

セピアに閉じ込められて笑うあなたに
この空を見せたいと思う

ふかふかとした土の匂い、匂い
雨が染み込んで、風がなでて、
ぼくは背伸びをする

そうすると太陽はぼくの背筋から入ってきて
足元までびーん

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〈詩〉 凱旋

〈詩〉 凱旋

教会の鐘が高らかに響きわたる
聴衆は旗を掲(あ)げ、杯を掲(かか)げ、立ち上がる

マラッカ海峡を発った旅人を待っていた
やっと辿り着いたあなたは艶めいた沈着な戦士

広場の真ん中はあなたのための場所
日の沈む時間、全ての光があなたに集まっていく

低く、低く、高く、刻む
低く、低く、高く、のびる

あなたの声、声、声
恋しかったあなたの声

鳥も、鹿も、狐も、寝床に戻らず丘に座っている
街の灯(

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【詩】拝啓、I miss you.

【詩】拝啓、I miss you.

話をするって難しいよな
いざ話そうと思っても
話せることは限られている
僕が話したいことと
君が話したいことの
最大公約数がそのまんま僕たちの距離だ
君と話したいことは
こんなことじゃないんだって思いながら
どうでもいい話をしちゃうんだよな
話すことで
変わって行ってしまう印象がある
君が知っている僕は
僕のほんの一部だし
僕が知っている君も
そうなんだろうな、と思ってる
僕ら
お互いに知りすぎて

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夢の上塗り

夢の上塗り

色褪せた

夢の上塗り

24色じゃたりない

色鉛筆と画用紙と

あとは気の向くままに

空の形も

シャボン玉の色も

お気に入りの靴も

きみが描く世界が一番素敵だ

『荒地』を愛でる「チェスゲーム」 6

『荒地』を愛でる「チェスゲーム」 6

【毎日投稿中】【感想】

And other withered stumps of time
Were told upon the walls; staring forms
Leaned out, leaning, hushing the room enclosed.

それとは別の枯れた時間[現代]の切り株が語った
壁の人物たちが こちらを見据え
身を乗り出し 寄り掛かり 部屋を取り巻いてお静か

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★☆★☆★☆

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Nobody helps me

I know

Cause I give them nothing

But I cannot stand without someone

There’s no brave

Such a poor

Do you feel you’re on the same with me?

I can’t see you

戯曲「クリスタル・グローブ」(最終)& 詩

戯曲「クリスタル・グローブ」(最終)& 詩

戯曲「クリスタル・グローブ」八・九
八 朝の海岸

(美里を除く全員が海岸の見える所に集まっている。夜が明け、金色に輝く陽光が全員を浮かび上がらせる。物陰で、天使に脱皮しつつある悪魔が様子を窺っている)

理科教師 (怨霊粒子をポケットから取り出し、みんなに見せながら)こいつは、最後の一発だ。投げるか投げないかは美里さんの一言で決まっちまう。きっとそれが民主主義というやつさ。
春子先生 ところで、

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