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「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」試し読み①――ユニクロ・柳井正

創刊42年、1万本以上に及ぶ『致知』の人物インタビューの中から、仕事・人間力が身につく記事を365篇選び抜いた『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監修)。全国の書店で続々ランクインし、発売からわずか2か月で18万部を超えるベストセラーとなっています。就寝前や出勤前のたった3分間、本書を開くことで得られる仕事や日々の指針。365名の貴重な話が収録され、仕事のバイブルになるとともに、人生の教科書ともなることでしょう。さて、本書にはどのような話が収録されているのか。ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正氏のお話をご紹介します。

ドラッカーは企業経営の本質というものを、こんな言葉で表現しています。

「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である」

ビジネスをやるというのは、結局そういうことですよね。お客様がいない限り、ビジネスは成立しない、という当たり前のこと。近頃、会社は誰のものかということが論じ
られ、株主のものとか、社員のものとかよく言われるんですが、「お客様のもの」ですよね。

お客様に奉仕する集団が会社であり、それをいかにうまく経営して収益を上げるかという競争をしている。ドラッカーはそういう、会社というものの本質を見抜いたんじゃないですか。

でもほとんどの場合、表面的なことにばかりとらわれていて、会社は何のためにあって、そこで仕事をする人は何をしないといけないのかを掴まずに仕事をしている人や、会社自体が存在する。

僕が考える一番いい会社とは、末端の社員でも自分がトップの経営者だと思っている会社。自分が全部のことを決められるし、この会社を支えている、あるいはコントロールしていると思える社員がたくさんいる会社です。

それが、大会社になってくると、会社に使われるようになるんですね。自分が会社を使うんじゃなく、会社に使われる。そして自分が下っ端だと思った瞬間にダメになる。

我われの会社でいえば、部長級や課長級がそうなんですが、自分の立ち位置にとらわれ過ぎ。それぞれの人が自分の立ち位置で物事を考えるから、ごく限られた範囲内でしか物事が見えない。そして全部見えていなくて失敗している。ですから一度、自分もトップの経営者だと思って、上からいまの仕事を見直したら、すごくよくなるように思います。

結局、サラリーマン意識じゃダメなんですよ。自分は会社という場所に、「自営業」をするために来ている。自分は給料を貰っている立場だとかじゃなしに、自分が会社を食わせてる、というふうに思わないといけないと思います。

仕事が面白いと思うためには、自分がそこに本当に懸けないと、絶対にそうは思えない。中途半端な気持ちでやっていたら、面白くも何ともないですよね。