見出し画像

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」試し読み②――孫正義

創刊42年、1万本以上に及ぶ月刊『致知』の人物インタビューと、弊社書籍の中から、仕事力・人間力が身につく記事を精選した『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監修)。稲盛和夫氏、井村雅代氏、、王貞治氏、羽生善治氏、山中伸弥氏……など、各界で活躍する人物の逸話を一日一話形式で読むことができる、永久保存版的な内容です。本書の中から、当時、日本ソフトバンク社長で、32歳だった孫正義氏が語ったリーダーシップの神髄をご紹介します。

「脳みそがちぎれるほど考えろ」
 孫正義(日本ソフトバンク社長)

とにかく、会社が百人ぐらいまでの時は、自分が何でも先頭に立って、とにかくやってみせる、そしてみんな付いてこいというスタイルですよね。

これが数百名、あるいは千名ぐらいになりますと、自分が全部やってみせるというわけにはいきませんから、うまく指示をして、その通りやってるかどうかチェックする形になると思うんです。これが千名を過ぎて数千名になると、今度は自分一人ではチェックできませんから、組織でもってチェックアンドバランスの体系を作っていかなければならない。

これが一万名を超えてくると、もう、人為的にチェックしたり組織でやるといっても、なかなか自分の思い通りには動かない。そうなると、もう、ただひたすら、自分の思いを込めて両手を合わせて祈りながら、その祈りがじわーっと幹部に伝わり、その幹部から末端の社員まで浸透していくというような形になるんじゃないんでしょうか。

怒って言って聞かせても、なかなか目が行き届かなくなってくる。その時に自分の心底の真心からの思いがじわーっと染み込んでいくような、そういう真心の経営みたいなものをやっていかないと、人じん心しんを集めるということはできないだろうなと僕は思います。

私どもの会社が、果たしてそこまでの規模の会社になれるのかどうか、やってみないと分かりませんけれども、少なくとも男として会社を経営する以上は、そのぐらいの企業になりたいというふうには思っているんですけどね。

現在のところ、我が社は、どんどん開拓していかなきゃいけない時期ですからね、できあがったものを守ればいいというスタイルでは時代の波に流されてしまう。だから、いろんな意味で攻めていかなければいけないわけです。

攻めていくということは、かなり難しい局面でも、それをクリエーティブに打開していかなければならない。そのためには、脳みそがちぎれるほど考えろ、と。ちぎれるほど考えてもなかなかちぎれはせん。本当に心底、ちぎれるほど考えてみよ、そうするとおのずから新しいひらめきなり問題解決策が出てくる、というんです。

それと、ストレス解消は、問題事から逃げることによって解決してはならんというんです。僕のストレス解消法というのは、何か問題があったらそれを忘れるために酒を飲むとかゴルフをやるとかいうんじゃなくて、それをとことん考え抜いて、考え抜いて、解決策を見いだして実行に移す、そうすると、もやもやがスカッと晴れるわけですね。やはり、問題から逃げてはならないよということをいいます。

1日1話…3