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「齋藤孝のこくご教科書」を母子で1年間読んでみました(読者インタビュー)

日本語教育の第一人者・齋藤孝先生が、小学1年生向けに作った理想の小学教科書、『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』。本書を家庭学習に採り入れて約1年。東京都にお住まいの渡部雪絵さんは、その成果を確かに感じているといいます。渡部家では本書をどのように活用されているのか。お声を聴かせていただきました。

Q.ご購入のきっかけは?

5歳(購入当時。幼稚園年中)の息子の読解力を母語で育みたいと思ったことがきっかけで、手に取りました。

幼少期から英語に触れさせたかった訳ではないのですが、普段の取組みが素晴らしく感じたことから、息子はインターナショナルスクールの系列幼稚園(保育園)に通っています。

朝から夕方まで英語の環境にいるなか、家庭でできる国語教育、子どもが自ら進んで取り組める「こくご」というものを考えたとき、名文に無理なく触れられるこの一冊が最適だと思いました。

Q.どのように活用されていますか?

毎朝1つのお話を読むようにしています。夢中になると本人は何回も何回も読むので不思議です。

この本は、お話によって「正」の字で読んだ回数をカウントできたり、読むのにかかった時間を本に書けるようになっています。「正」の字を書くことや時間を測ることも、最初から本人の役割でした。

意味が分からない言葉が出てきた際は、自分で国語の辞書を引かせ、意味を理解してもらうようにしています。時間がかかったとしても、私が手を出すことは控えるよう、我慢我慢……。

Q.お子様の反応はいかがですか?

文章がメインの本にもかかわらず、「こくごの教科書をきょうもよむ!」と言って楽しそうに取り組んでいます。

特に金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」の「みんなちがって、みんないい」というお話を知ってから、世の中に存在するものには違いがあること、そしてその違いはあって当たり前だし、あるから良いんだ、ということを心で理解したように思います。

Q.お子様の成長を実感されるのは、どんなところですか?

文章を理解する力が日に日に身についてきたように感じます。小学生にあがるタイミングとなり、先日たまたま文章題のみの算数のテストを受けましたが、親としてもびっくりするくらいの理解力を発揮して満点をとってきました。

そのテストを受けるまで、国語や算数を家庭では取り組んでいませんでしたし、塾的なお教室にも通っていませんでした。普段の園生活は英語なので、日本語・国語に関してはこの「こくご教科書」だけです。沢山の刺激を受けているのだな、と感じています。

Q.お子様はどんな作品が好きですか?

ずばり「学問のすゝめ」です。最初は読むスピードだけを本人は気にしていました。すらすらと読めるようになってきたとき、普段話す日本語とあまりにも違う言葉であることが気になり始めたようで、「これってどういう意味?」と沢山質問をしてくれました。

Q.学校教材との使い分けはどうされていますか?

平日やときに休日も私が仕事をしていて、夫は単身赴任のため不在。なるべく夜時間は子どもと遊ぶ時間に充てたいので、宿題を夜にささっと。小学校進学がみえてきた今年から家庭で少しずつ取り組み始めた教材を使っての勉強は、朝やっています。

この教材の前に「こくご教科書」でお腹から大きな声を出すようにしています。我が家では「こくご教科書」は学習教材ではなく「こころの栄養剤」。おかげさまで毎朝良いスタートをきれていると思います。

Q.ご自身で感じている「こくご教科書」の魅力を教えてください。

「こくご教科書」を読むようになってから、日本語がもつ意味や表現を自分なりに考えるようになってくれたり、人の気持ちを想像したりと心が豊かになってくれたことがとても嬉しいです。

当初は読解力を身につけてほしいという希望だけではじめました。確かに読解力は大切ですが、本質的に大切なものは、読解力のその先にある「心の豊かさ」を育むことだと思っています。

小手先のお勉強ができるようになることではなく、いまの時代だからこそより大切な心の教育に本書は結び付いているのではないでしょうか。

息子はシャイな性格で、以前はお話をしていると語尾が聞こえなくなってしまうことも多々ありました。音読を続けているお陰で話すことに自信を持つようになったのか、最近はハキハキとお話してくれる機会が増えたように思います。

実はつい最近、息子が自閉症スペクトラム(高機能自閉症)ということが分かりました。知的な遅れがなく、私の観察力が低かったこともあって気づくのが遅く……。幼児期の療育には通えませんでした。ただ、音読は自閉症児にとても効果的だそう! 本書との出会いはとても運命的に感じております。

『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』を音読するお子様(当時5歳)