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8月後半に見て良かった映画

映画が好きなので、今月の後半に見て良かった映画をお知らせします。


■トマホーク ガンマンVS食人族(2015/アメリカ)

【あらすじ】
1890年代のアメリカ、野盗がとある町に逃げ込んでくる。町の女医サマンサはハント保安官の要請で野盗の治療にあたるが、その夜忽然と姿を消し、厩舎に町民の惨殺死体があった。やべすぎる食人族が野盗を追って町へ来て、サマンサ達を誘拐したのである!ハント保安官、サマンサの夫オドワイヤーなど4人の精鋭が救助に向かうが、その道程は険しいものだった…な話

めちゃめちゃなB級タイトルながら、かなり面白いです。流れとしては「食人族に攫われた妻を夫含む4人の男が救助に行く」という構成。2時間10分の長尺の中、1時間ぐらいずっと追跡シーンが続く!なげっ!でもその過酷な道程が凄まじく、まさに生きるか死ぬかの選択を常に迫られるスリリングな旅でした(でもたまに「風呂で本を読むと濡れるんだけどどうしたらいい?」みたいな間抜けな会話も入る)。しかも最愛の妻を誘拐されて激情にかられるオドワイヤーが最初から足を骨折してて全く機動力が無く常に満身創痍というポンコツ具合も「こんなんで勝てるんか?」と不安にさせてくれる…。感情に対して体が全くついて来ずに空回りする姿が涙を誘う!ガンバレ!ただここはマジで長かったので30分は削ってもよかったかな。

で、たっぷりと追跡劇を見せておきながら、ふと気付いたら何のBGMも効果音も無く目の前に突然、本当に突然食人族が出てきてあっという間に地獄の底に叩き込まれた挙句に超残酷サバイバルホラーに様変わりするという強気の構成も凄かったです。今まで見た中でトップクラスにグロテスクな殺し方をするのに、食人族にとってはそれが日常とばかりに遠目の画でかなり淡々と見せてくるのが余りにもヤバすぎて「とんでもない奴らの相手をしている…」という絶望感!ここから誰が死に誰が生き残るか予想がつかない面白さがありますので、騙されたと思って是非


■パッドマン 5億人の女性を救った男(2018/インド)

【あらすじ】
インドの小さな村に住む勤勉な男ラクシュミは、愛する妻がアノ日の時にボロ布で処置しているのを見て「これ病気になるで!?」と心配する。市販のナプキンは高いので何とか試行錯誤して自作してみるがなかなか上手くいかない上に村じゅうで「狂人」と軽蔑されてしまう…。果たしてラクシュミは妻のため女性のために格安ナプキンを作ることはできるのか?な話

公開時気になってはいたもののスルーしてたやつ。お、お、おもろすぎる!!!もっと早く見れば良かった!こんなに最高の男います!?!?起承転結すべてのシーンでずっと涙を浮かべながら見てしまいましたね…

そもそもインドでは生理は最も恥ずべきことで、誰にも知られたくなく(特に男には)、5日間外で無駄に過ごし、不衛生な布で処置するのが常識という現代の日本ではなかなか考えられないほどに価値観が違うのが衝撃的。その姿を見て感染症になっちゃうよ!と誰よりも妻を心配して守ろうとするラクシュミがあまりにも健気でめちゃくちゃ泣ける!妻のため、初心を忘れることなく突き進むけど、村中の人に全く理解されず変態だ狂人だとボコボコに非難されてしまうのも泣ける!!でもまずはその価値観から変えていこう…とはならずにとにかく格安ナプキンを作ることに情熱を注ぐ!真っ直ぐすぎる!!初志貫徹、女性の味方!スーパーヒーローはこうあるべき!!!

活動が受け入れてもらえないラクシュミの運命を大きく変える理解者のパリーもまた最高&最高のキャラクター!そもそもめちゃめちゃ美人!!パリーとの偶然の出会いのおかげで嘘みたいに事態が好転していくのも見てて気持ちが良かったですね。そして終盤、拙い英語で披露するユーモアを交えたプレゼンはマジで泣けすぎる…。ここまでボロッカスに叩かれた男がついに報われるその瞬間、実話だし展開が最初から分かってても「良かったねぇ…」と拍手を送りたくなりました。このアッパレ男!!も〜最高!


■マーラ(2018/イギリス)

【あらすじ】
心理学者のケイトは睡眠中に夫を殺した妻の精神鑑定にあたるが、「眠りの悪霊マーラが殺した!眠ると死ぬ!」と強く主張する。無能な刑事は信じずにその妻は精神病院にぶち込まれるが、ケイトは調査を進めるうちに眠ってる時にやってくる悪霊の存在が多くの人の間で信じられていることを知る。やがてその呪いはケイトにもやって来る…!眠るな!な話

「悪霊に目をつけられると、寝たら死ぬ」という直球なホラー。いわゆる金縛りモノでその辺のメカニズムは科学的に解明されてはいるものの、夢と現実の狭間ということで何かを見てもほとんど幻覚として片付けられてしまうという好条件、悪霊側からしてみたらこれほどまでに有利な物件は無いですね。眠気に耐えるけど本能が眠りに落としてしまうという悪霊とはまた別の「人間の本能」がトリガーになってしまうのも抗えない感じがして良いですよね。寝てる時以外ずっと「寝たい」と思ってるのでこいつにだけは来て欲しくない…20分ごとに爆裂音量の目覚まし時計で起きたくなんかない!

悪霊マーラは乱暴ではなく「金縛り」→「目に印がつく」→「現実でも見えるようになる」→「次に寝ると満を持して殺す」というステージを踏んでくれる律儀さもあって、ここから取り憑かれる法則性や原因をケイトが推理していくという構成もなかなかスリリング。ホラーにおなじみの全く無能な刑事もいい味出してます。全体としては小粒な印象でオチもまあ完全に読めるし、マーラが取り憑く原因もう〜んって感じではありますが、個人的には嫌いでは無かったです!


■ジュリアン(2017/フランス)

【あらすじ】
両親が離婚調停中の11歳のジュリアンは、共同親権の取り決めにより隔週で父親の実家と母親の家で過ごさなければならなくなった。母ミリアムは父アントワーヌを拒絶し、アントワーヌはジュリアンを使って居場所を突き止めようとする。少年は母を守るために嘘をつき続けるが、次第にアントワーヌのやべ〜本性がジワジワとせり上がり、かつてない恐怖の底に叩き落される…な話

フランスの嫌〜な話。めちゃめちゃ嫌な気分にさせてくれる!理不尽に人が殺されるとかではなく、子どもが両親の板挟みにあいながら、やべ〜父親の圧力に怯え、泣き、苦悩するという方面の嫌さ。これはこれで見てて相当つらい!!車の中でアントワーヌに脅されるジュリアンの顔、見ました…?あれ演技なんですか!?あんなに恐れ慄きながらも自分が母を守るために何もしてあげられないという悔し涙を流すあの表情、リアルじゃなかったら正真正銘の天才子役でしょ…。

ストーリー自体はかなりシンプルながら、共同親権という法に振り回されて大変つらい目にあうジュリアン目線を多く取り入れて静かに展開される構成は無駄が無く簡潔。でもこういう事はふつうに事実としてどこかで起こってるんだろうな〜というリアリティにも溢れており、スリリングに楽しめました。頑張れジュリアン!!!


■ライリー・ノース 復讐の女神(2018/アメリカ)

【あらすじ】
ライリー・ノースは夫と娘と幸せに暮らすどこにでもいる女だったが、麻薬組織に一泡吹かせてやろうと友人に持ちかけられた夫がそのまま関与を疑われてギャングにぶち殺されてしまう。そこにいた娘も巻き添えに…。法の抜け道で容疑者も罪を免れ、全てを失ったライリー…。しかし5年の歳月をかけてハイパー復讐お母さんに変貌!一人一人復讐したるからな!!!な話

映画を愛し、映画に愛されているので試写会にて。いつもありがとう…試写会久しぶり。「96時間」の監督が作った新作で、ブライアン・ミルズは最強パパだったけど、こちらは復讐ママ。アクション映画の基本を全て抑えた、か〜なり手堅い一作でした。復讐に燃える理由をしっかりと与え、絶望に突き落とし、そこから再起をかけ、満を持しての復讐!起承転結分かりやすい!復讐の鬼女となるための5年の歳月をほとんど描かないのも「早く本題に入った方が分かりやすいやろ」という監督の粋な計らいが垣間見えて良いです。主演のジェニファー・ガーナーさんは存じあげてなかったんですが、50歳を手前にして全てのアクションをスタント無しでやりきったということで、そこもアッパレでしたね。やはり強い女はいつだってカッコイイ!!

復讐鬼一辺倒に終わらず、子どもをぞんざいに扱うダメ親父を見かけたら殺すつもりで更生させたり、拠点としているスラム街周辺の犯罪率が異常に低いという母親的な面を忘れずにヒーロー的な一面も持っててキャラ造形も魅力的。あまりにも手堅すぎて多分シリーズ化はしないと思うけど、前知識一切無しで楽しめる良作かと思います。


来月も書きます。


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