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クマゼミさん

関西で楽しみにしていた事のひとつ、クマゼミの観察。

さぞかしデカくて煩くて豪快な奴なのだろうと想像していたのだが、実は繊細な性質のセミのようだ。網が無くても、もう大人なんだし簡単に捕まえられるだろうと小1時間ほど頑張ってみたが、捕まえられなかった。(暑すぎたのもあるが、、)

樹が生えている公園に行けば、何匹も大きな声で鳴いている。割と高い場所を好んで止まるようで、目を凝らさないと直ぐには姿を見つけられない。

関東の一般的なセミ(アブラゼミやミンミンゼミやツクツクボウシ)に比べて、大きく立派な体格(ミンミンゼミの2倍ぐらいはある)と透明な羽、関東人の私にとっては「うわあ、クマゼミ、やっぱりデカくてかっこいいなあ! 」と嬉しい気持ちになる。

確かに一匹単位の鳴き声は大きいし、公園内を圧倒するような音量があるけれど、それほど不快には感じられない。なぜだろう?

東京で一番多いアブラゼミはもっと闇雲に鳴いている印象があるが、クマゼミの鳴き声には規則性があるようだ。

アブラゼミは民家の壁や電柱、所構わずどんな場所にでも止まるし、飛び方も予測不能で、たまに人間にも突っ込んでくる。電車の車内に飛び込んできたり、窓のサッシの隙間に挟まったりしてジージー鳴いていることもあって、危なっかしいセミだなあと哀れに思うことが多かった。昨今、セミを怖がる人が多いのも、アブラゼミの性質によるところが大きい気がする。ツクツクボウシやミンミンゼミやヒグラシなどの生態ならば見た目の姿も美しいし、鳴き声も趣があるので、セミという種族を嫌いになる人も少なかったのではないか。そう考えると、ますますアブラゼミが哀れだ。しかし個体数の上ではアブラゼミが今のところ勝者(関東では)であるのだから、彼らの、あのわけのわからない無鉄砲なテンションの行動や、都会の汚れにも負けない強さ逞しさは讃えるべきなのだろう。

あれほど東京で勢力を誇っていたアブラゼミは、大阪ではどこへ行ってしまったのだろうか。私の身の回りにたまたまいないだけなのだろうか。クマゼミとの争いに負けたのだろうか。晩夏になれば出てくるのだろうか。

クマゼミは基本的に樹の枝や幹に止まりたがるようで、樹が無い場所、街中では姿を殆ど見かけないし、鳴き声も聞こえない。体は大きいけれど、虫の領分をわきまえた控え目さを感じる。午後過ぎにはもうあまり鳴かなくなる。幹の日陰で大人しく休んでいるのだろうか。律儀に一日の生活リズムを守っていて愛くるしい。

これからもっと生態を観察してクマゼミと仲良くなりたい。

東京ではアブラゼミを全く好きになれなかったが、クマゼミの第一印象はすこぶる良い。まだクマゼミ捕まえられてないので、手に持った感触はどんな感じなのだろう。わくわく。


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