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コブシの花

先週末、全国に先駆けて
東京の桜の開花が発表された。
どんな具合だろうと、
さっそくその日の夕方、
かみさんとふたりで、焼きたてのお菓子と熱いお茶を持って、
近くの神田川に見に行ったが、まだほとんど咲いていなかった。
さすがに気が早すぎた。

春の花というと桜といわれるけど、
自分にとって最も春を感じるのは
コブシの花である。
コブシはモクレン科の落葉広葉樹で、
モクレンよりも小ぶりの
白い花をいっぱいに咲かせる。

コブシの花を初めて知ったのは、
たしか小学校の入学式のときだったと思う。
親に連れられ、近所の子と一緒に学校に向かう途中、
団地の土手の一角に
真っ白な花をたくさんつけている樹木を見つけた。
じっと見ていると母が、「コブシ」という花だと教えてくれた。

そんなことがあって、
街中でコブシが花をつけているのを見ると、
春が来たなと感じるようになった。

あまり昔のことは覚えていないのだけど、
なぜかこのとき見たコブシの花の優しい白色と
それを見ているときの、静かな気持ちは
はっきりと思いだせる。

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