2024.11.12 北海道議会 決算特別委員会(第2分科会:経済部所管事項)質問
皆さん、こんにちは。
北海道議会議員の千葉真裕です。
令和6年11月12日、決算特別委員会(第2分科会)において、質問を行いました。
一 労働政策について
(一)多様な人材の就業促進について
1 雇用情勢について
はじめに、労働政策についてであります。
本分科会でも、各産業における人手不足、担い手の問題について、各部審査において様々な議論があったところであり、改めて言うまでもなく、本道では、人口減少・少子高齢化が全国より速いスピードで進んでおり、人手不足が深刻化している企業にとって労働力確保が重要な課題となっています。
まず、道内における最近の雇用情勢、特に女性や高齢者の状況について伺います。
【答弁:藤田 経済部労働政策局雇用労政課長兼働き方改革推進室長】
道内の雇用情勢についてでございますが、本年7月から9月の完全失業率につきましては2.6%となり、前年同期から0.2ポイント改善しております。
また、北海道労働局によりますと、道内の雇用情勢は持ち直しの動きに弱さがみられ、令和6年9月の有効求人倍率は、18か月連続で前年同月を下回る0.97倍となっておりますが、分野別に見ますと、介護では3倍、建設や警備では4倍を上回るなど、職種によっては厳しい人手不足の状況が続いております。
女性の就業率につきましては、令和5年は49.2%と、前年から1.2ポイント上回っているものの、全国を4.4ポイント下回っており、また、65歳以上の就業率は23.3%と、前年から0.7ポイント上回っているものの、全国を1.9ポイント下回っているなど、いずれも上昇傾向にありますが、全国より下回っている状況となっております。
2 女性や高齢者の就業促進について
人手不足企業の労働力確保には、女性や高齢者といった多様な人材の更なる労働参加が不可欠と考えますが、道が実施している潜在人材掘り起こし推進事業の令和5年度の実績について伺います。
【答弁:井澤 経済部労働政策局就業担当課長】
潜在人材掘り起こし推進事業の実績についてでございますが、令和5年度におきましては、帯広市と北見市の2地域で子育て中の母親向けイベントや高齢者向けスマホ教室におきまして参加者に聞き取り調査を行い、就業の意向を示した137名に支援を開始するとともに、軽作業や短時間勤務など就業しやすい業務の切り出しを企業に働きかけることによりまして、17社から25件の求人を創出し、結果、42名が新たに就業したところです。
なお、新規就業者の内訳としましては、女性が8名、高齢者が29名、障害者が5名となっております。
3 潜在人材掘り起こし推進事業の効果について
道は、潜在人材掘り起こし推進事業による事業効果をどのように認識し、評価しているのか伺います。
【答弁:鶴蒔 経済部労働政策局長】
事業効果についてでございますが、家族の世話や体調など、さまざまな制約がきっかけとなって就業も求職活動も行っていなかった女性や高齢者の方々などの就業意欲を喚起し、企業とのマッチングを図るこの取組みにおいては、企業の方々に多様な就業形態の労働者の受け入れへの理解を深めていただき、短時間業務やテレワークで対応が可能な業務の切り出しなど、業務の細分化を通じて多様な方々が就業しやすい求人につなげていくことが重要でございます。
このため、事業の実施に当たりましては、企業の方々との面談の場におきまして、潜在的な労働力の活用について、丁寧に説明を行い、働きかけてきたところでございまして、こうした取組みは、人材不足が深刻化している本道において、労働力人口の維持・向上に一定の効果があったものと考えております。
4 今後の取組みについて
道内の雇用情勢や多様な人材による労働参加に向けた取組みについて伺いましたが、今後も人口減少や少子高齢化が進む中で、生産年齢人口の大幅な減少は避けられない状況にあります。
本道全体の経済の活性化に向けては、就業促進の取組みを更に進め、労働力の確保を図ることが、ますます重要であると考えますが、今後、道としてどのように取り組んでいくのか伺います。
【答弁:水口 経済部長】
今後の取組みについてでございますが、人口減少や少子高齢化が進む中、労働力人口の維持・拡大のためには、労働市場に出ていない潜在人材が多い女性や高齢者など多様な方々の労働参加の促進に取り組み、事業活動を支える人材を確保することが重要でございます。
このため、道では、ジョブカフェなどでのきめ細かなカウンセリングやセミナーの実施、企業説明会や就業体験などマッチング機会の提供に取り組むことはもとより、さまざまな事情により就業や求職活動を行っていない女性、高齢者、障がい者などの就業意欲を喚起しますとともに、テレワークや短時間勤務といった業務を切り出し、ニーズに合った求人を創出しているところでございまして、今後とも、国や関係機関と連携し、多様な働き手の就業促進に向け、各般の施策を進めてまいります。
(二)人材の育成・確保について
1 道内における人材不足の状況について
次に、道の人材育成や確保に向けた取組みについて伺います。
まず、道内における人材不足の状況についてであります。
本道では、多くの業種や職種で人材不足が深刻化しており、地域の産業を支え、持続的な経済発展を担う、産業人材の確保が課題となっております。
各部審査でも触れられているところですが、改めて、道では、どのような分野や職種でどの程度人材が不足していると分析しているのか、道内における人材不足の状況を伺います。
【答弁:赤川 経済部労働政策局産業人材課長】
道内の人材不足の状況についてでございますが、労働力調査によりますと、看護師や保育士、建築・土木・測量技術者などの専門的・技術的職業では、道内の労働者数は、2023年平均で46万人となっております。本年9月の道内ハローワークの職種別求人・求職状況においては、求人数17,436人に対し求職者数11,270人で約6,000人の不足となっているところでございます。
同様に、製造加工作業員などの生産工程の職業で労働者数は24万人となっており、求人数6,719人に対し、求職者数2,929人で約4,000人の不足、大工などの建設・採掘の職業で労働者数12万人となっており、求人数5,033人に対し、求職者数1,017人で約4,000人の不足、輸送、機械運転の職業で労働者数10万人となっており、求人数5,450人に対し、求職者数2,768人で約3,000人の不足、ホームヘルパーや接客サービス員などサービスの職業で労働者数36万人となっており、求人数20,709人に対し、求職者数8,402人で約1万2,000人の不足となっているところでございます。
2 人材確保に向けた職業訓練について
産業の基盤を支える建設やものづくりに関わる職種においては、人材不足が顕著であるうえ、就業に当たって技術・技能などの一定の職業能力が求められますが、それらは一朝一夕に習得できるものではなく、専門的な職業訓練などを通じて習得する必要があります。
道では、技術・技能を必要とする人材の不足に対応するための職業訓練について、昨年度においてどのような取組みを行ってきたのか伺います。
【答弁:瀬賀 経済部労働政策局職業訓練担当課長】
職業訓練についてでありますが、道では、道立高等技術専門学院、いわゆるMONOテクにおいて、地域の産業界などの人材ニーズを踏まえ、機械・金属、木工・建築、電気などのものづくりを支える知識や技能の習得のため、職業訓練を実施しております。
また、離職者を対象に、専門学校などを活用し、経理やパソコン基礎など、求職者に必要な知識・技能等を習得していただくための、短期の職業訓練や介護福祉や保育など、国家資格を取得し、正社員就職を目指す長期の訓練を実施しておりますほか、民間の職業訓練機関などと連携し、在職者のスキルアップを図るため、建築関係などの認定職業訓練に取り組んでおります。
3 職業訓練の成果について
職業訓練を通じてどのような成果が見られたのか、また、先ほど伺った人手不足の現状と比べたとき、十分な人材を育成できていると考えているのか、職業訓練の成果に対する道の評価について伺います。
【答弁:瀬賀 職業訓練担当課長】
職業訓練の成果についてでありますが、近年、少子化の進行や大学進学率の上昇などの要因から、MONOテクの入校者数は減少傾向となっており、定員充足率が10%の訓練科もあり、直近2年の充足率は5割を下回るなど厳しい状況でございます。
こうした状況ではありますが、令和5年度は、MONOテクでは33科目に対し、225名が修了し、205名が就職。また、委託訓練では、188の訓練コースに対し、1,700名が修了し、1,269名が就職しております。
道内において、職種によっては数千人単位の人手不足の状況にある中、職業訓練を通じた就業者数は、必ずしも多いとは言えないものの、技能や資格を身に付けた修了生や離職者の就業につながっていることについては、一定の成果があったものと認識しております。
【指摘:千葉 真裕】
もちろん年次変動はあるかとは思いますが、定員充足率が大変低い状況が続いている要因を分析する必要性について、指摘いたします。
4 情報通信系人材の不足への対応について
(1)従来の取組みについて
次世代半導体の開発生産を目指すラピダス社や大規模なデータセンターの立地が決定し、道内では、技術系人材に対する求人が急増していると耳にするところです。
こうした産業のすそ野は広く、最先端の半導体関連技術者ばかりでなく、メンテナンス等も含め幅広い電気系および情報通信系人材のニーズが今後も高まっていくと考えます。
こうしたニーズに対応するため、道は、高等技術専門学院などでこれまでどのような対応をとってきたのか伺います。
【答弁:瀬賀 経済部労働政策局職業訓練担当課長】
情報通信系人材ニーズへの対応についてでありますが、道では、MONOテクにおいて、電気工事士の資格取得等を目指す電力系や、専門的なプログラミングや電気回路等を学ぶ電気・電子系の訓練科目を設け、これまで、技術の変化や業界のニーズに対応し、適宜、訓練内容を見直しながら、関連知識や技能を有する人材育成に取り組んでおり、令和5年度は、電力系で28名、電気・電子系で14名が地域の関連企業に就職しましたほか、委託訓練では、電気、情報システムのほか、情報セキュリティやプログラミングなどに係る訓練コースを124人が修了し、87名が就職しております。
(2)今後の対応について
道が策定した半導体デジタル関連産業振興ビジョンでは、人材の育成が重要な要素となっています。このビジョンの実現を図るうえでも、すそ野の広い人材育成に注力する必要があると考えますが、見解を伺います。
【答弁:森 経済部労働政策局産業人材担当局長】
人材育成についてでありますが、「北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン」では、目指すべき姿の実現に向けた方針の一つとして半導体人材の安定供給が掲げられておりますが、工場などの施設の建設やその安定的な操業に関わる、電気や情報通信技術などの知識・技能を有する人材の確保も今後更に重要になると認識しております。
道では、これまで北海道職業能力開発計画に基づき、産業を支える人材の育成に取り組んでまいりましたが、引き続き、半導体産業を含め、地域や業界のニーズを踏まえ、必要に応じ、科目変更やカリキュラムの見直しを行うなどいたしまして、MONOテクや民間訓練機関を効果的に活用し、機動的な訓練の実施などを通じまして、必要な人材の育成・確保に取り組んでまいります。
【指摘:千葉 真裕】
ただいま「地域や業界のニーズを踏まえ」との答弁がありました。
この点はもちろん重要なことでありますが、先ほどもあったとおり、MONOテクの定員充足率が低迷している現状からすれば、そこで学ぶ、或いは、学ぼうとする若者の意見を丁寧に聞き取り、反映していくこともまた重要であると指摘いたします。
5 道外からの人材誘致について
人手不足への対応については、道内での人手確保はもとより、道外からの人材の誘致にも力を入れていると伺っていますが、昨年度までの取組状況や実績について伺います。
【答弁:赤川 経済部労働政策局産業人材課長】
道外からの人材誘致についてでありますが、道では、これまで、道外の31大学と連携協定を締結し、道外大学が主催する就職相談会に参加しておりますほか、道内企業と道外大学との交流会を開催し、道内の企業や生活環境などの情報発信に努めており、就職相談会の参加者数は昨年度までの過去5年間の累計で454人、交流会の参加企業数は延べ252社となっているところでございます。
また、北海道労働局との共催によるU・Iターンフェアの開催や国や市町村と連携して道外からの就労を伴う移住者に移住支援金の支給を行っておりまして、U・Iターンフェアは昨年度までの過去5年間で参加企業数が延べ422社、参加者数が延べ604人、移住支援金は累計322人へ支給しているところであり、今年度も10月時点で162人から申請を受け付けているところでございます。
6 人材確保について
道内の最近の有効求人倍率は、全体としては概ね1倍前後で推移しているものの、先ほどの答弁にもあったとおり、地域や職種によっては、依然として厳しい人手不足状況が続いています。
特に水産加工業などが集積する地方や建設関連などの業種で厳しい状況が継続しているとの切実な声を聞くところですが、道としては、こうした地域や業種における人材確保に向け、今後、どのように対応していくのか伺います。
【答弁:水口 経済部長】
人材確保に向けた対応についてでございますが、道内では、さまざまな職種で人手不足が課題となっていることに加え、産業構造の変化への対応も必要となっており、地域の事業者の方々からは、慢性的に人手不足である、求人を出しても応募がない、人手が足りないので受注調整しているといった声もあるなど、特に地方において人材不足が顕著となっておりまして、MONOテクや委託訓練などを通じた人材育成や道外からの人材誘致について地域や業界のニーズに沿って対応していくことが重要と認識をいたしております。
このため、道では、MONOテクでの職業訓練の実施やU・Iターンによる人材の誘致に加え、建設や運輸、医療・介護など、業種ごとにそれぞれの業界団体と連携して職業理解・就業体験などに取り組んでおりますほか、振興局におきましても、各地域の状況を踏まえた説明会や見学会を行っているところでございます。今後とも、こうした取組みを、国や関係機関と連携を密に進めつつ、人手不足となっている産業の実情を踏まえ、不断に見直しを行いながら、地域や産業を支える人材の育成・確保に取り組んでまいります。
二 ゼロカーボン北海道関連施策について
次に、ゼロカーボン北海道関連施策についてであります。
道では、2020年3月、国に先駆けて、2050年までに道内の温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボン北海道」の実現を打ち出し、中期目標として、2030年度までに、基準年である2013年度比で48%削減と、国の中期目標である46%削減を超える目標を掲げていると承知しています。
「ゼロカーボン北海道」の実現に向けては、道民一人ひとりの行動変容が求められる部分もあり、道民や事業者の皆さんの深いご理解とご協力なくして達成することはできません。
そこで、以下、ゼロカーボン北海道関連施策について伺います。
(一)最新の達成状況について
2021年度のデータでは、温室効果ガス排出量から吸収量を差し引いた実質排出量の推計値は5,209万トンと、基準年である2013年度の7,369万トンと比べて29.3%の減少と承知していますが、最新の達成状況について伺います。
【答弁:山内 経済部ゼロカーボン推進局地球温暖化対策担当課長】
道内の温室効果ガス排出量の状況についてでありますが、最新の2022年度の実質排出量の推計値は、4,812万トンであり、基準年の2013年度と比べ、34.7%減となっており、ゼロカーボン北海道推進計画において2030年までに48%削減するとした目標に向け、着実に減少しています。
なお、国では、エネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の改訂素案を年内に示すとしているところから、道としては、その状況を注視する必要があると考えております。
(二)ゼロカーボン北海道普及推進事業費について
次に、具体的事業について伺います。
はじめに、ゼロカーボン北海道普及推進事業費についてであります。
1 WEB広告等について
まず、ゼロカーボン北海道に係るポータルサイトの構築やWEB広告による情報発信について、ポータルサイト来訪者数及び広告視聴者数の実績について、伺います。
【答弁:尾﨑 経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課長】
ポータルサイト来訪者数等の実績についてでございますが、ゼロカーボン北海道に関する様々な情報について、これまでホームページにおいて公開し、一体的に発信してきており、本年4月から9月末までの当該ページへのアクセス数は1万件余りとなっているところでございます。
また、本年3月に実施いたしましたWEB広告につきましては、表示された回数が約130万回でございまして、そのうち、その広告をクリックし、リンク先のゼロカーボンに関する情報をご覧いただいた回数は、約3,700回となっているところでございます。
2 小中学生向け広報活動、高校生向け普及啓発について
次に、小中学生向け広報活動、高校生向け普及啓発について、小中学生に向けては新聞配布、高校生向けには脱炭素先行地域を見学するバスツアーの実施やゼロカーボンにかかる動画教材の作成を行ったと承知していますが、配布数やバスツアーの参加人数、また、実際に動画教材へのアクセス、学校の授業等での使用実績について、伺います。
【答弁:尾﨑 経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課長】
小中学生や高校生向けの普及啓発についてでございますが、ゼロカーボン北海道に関する記事を掲載いただいた月刊紙でございます環境教育情報紙「エコチル」が、約28万部発行されておりまして、全道の小学校や札幌市内の中学校等に配布されておりますほか、昨年度、脱炭素先行地域でもございます鹿追町のバイオガスプラントや石狩市の洋上風力発電所などの先進的な取組みを視察するバスツアーを開催し、20名の高校生にご参加いただいたところでございます。
また、ゼロカーボン北海道に係る教育用動画につきましては、本年3月、ホームページに公開して以降、9月末までのアクセス数は700件となっており、探究学習等での一定数の利用がなされているものと考えているところでございます。
3 情報発信・普及啓発等の内容について
次に、ただ今伺った情報発信・普及啓発等においては、どのような内容を発信等しているのか、伺います。
【答弁:尾﨑 経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課長】
情報発信・普及啓発等の内容についてでございますが、ゼロカーボン北海道のホームページにおきましては、若年世代に向けまして、節電など身近な取組みを通じた脱炭素への貢献を促す教材動画を公開しているほか事業者向けには、脱炭素の具体的な取組事例や、地球温暖化に関する専門家等の派遣制度の紹介などを行っているところでございます。
また、小中学生向けの環境教育情報誌には、夏休み中の省エネの取組みの紹介や、普及啓発のためのイラストの募集を行うなど、様々な情報発信・普及啓発を通じ、家庭や職場でできる省エネ行動を呼びかけ、ライフスタイルやビジネススタイルの脱炭素化が主体的に進められるよう、取り組んでいるところでございます。
4 今後の情報発信・普及啓発等の内容のあり方について
私も、多くの皆さんから、「ゼロカーボン北海道」について、「地球温暖化防止のためということは頭では理解するが、何か腹落ちしないところがある」との声をお聞きします。
私自身、本年8月、アメリカへ視察にまいりましたが、建物・飛行機などいたるところでエアコンはフル稼働で、真夏だというのに、体の芯まで冷やされました。中には吹き出し口を外に向けて、外まで冷やそうとしている場所までありました。
こうした現状をみるにつけ、「ただ北海道や日本だけが頑張っても仕方がないのではないか」という無力感を感じる部分もあるというのが正直なところであり、ただ今答弁があった内容だけでは、道民の皆さん方が「腹落ち」しないのではないかとの危惧を抱くところです。
例えば、世界の潮流として、「脱炭素」、「カーボンニュートラル」に取り組むところへは積極的な予算配分・投資がなされる一方で、取り組まないところは予算の削減や投資の打ち切りがなされるという傾向が今後ますます強まっていく、といった実利的な側面も、情報発信等の内容に加えていく必要があると考えます。
こうした観点を含め、今後の情報発信・普及啓発等の内容のあり方について、道の所見を伺います。
【答弁:田中 経済部ゼロカーボン推進監】
今後の情報発信・普及啓発等についてでありますが、道におきましては、脱炭素に向けた意識を高め、行動変容が促がされるよう、これまで道民の皆様や市町村への情報発信・普及啓発をはじめ、事業者の脱炭素に向けた取組みや人材育成を支援するため、セミナーの実施やサポートデスクの運営などを行ってきたところでございます。
ゼロカーボン北海道の実現に向けましては、道民の皆様、事業者の方々と一体となって、脱炭素効果の高い取組みを加速していくことが重要でございます。
道といたしましては、ゼロカーボン北海道推進本部などを通じ、全庁一丸となって率先して取組みを進めているところであり、脱炭素を一層進めるため、道民の皆様、事業者の方々がより理解を深め、自ら取り組んでいただけるよう情報発信するとともに、再エネの地産地消や脱炭素型ライフスタイルへの転換を促進し、道民の皆様のくらしの向上につなげ、環境と経済・社会が好循環するゼロカーボン北海道の実現に向けて、取り組みを進めてまいります。
【指摘:千葉 真裕】
先ほどの答弁にあったとおり、2030年度の目標である2013年度比48%削減に向けては順調に推移しているようですが、かかる目標はあくまで中間目標であり、最終目標は2050年の温室効果ガス排出量実質ゼロであります。
新しい技術革新にも期待するところですが、道民・事業者の皆さんに、より一層の行動変容を促すためには、「なぜゼロカーボン北海道に取組み、その達成を目指すのか」という目的や意義についての腹落ちが必要不可欠であります。
道庁はもとより、関係者が一丸となって、ゼロカーボン北海道の目的・意義についてさらに煮詰めること、及び、道民・事業者の皆さんの腹落ちにつながる情報発信・普及啓発手法の検討、実践を不断に行っていただくよう、強く指摘いたします。
5 「ゼロカーボン北海道」に係る道民意識調査結果について
ただ今の質問にも関連するところですが、次に「ゼロカーボン北海道」に係る道民意識調査結果の概要について伺うとともに、同調査の結果について、道はどのように受け止め、今後どのように施策を展開する考えなのか、伺います。
【答弁:尾﨑 経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課長】
道民意識調査の結果などについてでございますが、道民の皆様の認知度や取組内容を把握し、ゼロカーボン北海道の取組みを進めるため、各種施策に反映することを目的として、令和4年度から調査を実施しているところでございます。
令和5年度の調査におきましては、ゼロカーボンなどの言葉の意味を承知しているとした回答が57.8%となり、前年調査の52.6%から向上しているものの、道の温室効果ガス削減目標値については、約6割の方に認知されていない状況となってございます。
「ゼロカーボン北海道」の実現に向けましては、道民の皆様の一層の理解促進を図る必要があると受け止めており、認知度が低い傾向にある小中学生や高校生など若年層に対する普及啓発を強化するほか、WEBを活用した情報発信を充実するなど、より効果的な取組みを推進してまいる考えでございます。
(三)脱炭素社会に向けた行動変容促進事業費について
次に、脱炭素社会に向けた行動変容促進事業費についてであります。
1 運輸部門における行動変容手法の検討・実証について
本事業では、行動科学の知見であるナッジを活用し、運輸部門における行動変容手法の検討・実証を行ったとのことですが、その具体的内容について伺います。
【答弁:尾﨑 経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課長】
ナッジを活用した実証事業についてでございますが、運輸部門の温室効果ガス排出量の削減に向けて、知内町におきまして、自家用車の移動に代えてデマンドバスの利用を促すため、ナッジを活用し、高齢者にデマンドバスの利用手順や自宅まで送迎してもらえることのメリットをわかりやすく伝えるチラシを作成し、一部の世帯に配布して、その効果を検証したところでございます。
チラシを配布しなかった地域の世帯におきましては、利用者数の減少が見られたところでございますが、チラシを受け取った地域の世帯では、バス利用に対する意識の変容が促され、利用者数が1.35倍に増加するなど、一定の効果があったことを確認したところでございます。
2 検討・実証結果の展開について
本事業で得られた検討・実証結果について、道庁内はもとより、市町村や関係機関・団体等への展開の状況について伺います。
【答弁:尾﨑 経済部ゼロカーボン推進局ゼロカーボン戦略課長】
取組みの結果などについてでございますが、道においては、ゼロカーボン北海道の実現に向け、ナッジを活用し効果的に普及啓発に取り組むことができるよう、これまでの「脱炭素社会に向けた行動変容促進事業」の取組内容や実績の報告等に加え、活用事例集を作成するなど、庁内をはじめ、市町村や事業者等に広く周知を行ったところでございます。
また、市町村における具体的な取組事例として、知内町におきましては、これまでの町内での取組みを踏まえ、家庭での省エネ機器等の導入促進を図る補助制度の周知にあたり、ナッジを活用したチラシを配布するなどの取組みを行っているところでございます。
3 今後の取組みについて
私は、本事業が、ナッジという、個人の選択の自由を残しながら、法的規制や補助金といった従来の施策よりも極めて低廉なコストで施策目的を実現できる可能性がある行動科学の知見に基づく行動変容手法、及び、その効果検証にあたって、ランダム化比較試験の手法を活用したことを高く評価します。
こうした施策展開は、エビデンスに基づく政策立案・展開、EBPMの方向性に合致するものですし、事業の継続や横展開する場合の客観性を担保し、道民・納税者への説明責任を果たすことができるものであると考えます。
ナッジについては、昨年令和5年第3定例道議会予算特別委員会にて、わが会派同僚議員が総合政策部と議論し、普及啓発について前向きな答弁があったところでありますが、私は、経済部からも、こうした好事例を、庁内横断的組織体である「ゼロカーボン北海道推進本部」を活用して、積極的に共有し、こうした行動科学の知見を取り入れた施策の立案・実施を促すことが重要だと考えますが、道の所見を伺います。
【答弁:【答弁:田中 経済部ゼロカーボン推進監】
今後の取組みについてでございますが、道では、庁内向けのナッジ相談窓口を開設するなど、ナッジは、政策課題の解決に向けた効果的な手法として重要であると認識をしております。
このため、ゼロカーボン北海道の実現に向け、道民の皆様の具体的な行動変容を促すため、ナッジ手法の活用について周知を行ってきたところであり、道といたしましても、例えば、ナッジ手法を活用し、胆振総合振興局が管内14校の小学校と連携をして、脱炭素行動の実践で付与されるポイントを学校間で競い合うイベントを実施したほか、オホーツク総合振興局が大学と連携をして、学生主体でナッジを活用したフードロス削減の検討などに取り組んでいるところでございます。
道といたしましては、引き続き、「ゼロカーボン北海道推進本部」等、庁内をはじめ、様々な場面で先進的な事例を紹介するなど、ナッジを活用した脱炭素の取組みが広がり、道民の皆様や事業者の方々の行動変容に繋がるよう取り組んでまいります。(了)