新型コロナウイルス感染症が流行しているなかでの災害による避難について〜避難所へ行くことが避難ではありません〜

 今日(5/18)深夜から明朝にかけて強い雨の予報です。新型コロナウイルスが流行しているなか、避難するかどうか悩みますね。
 2020年5月15日、日本災害情報学会(JASDIS)が「避難に関する提言 新型コロナウイルス感染リスクのある今、あらためて災害時の『避難』を考えましょう」を発表しましたので、要約した上で情報共有いたします。

提言PDFリンク先
http://www.jasdis.gr.jp/_src/JASDIS_Proposal20200515-1.pdf

はじめに

 新型コロナウイルスの感染拡大が未だ収まらないなか、これから本格的な出水期を迎えます。昨年の台風 19 号(令和元年東日本台風)など、毎年のように災害が発生しています。新型コロナウイルスの感染リスクを避けることを念頭におきながら、あらためて災害時の避難のポイントを皆さんと確認したいと思います。

「避難」とは難を避ける行動のことです。避難所に行くことだけが避難ではありません。
 自宅が浸水する可能性がない場所、土砂災害の危険がない場所、マンションの上層階の場合には、在宅避難(その場に留まる)ということも重要です。まずはハザードマップ・防災マップ等で自分の家の安全性を確認して、自宅外に避難すべきかどうか検討することから始めましょう。その上で、自分の家が危険な場所にあるならば、より安全な場所に早めに避難することが重要です。
新型コロナウイルスの感染リスクにかかわらず、いざという時にどう行動すべきか、一人ひとりがあらかじめ考えておきましょう。

要点1:避難所以外の避難(分散避難)も選択肢

 災害時には、避難所に行くことだけが避難ではありません。在宅避難やホテル、親戚や知人宅への避難も選択肢です。自宅が頑丈な建物の高層階や危険な区域でないなど、安全が確保されている場合は自宅に留まりましょう。
 新型コロナウイルスの感染リスクのある状況では、ホテル、親戚や知人宅への避難は、避難所での3密 (密閉・密集・密接)を避けるためにも有効です。

要点2:あらかじめハザードマップ・防災マップ等で危険の有無や程度を確認

 ハザードマップ・防災マップ等を利用して、避難場所(自宅、知人宅、避難所など)の安全性をあらかじめ確認しておきましょう。なお、川に近い場所、低い場所、急峻な斜面の近くなどでは、たとえハザードマップ・防災マップ等に図示されていなくても危険な場合があるので注意しましょう。また、建物の高さや構造によっても安全性は大きく変わります。

要点3:大雨「警戒レベル」の意味を正しく理解

 風水害の危険が迫ってきた場合、その危険度に応じた「警戒レベル」が発表されます。避難に時間を要する人とその支援者や,特に災害の危険性が高いところにいる人は「警戒レベル3:高齢者等避難」の段階で避難を開始し、「警戒レベル4:全員避難」の段階では危険な場所にいる人全員が速やかに避難をすることを意味しています。「全員避難」とは、すべての人が避難所に行くことを示したものではありません。

まとめ

 新型コロナウイルス感染症が蔓延するなかでの災害避難は悩ましい問題です。ただ、災害はコロナだからといって遠慮はしてくれません。人命を最優先に避難所への避難は、命を守る最終手段として、躊躇なく選択する必要があります。しかし、ご家族に基礎疾患がある方など新型コロナウイルスへの感染が命に関わる場合もあるので、事前にハザードマップ等で安全な避難場所(避難所だけでなく親戚やホテル等)を調べておくことも重要です。
 車をお持ちの方は、安全な避難所まで車で移動して、駐車する車中で避難することも有効と思われます。
 新型コロナウイルスへの対策だけではなく、台風などへの事前の備えも忘れないようにしましょう。
 ハイ!それでは、まず、ハザードマップでご自宅をご確認下さい!

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