見出し画像

2021年1月 お薦め本

読んだ本の批評や感想を書きしたためるほど、文章力に自信があるわけじゃない。でも、読んだ本は覚えておきたい(し、記録したい)。

そこで、みんなにお薦めする形で紹介をしてみようかなと思って。ネタバレはしない(という理由で、本を解説しなくても済むしね)という前提で、毎月読んだ本を振り返り、お薦め度合いを五段階で表してみることにする。

早速、2021年1月を振り返ってみる。

1. 居るのはつらいよ(お薦め度:☆☆☆☆☆)

デイケアという領域において、東畑さんのリアルな体験が綴られている。京都大学を卒業しても、「一流企業」とは程遠い、沖縄のデイケア施設にしか就職できないデイケア業界の難しさと、そこに展開される日常の無常感を感じさせる一冊。


2. 驚きの介護民俗学(お薦め度:☆☆☆☆)

これも六車さんのリアルな体験に基づく介護の話。「高齢者の介護」というと、世話をし/世話をされのマイナスの感情にいきがちだ。ましてや、認知症となるとその世話は簡単にはいかないと普通は考える。でも民俗学を専門としている六車さんは、お年寄りの話を「文化人類学」の視点で読み解いた。お年寄りは様々な昔話をしてくれる。認知症であっても、口ずさむ言葉、不安になる環境、その人なりのロジックがある。そんなことを感じさせてくれる斬新な一冊だった。


3. 中動態の世界(お薦め度:☆☆☆☆)

話題の國分さんの本をお薦めされて読んでみた。能動態と受動態、今はその二つで物事の関係性を読み解くけれど、実はその間に「中動態」というものがあり、それこそが自由の志向ではないかという國分さんの意見が述べられている。ビジネスに関わる人は、結論からいう人が多い。でも哲学者は違う。一つの主張を語るために、これだけの議論を重ねるのか。そのことに胸を打たれた。しかし、「シリーズ ケアをひらく」には良書が多いね。


4. 猫を棄てる(お薦め度:☆☆)

村上春樹の本は、ついつい買ってしまう。小説家というよりは、秀逸の翻訳者ではないか。そう思ってはいるものの、独特の世界観についやられてしまって。ちなみにこれは父に関するエッセイだ。積読していたのだが、「面白いですよ」という村上春樹ファンの意見に従い、読んでみた。


5. 医療の外れで(お薦め度:☆☆)

このところ、マッシングアップなどでも看護に関わる現実を知る機会が多かったので、つい手が伸びてしまった一冊。木村さん自身もマイノリティということもあって、読みやすかった。


6. 夜景座生まれ(お薦め度:☆☆)

私は、ジャケ買いをすることが多い。本でも、服でも、音楽でも、映画でも、作家やデザイナーなど作った人のことは調べず、醸し出している雰囲気で判断するのが好きだ。最果タヒのこの本は、まさにジャケ買いしたくなるイケてる表紙だった。

7. 十代に共感する奴はみんな嘘つき(お薦め度:☆☆☆☆)

同じく最果タヒ。十代に共感することあるんだけど。なんで嘘つきなんだよー!そんな気持ちで読み始めたけれど、詩に比べて小説の方が読みやすく、一晩で読んでしまった。


8. デトロイト美術館の奇跡(お薦め度:☆☆☆)

原田マハも、村上春樹と同じく、つい手にしてしまう作家の一人。『暗幕のゲルニカ』を読んだ時、フィクションと知りながら、まるでピカソが本当に語っていたかのように思え、涙がとまらなかったのを覚えている。彼女のアートと人間模様を結びつける様が好きだ。


9. 私の名前はルーシー・バートン(お薦め度:☆☆☆☆)

こちらもジャケ買い。モダンアートでこういう作風をみたことがあるような気がして(多分、エドワード・ホッパー)、作風は全く気にせず買ってみた。でも意外なまでに、アメリカ作家としては珍しく(?)、日常の淡々とした描写の中にふっと浮かぶ切なさや納得感があり、いい作家を発見した気分。


10. 本の読み方(お薦め度:☆☆☆☆☆)

一年間、本を読む。もし読み方が間違っていたら、とんでもないことになるな、そんな不安があった。そんな折、ふと立ち寄った蔦屋書店で手にしたのがこの本だ。大好きな平野さんの本ということもあり、二日間で読んでしまった。「読書は、読み終わった時にこそ本当に始まる」、辞書癖をつけること、作者の意図を読むこと、難しい評論には思い切って補助線を引くこと。そんなことを胸に留めながら、一年間、いろいろな作家に出会ってみよう。

11.  旅はときどき奇妙な匂いがする(お薦め度:☆☆☆)

12. たかが殺人じゃないか(お薦め度:☆☆☆)

13. サリン事件死刑囚 中川智正との対話(お薦め度:☆☆☆)

14. BASHAR (お薦め度:☆)

来月は「ケアをひらく」シリーズを深掘りするつもりだ。

(写真:1月1日、ほったらかし温泉で撮った富士山)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?