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魔女伝「友だちは魔女」第十四章⑤過去と過去が繋がった⁉️

ヨキと音羽は、またもや、ばあばの故郷にある老人ホームに向かっていた。

その日のヨキは、いつも通り明るく生き生きしているから、この前のことは、夢だったのだろうかとさえ思えた。

田舎道を鼻歌を歌いながら楽しそうに運転するヨキの横顔を音羽は見ていた。

それに気づいたのか、
「もう、あんまり気にしないでね、、大丈夫だから。
それより、今日は楽しみね。
あの古い施設を見学させてもらえるの。
ばあばのルーツに触れられるなんて、ほんとにすごいわ。」
ヨキは、明るい声でそんな風に言った。

2人は施設に到着し、受付に向かった。
前回の担当者が、ニコニコしながら挨拶に出てきてくれた。
「こんにちは。社長がもうすぐ到着しますので、良かったら、あちらの庭のテラスか談話室でお待ちいただけますか?」

「じゃあ、テラスにします。気持ち良いお天気ですもの。」

ヨキは、即答していた。

綺麗に手入れされた公園のように広い庭に出るガラスの扉のところに、ウッドデッキを施したテラスがあった。
シンプルな椅子とテーブルが並んでいる。

利用者の中でも比較的健康そうな老人に介護士が付き添って、日向ぼっこをしながらお茶を飲んでいる姿も見受けられた。

音羽とヨキは、椅子に座って庭を眺めていると、先ほどの女性が、ハーブティーを運んでくれた。
心地よい香りの温かいお茶を一口飲むと、とてもほっこりとした。
音羽は、眠たくなって、ぼーっと庭を見ていると、何だか、異空間にいるような心地になっていた。

2人は静かに、ただ座って目に入ってくる景色を楽しんでいた。

「こんにちは!お待たせしました。」
爽やかな男性の声が背後から響いて、少し驚いて2人は振り向いた。

ヨキは、目を丸くした。
「吉岡さん!!!、、、、どうして、、?」

ヨキと同年代の男性が、ヨキの顔を見て唖然としている。
「ヨキさん、、どおしてこんなとこに座ってるんですか、、、?」

「吉岡さん、、こそ、、それはこっちのセリフだわ!
なぜあなたがここにいるの?」

吉岡は、長身で日焼けしていて、スッキリとしたとても感じの良い男性だと音羽は思いながら、2人の様子を見ていた。

「わたしは、この施設のオーナーでして、今日は、将来的にここの利用者さんになられる方のご家族と面談のアポが、、、、
って、もしかして、それは、ヨキさんなんですか??!!」

「あなたが、ここの社長??
なんか可笑しい、、、ふふふふふ」

「何が可笑しいんですか?
まあ、いいでしょう。
では、本日は、入所についての具体的なご案内と、あの修道院古美術館の見学ですね。
どちらを先にさせていただきましょうか?お客様」
と言いながら、吉岡は王女に仕える騎士のように敬礼して見せた。

センスのいい悪ふざけ調なご挨拶が、さらに吉岡の好感度を上げていて、音羽も微笑ましく見ていた。

「ではまず美術館にご案内、よろしくお願いしまーす!」と、ヨキは、吉岡の手を取って立ち上がった。

古いと言っても趣のある赤い屋根の美術館の扉を開けると、高い吹き抜けの天井で、柔らかな太陽の光が、天窓から差し込んで、自然光で照らされた館内は、まるでタイムスリップしたように感じるような空間だった。

その部屋には、古い大きな壺が、壁面沿いに並べられていた。

「ここは、実は、ほぼ昔のままなんです。
もちろん崩壊しそうな壁などは修復してますし、ガラスのはまってる枠などは錆びてしまったので、新しいものに変えてますが、置いてあるものや床などは、そのままです。

よく見ると、床のモザイクタイルが、床一面の大きな模様になっている。

円の中に五芒星、つまりペンタグラムが描かれているように見える。

「あのー、この床の模様って、、、、
ここって、修道院だったって、職員の方もあなたもおっしゃったけど、
五芒星、ペンタグラムですよね、この床の模様、、?
魔女のシンボルが、なぜ修道院に、、、?」
ヨキは、こんなことを思わず口走った。

吉岡は、少し狼狽えながら言った。
「ヨキさん、よくご存知なんですね、、、
そうです。ペンタグラムです。
実は、ここは元修道院ではありません。
おっしゃる通り、魔女に関係ある場所なんです。
でも、そんな怪しい話は、大っぴらに出来ないから、修道院だったということにしてるんですけどね、、、

でも、どうしてあなたが、、そんなことを、、?」

「どうしてって、それは、後から話す気になったら話すわ。
それより、ここのこと教えて欲しいの。」

「まいったな、、ヨキさんに言われると断れない、、
ここは、僕の祖母から、直接僕にここを守って欲しいと頼まれたんです。
その時に、祖母からここで実際行われていたことを聞きました。
祖母は、ウィッカンとしての学びを、ここで伝導していたのです。
ウィッカンは、宗教の一つですが、いわゆる魔女道なんです。
怪しい響きですが、普通に大切なことを、ウィッカンたちはここで学んでたらしいのです。
宇宙のこと、天体のこと、ハーブや身体のこと、言葉の響きによる誘導とか、まあ、もう少しぶっ飛んだこともありますが、、、」

「わたしは、ウィッカン魔女よ。だから、全て知ってる。
ボストンであなたに出会った頃、セーラムのウィッカンの魔女学校で全て学んだの。」

平然とした顔でそう言ったヨキの顔を、瞬き出来なくなった吉岡が見つめていた。












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