見出し画像

〈第32章〉 スイセンが好きです

今年はスイセンがきれいでした。3週間くらい咲いていました。

スイセンは球根植物。一度植えておけば、何もしなくても毎年きれいな花を咲かせてくれます。球根は毎年新しい球根を生み花の数も増えていきます。花が終わった後にその一部を掘り返し、別の場所に植え替えればまた新しい花が生まれます。

同じく球根を植えるクロッカスや、ムスカリも好きです。短い草丈ですが、広い面積に植えると風景を変えてくれます。でもスイセンと比べると、華やかさに欠ける部分は否めません。

そして、僕は黄色い花が好きです。ひまわりはもちろん、黄色いバラ、山吹などなど、やさしい黄色は心を柔らかにしてくれます。中でもスイセンの黄色は、まだ肌寒い春の空にぴったりで、気温以上に気持ちを暖かくしてくれるようです。

スイセンといえば、ナルシス(ナルキッソス)のお話が有名です。水を飲もうとしたナルシスが、水面に映った自分の姿に恋をする。鏡を見る度にため息が出る僕には、永遠に理解不能な気持ちです。

山に咲くスイセンは群生していることが多いので、水辺を覗き込むナルシスのイメージではありません。雪解け後の大地に根を張り、もっと元気そうで、力強いです。熱い生命力すら感じさせてくれます。

さて一方、社会の関係の中でのマウンティングに励んでおられる方々がおられます。彼らは一種、価値観のナルシスなのかもしれません。自分の姿しか見えていない、幅広く物事を見ることができない、近視眼的な判断をしがちで、その方向に他者を従わせようとします。

「この考えこそが正しい」=「私は正義である」

そんな人と出会うと、やはりため息がでます。でも反論はしません。スイセンのように柔らかにうつむいて、静かに笑顔を浮かべます。衝突はエネルギーを消耗させます。静かに佇んでいればいいと思っています。

お向かいさんの畑の縁には、たくさんのスイセンが毎年花を咲かせます。時々、切り花にして頂いています。最初は、野に咲く花はみんなで大切にしたい、と思っていました。でも、「花を摘んだ方が株が元気になるから、いっぱい取ってって〜」と、奥さまは、花をビシバシ切り取って、僕の両手に渡してくれます。

お言葉に甘えて、遠慮なく家に持って帰りました。花器に飾ると、ごらんのとおりのゴージャズさ。山に住む者の贅沢です。野で育ったスイセンは、花持ちが抜群です。摘みたてだからとも思いますが、長い時間僕たちの心を癒してくれます。

やや下向きの花姿は、見ている人に「うんうん、そうそう」と寄り添い、言葉にならない花の想いを伝えてくれているようです。

ラッパズイセンの花言葉は「尊敬」、クチベニスイセンの花言葉は、「素敵な装い」。

スイセンの花、好きです。





この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

わっほ〜〜〜い!! やった〜!! ありがと〜!
3
今しかない時、いつでもいい時、勝負の時、何も考えない時. . . . .その時々、カフェで一杯の☕️を口にするような、文を綴れたらいいなぁ〜〜、って、 https://twitter.com/chevalviolet
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。