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Zivko Janevski - Selected Helpmates 02

前回は1作だけだったので今回は3題。Janevskiの洗練されたHelpmateの世界をお楽しみください。


3番

2nd Prize Shakhmatna Misl 1978 Version (FIDE ALBUM 1977-79 収録作)

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H#2 2solutions 

1.Rb3 Sb4+ 2.Rxe6+ Sxe6#
1.Rb4 Sb3+ 2.Bxf4+ Sxf4#

c筋のhalf-pinと、R-S, B-Sという2本の白のbatteryが目立つ初形。half-pinを構成する黒のR, Bがbatteryのrear piece(根元の駒のこと)に当たっているので、いかにもこれを取りたくなる形をしている。とはいえ、いきなり取ると失敗するので一旦Rを引いてself-blockしておく。そしてここから急展開。まず白がbatteryを開いてcheck、黒は白のrear pieceを取り返してcross-check(逆王手)、さらにそれをもう1つのbatteryを開きながら取り返してのcross-check。なんとこれでpin-mateになっている。盤の中央で行われる派手な応酬が面白い作品。

2つの解の間に、Rの横利きとBの斜めの利きを用いた対照性があり、このような構成はODTと呼ばれる。Helpで超頻出のテーマなので覚えておこう。ちなみに解説は、2解でb4とb3にいる駒が逆になる(正確な表現ではないが)ことを強調しているので、そこも重要なポイントなのだろう。


6番

5th Prize Mat 1979

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H#2 3solutions

1.Rxb3+ Sb4 2.Rg3 Sd5#
1.Rxg6+ Sd6 2.Rg3 Rf5#
1.Qe3+ Sd4 2.Qg3 Se6#

いきなりcheckをかけるのは、2手で黒の駒をg3に運んでself-blockするため。それによって白の手は全て限定される。Meredith(使用駒8〜12個のものを指す)で綺麗な仕上がりだ。


7番

The Problemist 1979

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H#2 2solutions

1.Bb4 Kb2 2.Bc2 Qd5#
1.Rb4 Kd2 2.Se2 Qg8#

黒の初手はGrimshaw。GrimshawとはRとBが同地点に着手することで、もう一方のラインを切る(interference)というものである。この手により、白はKを使って黒Kの逃げ道をguardすることが出来る。ここで気づいておきたいのは、Kb2あるいはKd2という手がself-pinになっているということだ。そこで、白Qを使ってメイトに持ち込むためにunpinが必須。4段目に黒のhalf-pinがあることも踏まえて、Bc2/Se2はすぐ見えるはずだ。これで黒の残った方のピースがpinされた上に白Qがunpinされ、pin-mateとなる。

Helpの技が幾つか用いられて明快に出来ているとはいえ、Bc2がline-openingの意味を含んでいる点は味悪と言えるだろう。


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