Try,everybody! Orthodox03
このシリーズは久々の更新です。
01と02で紹介した2作は、ともにkey moveに意外性のある作品でした。今日解説する2作は、keyに対する変化の方に重きが置かれています。
【Try, everybody! 04】
本作のkeyは1.Qf2です。これは2.Qxa7#のthreatを持っており、ごく普通の手と言えます。作者の狙いはここから。Qxa7を防ぐための黒の手は5種類で、いずれもd4に何かを動かしてQ筋を止める着手です。これらを順に考えていきます。
1.Qf2(2.Qxa7#)
1...Bd4/d4/Rd4/Sed4/Sfd4
2.Qxe2/Bc4/Rh6/Qa2/Ra3#
高坂:threatは2.Qxa7#。黒はd4を塞いでこれを阻止しようとするが、いずれの手も味方の駒の利きを妨害する(self-interference)ことで、新たな詰筋を誘発してしまう。
d4での受け方5種に対応する最終手5種。ちなみに、最後の白の手が1つでも被ったりすると大減点になります。
【Try, everybody! 15-2】
1.Rc2!(2.Qd7#)
1...Bxd5/Bxf3/Bd3/Bxc2/g5
2.Rc6/Rg2/Qxd3/Bxc2/Sh4#
高坂:1...Bxb1とされると困ってしまうので、これを防ぎつつ2.Qd7をthreatに持つ1.Rc2がkeyとなり、unpinされた黒Bによって4種類の変化が生まれます。1...Bxd5に対する2.Rc6のスイッチバックが洒落てますね。
これも変化を楽しむ作品です。上の作品と違うのは、keyを指したことによって新たな変化が生まれているという点。白の初手が、わざわざ黒に手の選択の余地を与えてるように見えて面白いですね。
この時期のOrthodoxは、Keyの妙手性というところから興味の対象を変えて、変化の総体というところに面白さを見出しているようです。これが後にpattern playの方向に繋がっていくことになります。詰将棋出身の立場から言うと、Orthodoxは段々と詰将棋から離れる方に歩いている感じがして、特に最近の作品は理解に苦しむことも多いのですが、まあゆっくりやっていきましょう。
次回解説分を貼っておきます。
【Try, everybody! 06】
一つ目は非常に古典的なもの。分かりやすい狙いがあります。
【Try, everybody! 29】
こちらは黒の手から考えてみると良いかもしれません。
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