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Zivko Janevski - Selected Helpmates 09

本作品集は良い作品が多いので厳し目に選考しているつもりなのですが、そうするとALBUM収録作ばかりになってしまいます。ホントは地味なところからも採りたいんですけどね。

58番

Fadil Abdurahmanovicと共作
1st Prize Kotelec 1988 (FIDE ALBUM 1986-88収録作)

H#2 3solutions

1.Sf6 b4+ 2.Kd6 dxc6#
1.Sd3 Rg4 2.Kd4 Qf2#
1.Sf7 Rc2+ 2.Kxd5 Rd6#

前回説明したAnticipatory self-pinが3解で表現されている上に、詰上りはどれもdouble pin-mateとなる。白の手の対照性は特に無いと思うが、破綻無く出来ていて良い感じ。


60番

2nd Prize Kotelec 1988 Version (FIDE ALBUM 1986-88収録作)

H#2 3solutions

1.Qxh2 Rxh4 2.f3 Re4#
1.Qxb5 Bg1 2.d4 Bxd4#
1.Qxh5 Rb3 2.Sd4 Re3#

3枚の線駒がKを睨む形で、黒Qがいかにもその3枚を取りたいという顔をしている。初形からcyclic Zilahiになることは類推できるはずだ。もちろん、強い白の駒をあえて取るという行為には何か理由があるわけで、本作は線駒を取ることでpinされていた駒が動かせるようになるというポピュラーな意味付けを使っている。黒の2手目がself-blockだったりline-openingだったりするのが気になる人もいるだろうか。最後はpin-mateで綺麗に纏めた。


64番

1st Prize Suomen Shakki 1988 (FIDE ALBUM 1986-88収録作)

H#2 b)Rf4→B

a)1.Bxd3 Rf6 2.Bf5+ Sd3#
b)1.Rxe5 Bd2 2.Re2+ Se5#

駒を取りながらbatteryを作り白Kにcheckをかける黒と、それに対してcross checkで仕留める白という構成。初手の駒取りの意味付けは邪魔駒消去である。派手な手順に加えて双方の直斜対照性(ODT)が完璧で、傑作と思う。

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