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『チェス・プロブレム入門』感想⑥

今回からはこのセクション。

【フェアリー(Fairy)】

執筆者はまたもや若島正さん。


F01:セルフと類似したルール。まず1.Rc1+?はBxc1とされ、ここで手待ちができないので逃れ。また1.Rg1?には1...Bh6!の返し技がある。よってRの最遠移動が登場。エッセンスだけ。

F02:この設定と駒数では新作にならないだろう。作者はこういうのを大量に発表しているイメージ。

F03:白Rを取ってしまう。過不足ない構成。

F04:『極光Ⅱ』でも見たような石取り遊びの問題。2解あることで、ただのパズルではないプロブレムらしさを感じることができる。

F05:うーん、手順自体に面白みがあまりない感じ。

F06:まさにキルケらしい攻防が楽しめる作品。2.Qxe2#の順はBでヒモを付けなくても詰んでいるが(セルフヒモと私は読んでいる)、そういう風には作れなかったのだろうか。そこだけ惜しい。
Jean-Pierre Boyerという人がCirceルールの生みの親とは知らなかった。フェアリー詰将棋のキルケで遊んでるという方も含め、この人には感謝しなければいけませんね(笑)。

F07:ヘルプの作法通りに構成されたフェアリー。この最終手は、バッテリーを開放するのと同じような感触がある。ODT。

F08:これは易しいけど面白い。PWCでは「どこから取るか」が重要になるので、Rが回り道をする仕掛け。

F09:少ない駒数でQとSの役割交換といったところかな。

F10:Madrasiのルール確認程度の例題。

F11:1解目の2.Qh2!は一時期的に黒Qを固める手。ここで2解目のように2.Qd1?としてしまうと2...Qxd1とは出来ない。それがQ成とR成の切り分け。それにしても、この駒数で初手が限定出来るんだなぁ。

F12:テーマが初形から明確なのが良い。白Sが働いていないのでkeyも第一感だろう。対する黒の受け方として1...Ba5とか1...Rb7は一瞬気になるが、これはIsardamルールの下ではcheckにすらならないので大丈夫。綺麗なAUWだ。



【この一局】

F03

Akira Uchida
PP 2002 6th Honorable Mention

SH#7 2solutions

1.g1=R 2.Rg3 3.Rxd3 4.Rf3 5.Rf2 6.Kf3 7.Ke3 Rd3#
1.g1=B 2.Be3 3.Bxd2 4.Be3 5.Kg3 6.Kh2 7.Bg1 Rh3#

ルールはSH#なので連続協力詰。黒が連続で指し、白が1手でメイトにする。
本作のテーマはZilahiで、コントラストも文句無し。

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