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最近の読書

 最近、意識的に積読のままだった本を読み進めている。
 弟が最近読書にハマっているという話を聞いて、触発された。いや、本来はもっと日頃から読んでおくべきだったのだけれど、小説を読むということは結構体力や精神力、集中力を使うことなので、仕事などで疲れているとどうも手が伸ばせなかったのである。
 しかし、弟が「あれ読んだ」「これ読んでみた」と報告してくれるので、対抗意識みたいな気持ちもあって、よし読もう! と奮起するに至ったのである。

 やっぱり読書は楽しい。
 昔、中高生の時くらいが一番読むスピードが速くて、ハリーポッターの上下巻を3時間くらいで読んだ。一日で読んでしまえば学校でのネタバレを防止できるという意味はあったのだけれど、別に読むのが速いからいいというわけではない。もちろんメリットはあるけれど、それを頭に残せるか、読んで何を得るかというのが主である。

 最近だと、一般的な文庫本の小説なら、空き時間を読書に当てて、二日間くらいだろうか。先日、試しにぶっ通しで読んだらどのくらいの時間で読み終えられるかと思って実験したら、だいたい5時間くらいだった。めちゃくちゃ集中していたので、全く席を立たなかった結果、残り一章というところで、喉が渇いたし、めちゃくちゃ腰が痛くなって最後は寝ながら読んだので、やっぱり休憩を挟んだり、軽く体を動かしたりしたほうがいい。なぜ私は健康に悪い読み方を実験してしまったのだろうか。
 私は本に集中し始めると目が本に吸い寄せられるような感覚になる。だから、電車の中や会社の休み時間に読書をして、移動したり片付けたりしないといけない時、困る。本を開いたまま鞄のほうに移動させ、目は意識的に引き剥がすようにしないと、なかなか読むのを止められないのである。

 そりゃ読書すると疲れるわ。

 それはそれとして。
 昨年からどハマりしているのが、野崎まどさんの本。(崎の字は、正確には右上の大→立)
 小説を書くのに詰まっている時に、『小説家の作り方』に出会った。
 新装版の表紙に描かれた女の人の絵とタイトルに惹かれて手に取って、裏表紙のあらすじを確認した。

「小説の書き方を教えていただけませんでしょうか。私は、この世で一番面白い小説のアイデアを閃いてしまったのです」

 という記述に興味を持ち、そのままレジに。会社の鞄に入れて、昼休みに読もうかなと思っていたのだが。
 読み進めるうち、久しぶりに読書のワクワクした気持ち、それから創作中のワクワクする気持ちを体感して、もうその日帰ってすぐに全部読んだのだった。
 私は昔から読書感想文が苦手なのと、ネタバレしたくないので、本当にざっくりと読後の感想を述べさせていただくと、

 面白い。美しい。映画化してほしい。世界中の人に読んでほしい。

という、本当にシンプルなもの。それ以来私は布教用にもう一冊買って、いつでも取り出せるようにお出かけ用の鞄に入れていた。今はちょうど友人に貸出し中だ。

 ああ、でも映画化はそれはそれで複雑かもしれない。読んだ時に浮かんだ情景を映像で実際に見ることで再体験したいと思うのだが、自分の中で形成したイメージと実際の映像が違った時、解釈違いにならないかという怖さもある。
 でも絶対面白いと思う。そんな板挟み。

 ストーリーもさることながら、文体や物語の運び方、キャラクターの造形がすごくドンピシャで好みという感じだったので、私はすぐ野崎まどさんのファンになったのだった。
 それから、同じ新装版シリーズをコツコツ買い集め、ちょっとずつ大事に大事に読んでいる。

 その中でも、『[映]アムリタ』は衝撃作だった。これは野崎まどさんのデビュー作らしいが、本当にデビュー作!? ど思ってしまうほど完成度が高い。
 なんというか、無駄がない。本一冊がアトラクションのようだった。いつの間にか本の世界に飲まれるような、そんな純粋な楽しみ。でも、ちょっと危険な感じもあって、読書に慣れている人の方が楽しめるんじゃないかなと思う。

 まだ買ったけど読んでいない作品もあるのだが、次から次に一気読みというのも情緒がないし、もったいない感じがするので、ちゃんと落ち着いた時間が確保でき、読むべき時に読みたいなと思うのである。

 読書といえば秋だけれど、緊急事態宣言、塞ぎがちになるこの時期こそ、積まれた本に手を伸ばす機会だと思って、積読をどんどん崩していこうと思う。
 崩した分だけ、自分の中に何か満たされるはずだ。それが、小説なのだ。

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