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初心者のための天文講座~天体について その3 準惑星~

ここは初心者の方に向けてお話をしています。
中には細かいところの説明を省いたりしているところが多々あります。
そこのところご了承ください。

前回は惑星についてお話ししました。
それではこれまでのことをさっと振り返りましょう。

天体とは、「宇宙空間に存在する天然の物体」のことです。
そして天体は恒星・惑星・準惑星・小惑星・衛星・彗星・外縁天体などに分類されています。
恒星とは、自らが光やエネルギーを放つ巨大なガスの塊で、夜空で輝く星々や太陽が恒星の一つで、惑星とは恒星を公転する岩石・ガス・氷などの天体のことです。
それでは今回は準惑星についてお話していきましょう。

・準惑星について

太陽の周囲を公転する天体のうち、惑星と衛星以外で球形を保っていられる大きさの天体の事を準惑星と呼んでいます。
現在いくつ存在しているのかというと、5個の天体が分類されています。

前回出てきました惑星の並び方の覚え方「水金地火木土天海冥」。
こう覚えていた方は、この準惑星言葉って聞き馴染みがないかもしれません。
それもそのはず、この用語は2006年に惑星の定義付けがなされた際に誕生した用語です。

・定義によって分かれた運命


この定義によって明暗分かれた天体があります
まず暗の方から。

冥王星

謎の存在の冥。これは冥王星という天体の事です。
冥王星はかつては太陽系第9番惑星として認知されていました。しかし、惑星の定義が決められたと同時に準惑星へと分類変更となってしまいました。

理由はいくつかありますが、最大の理由は大きさの影響でした。
なにしろ月より小さい天体である冥王星。惑星とするには力が足りなかった
それは何の力かというと、ここで惑星の定義を思い出してください。

「惑星」とは、
(a)太陽の周りをぐるぐる回っていて、
(b)かなり重くて球形を保っていて、
(c)太陽を周回する時に同じルートを通っている星が他にない天体

ひとつずつ当てはまるかどうか確認します。

まず(a)から。
冥王星は太陽を公転しているため(少々特異ですがこれはまたいつかお話しします)条件は悠々クリアです。
次に(b)。
冥王星は月より小さいと言いましたが、それでも太陽系の中では大きい方に入ります。そして立派に球形を保っていますのでこれも無事クリア
そして(c)。
自身の軌道に他の天体がいるかいないか。
残念ながら冥王星はここがクリアできませんでした。それほど大きくない天体のため、他の天体を自身に取り込んだり、弾き飛ばしたり、砕いたりして排除する力が足りませんでした。

かくして、冥王星は第9惑星の座を追われ、準惑星となり、水金地火木土天海となってしまったのです。

余談ですが、準惑星への降格という憂き目を見た冥王星は、さらなる屈辱を味わうこととなりました。
英語で冥王星は「Pluto」といいますが、それまでは神話上の神プルートや冥王星、ディズニーキャラクターのプルートという固有名詞しかなかったのですが、降格を期に「~を降格させる、~の価値を低く評価する」という意味が加わってしまいました。おそらくアメリカのスラングだと思います。
(アルク 英辞郎 on the Webより https://eow.alc.co.jp/search?q=pluto&ref=sa)

次は明となった天体。

ケレス1

恩恵を受けた天体、それはケレス(セレス)という天体
この天体はかつては小惑星に分類されていました。(実は惑星とされていた時期もあります)
存在する位置は火星と木星の間のアステロイドベルト(メインベルト)と呼ばれる場所。
太陽を公転し、冥王星より小さいとはいえしっかりと球形を保っていたのですが、冥王星と同様に公転軌道上から他の天体を排除できるほどの力が足りませんでした。
こうしてケレスは惑星にはなれませんでしたが、準惑星へと格上げとなりました。

エリス

冥王星・ケレスと一緒に準惑星となった天体はもう一つ、エリスという天体です。こちらは太陽系外縁天体に分類されていましたが、同様に準惑星へと分類されました。

余談ですが、「エリス」という天体はふたつ存在します。ひとつは準惑星エリス。もうひとつは小惑星エリスです。なぜ同じ名前なのでしょうか。
その答えは言語にあります。
英語で準惑星エリスのスペルは「Eris」、小惑星エリスは「Elis」なのです。
日本語になればどっちも同じ表記になってしまうため、ふたつ存在してるように見えたおるのです。

・新しく準惑星に加わった天体

最初に準惑星は5個あるとお話ししました。
残りの2個は2008年7月に認定されたマケマケ、同年9月認定のハウメアです

マケマケ

ハウメア

上がマケマケ、下がハウメアです。どちらも太陽系外縁天体がたくさん存在する場所に位置しており、公転と球形の維持はクリア。やはり他天体の排除ができなかったのです。
ただ、ハウメアは球形というには少々特異で、細長い球形、卵に近い形をしていると言われています。

・準惑星候補たち

今後、準惑星に分類される天体はあるのでしょうか。恐らくはどんどん増えていくと思われます。
準惑星候補たちはまだまだ推測の域の天体が多く、いまのところ73個の太陽系外縁天体が準惑星になれるのではないかと言われています。
なぜ推測の域の天体が多いのかというと、単純に観測が進んでいないためです。
天体の観測は望遠鏡による観測をもとに、計算によって大きさや位置・軌道などを推測させていきます。幸運な天体は観測機が近くを通過した際にデータを取り地球に送信することもありますが、そんなのはごくごくわずかです。何しろそんな遠くまで到達した観測機はたった3台です。

今回記事中の画像で使わせてもらっているのはすべてWikipediaからの引用ですが、このうち画像は冥王星とケレスのみで、エリス・マケマケ・ハウメアは想像図なのです。

しかし過去から今までの間に観測技術の向上によってさまざまな天体が次々に発見されてたように、今後観測技術の向上や研究が進むにつれて準惑星は増えていくと思われます。

・まとめ

今回も変わらず長くなってしまいました。小惑星まで進めたいなんてどの口が言ったのでしょうか。
実はこの記事は二度目の完成なんですが、なぜか完成した下書きが昨夜の状態にまで戻ってしまっていたんです。なぜだろう・・・
で、最初に完成した記事はもっと長かったのです。あと100字くらい。
まあそんなことはどうでもいいですね。

では準惑星についてまとめます。
準惑星とは惑星や衛星以外で、太陽を公転しており、球形を保ててはいるが、公転軌道上から他の天体を排除できなかった天体、ということです。
他天体の排除というのが最大の難関なのですね。

いつもながら2000字以上が数行に纏まってしまうのは、いかにお話の中身が薄いかということですね。

では準惑星については以上にしておきましょう。
次回は小惑星についてお話していきましょう。
それではまた来週お会いしましょう。

ここまでご覧いただきありがとうございます。
ぜひ次回もよろしくお願いします。

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