見出し画像

社員のメンタルヘルスに手をつけなくちゃと思ったら

最近よく聞く話

ちょっと今日は企業の人事部の方、または管理職の方向けに書いてみます。3月になってから立て続けに4件ほど若手社員が休職した、精神疾患が原因となっての退職が起きた、話していて危ないと思う若手がいる・・・などの話を聞く機会がありました。
私の感想としては「とうとう身近にきたか」というものです。コロナ鬱とか自殺者の増加などのニュースを目にした方も多いのではないかと思います。ただ実際にはカウンセリング場面や、カウンセラー仲間内での会話ではコロナ禍におけるメンタル不全の話はよく出ますが、研修や人事部の方との話の中ではあまり聞くことがありませんでした。それが3月に入ってから話を聞く機会が増えてきたのです。
2020年3月、コロナのことが大きな話題になり私の周りでも研修がどんどん中止になっていた時期、一番心配していたのはメンタルヘルスの問題が出ることでした。4月から6月ごろまで無料セミナーでコロナ禍におけるメンタルヘルスの問題を訴えてきました。ただその時は人事の方もテレワークへの移行や研修、新人の配属など対応をどうするかに精一杯で、気になるけれどメンタルヘルスまで手が回らないという方が多かったように思います。
先日日本能率協会様主催で若手社員のメンタルヘルスについての講演でも以前より反応が大きく、実際に困っていることがわかる質問が多くありました。それだけ企業の方々の身近の問題になってきているのではないかと思います。
そこで今日はまずやってみると良いことをいくつかアイデアとして書いてみたいと思います。

コミュニケーションデザインをしよう

組織のコミュニケーションをどうするか?
テレワークが完全または週3日などの部分テレワークを実施している企業で、部下と顔を合わせる機会が減った、webでのミーティングを毎日部下と1対1でやっているが把握できている気がしない、などの話を聞きます。
そこでコミュニケーションデザインをするためのキーワードを2つです。

①コミュニケーションの量を増やそう(質は後から改善)
②1対1ではなく多対多で

この2つです。
①のコミュニケーションの量を増やそうですが、
TAという心理療法に「ストローク」という用語があります。ここではあまり詳細を書きませんが、要するに「あなたのことを見ている、気にしている」という関わりのことです。この「ストローク」で大事なことは、悪いストロークでもないよりマシなんです。人は他者からこのストロークを全く受けない状態を耐えることができません。なのでまずはストロークを増やしましょう。そして増えてからそのストロークの質をあげていきましょう。
今、「孤独」が問題になっています。孤独というのは一人きりでいることではありません。誰かと居たり、一緒に働いていても孤独である、ということがありえます。この孤独、という状況を減らす、なくす、ということをデザインしましょう。

もう一つは②1対1ではなく多対多で、です。
これはコミュニケーションの量を増やそうにもつながるのですが、まず1対1ではそんなに多くのコミュニケーションを取ることができなかったり、取るためには上司側に大きな負担がかかります。そうではなく多くの人が関わりあうことで多くのストロークを発生させましょうということと、色々な人が関わりあうことでお互いの危ない状態を発見する目を多く作りましょうという意味があります。
例えば毎日朝と夕方にオンライン面談を上司と部下が行っています。そこで部下はしっかりしているように見えます、問題なさそう・・・。先輩の1人が急な用事で14時ごろに電話をしてみたら、驚くほどテンションの低い状態で電話にでた、など、ありそうなことだと思いませんか?
毎日決まった時間の報告などでは部下側もそれなりに気を張って、しかもオンラインで顔出して話そうなどと言われていればしっかりした顔で、となります。そういう状態だと部下の異変に気づきづらかったりするのです。
監視し合うということではなく、様々な関わり、様々な目を使ってお互いに関心を持って関わりあう仕組みを作ることをお勧めします。

具体的にこんな仕組みは?

オンラインでの面談、メール以外にもチャットを使っている企業もあります。それもそのままやっていただいて良いと思うのですが、お勧めとしてどこの会社のサービスが良いとかではありませんが、そのイメージだけかきます。
・短い投稿と「いいね」のように簡単に反応を示すことができる仕組み
・相談事や「こういった取り組みしたいけど誰か一緒に」などの募集などがスレッドとして立ち上がっていて、そこで部署メンバーがやっていることや困っていることや考えていることにアクセスしやすい仕組み

この2つは同じサービスでできるかもしれませんし別のサービスになるかもしれませんが、要素としては上記2つを入れるのはいかがでしょうか。
もちろんただ導入するだけではうまくいきませんので、活性化するための工夫なども必要です。

また当然ながら、企業の状況によってやることは変わりますので、それぞれカスタマイズが必要なのは言うまでもなくありません。

他にもできることはたくさんある

今回はテレワーク状況下におけるメンタルヘルスの仕組みについて一つの方法を提示しました。
他にも打てる手は多くあります。
例えばメンター制度やOJTトレーナー制度をどうやって運営するか?
新入社員受け入れ時に役割認識やトレーニングスキルのインプットだけで終わりにしていませんか?
メンターやOJTトレーナーはもっとも近くで新入社員の観察ができる立場です。研修や月報など多くの機会を捉えてメンタル不全の予防につながる打ち手があります。また外部EAPの効果的な使い方もこういった時だからこそ再検討すると良いでしょう。
まずはすぐにできる打ち手から、早めに動くことをお勧めします。

支援者も気をつけよう

もう一つ大事な点として、支援者のケアの重要性も書いておきます。
今回のコロナ禍は局地的な問題ではなく全体的です。誰もがこのストレスを抱えています。しかしながら、人事の方や管理職の方は自分の状態もありながらも社員の方や部下の方をケアしなければいけません。ここには自分のことを置いておいて他者をケアすることのストレスの大きさや、他者のことを考えているために自分に目が向きづらい状態などが存在しています。
会社、組織のメンタルケアを考えるときは、もう一つ、支援者のメンタルヘルスについても目を向けていただけるようお願いします。

いかがでしょうか。
今日は人事の方、管理職の方向けに書きました。もし皆さんの周りにこの記事を見たほうが良いんじゃないか?と思う方がいらっしゃいましたら、お勧めしていただけると嬉しいです。
コロナ禍のメンタルヘルスに取り組むことは単に休職や退職防止のためだけではなく、会社として次の動き、次の一手を打つために組織をより良い状態に保つための活動です。ぜひ一度ご自分の組織を見直していただけますようお願いします。

もしもう少し詳しく話をしたいという方はご連絡ください。
少しでも働く人が楽に気楽に働けるよう支援していきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?