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SNSにも使える!日本語の作文技術まとめ


▼目次
最初に
修飾の順序

無神経な文章

最初に

 まず第一に本書で扱う文章について言及する。ここでの文章は文学的な文章は対象としないこととする。本書での目的は「読む側にとってわかりやすい文章を書くこと」。言葉の芸術や文学的なセンスの世界とは思考を切り離し、「実用的」な文章のための作文技術を考えていきましょう。

修飾の順序

 文章の誤解を生んでしまう多くの原因として修飾語の存在があげられる。修飾語は修飾すればするほど、その文章を彩り豊かに写実的にあらわすことができる一方、どの修飾語がどこにかかっていくのか読み手を惑わせる要因となることが多い。
 下の例文を見てほしい。
🅰 ライトを消して速く止まらずに走る。
🅱 ライトを消して止まらずに速く走る。
上記は、同じ内容の文の語順を入れ替えたものだが、これだけでも文章の印象が大きく変わり、明らかに🅱の方が誤解が少ない。この誤解を防ぐためのひとつの方法として長い修飾語は前に、短い修飾語は後にするというものがある。例文では文章では、「ライトを消して」「止まらずに」「速く(走る)」の順に修飾語が長いことになる。そのため、長い順とおりに並べている🅱の文章が読み手としてはひっかかりがなく読みやすい文章となっているのである。

無神経な文章

1 紋切文(もんきりがた)
いわゆる定型文とされる決まり文句のことで無意識に使っている書き手があまりにも多い。例えば、「足もとにも及ばない」「唇を噛む」「嬉しい悲鳴」「顔をそむけた」などを指す。こういった言葉たちは書き手が繊細に描写をする努力をしなくとも読み手に伝えたいことを伝えることができ、さらに書き手にはかっこよい文章が書けている気がさせるものの一種である。紋切型とは、誰かが使い出し、それがひろまったものであり手あかで汚れている言葉だ。これを要所要所で使用すれば、表現に苦しむこともなく、思考と時間の節約が可能になる。しかし、紋切型を使えば使うほど文章はマンネリと化し、自分の実感に伴わない、あり合せの文章となってしまう。さらに言えば、紋切型を使うことによる事実の誤りにも気付かなくなってしまうのである。

2 笑っている文章
ブログやSNSで見られる文章に多いのがなんとかおもしろく書こうとする気持ちがそのまま表面に出てしまっている文章である。こういった文章はおもしろいのは書き手だけであり、読み手は不快な思いしかしない。落語を例にとるとわかりやすい。
 落語の場合、「おかしい」場面、つまり聴き手が笑う場面であればあるほど、落語家は「真剣に」「まじめ顔」で演じる。観客が笑い転げるシーンでは落語家は絶対に笑ってはならない。お笑い芸人でも同じことが言えよう。「松本人志のすべらない話」でオチの前で自分の話に対し笑っている芸人を見たことがあるだろうか。芸人たちは笑わせようともしていないように見える。自身が体験したおもしろい話を詳細に、念入りに、事細かに伝えることができる芸人が結果的におもしろい話をしているように見える。
 例を文章に戻そう。例えば「5分毎にアクビが出て」という文章は明らかにウソが見えてしまう。アクビがたくさん出たのであれば「いつもより一層あくびが出て、たぶん少なくとも2~3分に一度、多いときでは30秒に一度あくびが出るほどだった」とすれば笑っている文章ではなくなるだろう。
 筆者が感じたおもしろさや美しさの素材を読者追体験できるように再現をすることによって、良い文章となるのである。





 

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