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現代フランス料理の魅力とは?【前編】

美食のヒントはパリのメトロから!


フランス料理を愛してやまない料理人ならば一度は訪れてみたいと願うであろうフランス最大、そして世界有数の大都市パリ。

魅力あふれる観光スポットに、星付きレストランを始めとする多くの素晴らしいレストランが数多く点在しているのは料理人でなくても承知の通りである。

そんなパリを満喫するための移動手段は、公共バス、タクシー、レンタル自転車、そしてゆっくりと時間に縛られることなく徒歩でパリの裏道を散策すると楽しい時間を過ごせる事は間違い無いだろう

もし日本のフレンチ料理人の方が、パリを訪れる機会があるならば、一度はメトロを利用していただきたいと私は思います。

その理由はなぜかって?

安いから?
んぅ〜、そうでもないかなぁ?

時間通りに目的地の駅にたどり着くから?
毎回そうであってほしい!

それともオシャレで快適だから?
んー微妙。。。
確かにそのような路線もありますがそれはほんの一部ですし、まぁ快適さは路線によりますね。

それにパリのメトロにはプロのスリ集団が多く、決して安全とは言い切れません。
(私もすでに3回ほどスリの被害に遭ってます。運良く?お財布は毎回戻ってきましたが。。。すごく気をつけていたので、結構ショックでした)

それでも私がフレンチ料理人の方にメトロを勧めるその理由は、パリのメトロには現代フランス料理の本質、そして美食のあるべき姿を理解するためのヒントが隠れているからです。


フランス料理のイメージ


私が初めてパリを訪問したのは、東京のレストランに勤めていた頃の2009年の9月。

翌年の2010年3月にはワーキングホリデーを取得し渡仏をする計画をしていた時期でした。

当時勤めていた職場の先輩と一週間の休みを利用して、私にとって強い憧れのあるフランス・パリを初訪問。

目的はもちろん本場のフランス料理を味わうこと、そして当時まだ私にとって未知の存在であった星付きレストランで食事をすることでした。

5日間のパリ滞在中に、食事に行った星付きレストランは三軒

一軒目は当時ミシュラン三つ星のシェフ、ヤニック・アレノ氏が率いるムーリス。

二軒目はシャンゼリゼ通りにあるレストラン、ルドワイヤン
シェフ、クリスチャン ル スケール氏
はルドワイヤン創業以来初めてレストランにミシュラン三ツ星をもたらした。

そして私が料理の世界に入ってから長く憧れの存在として、いつか必ず食事に訪れてみたいと願っていた三軒目のレストラン。

日本のフレンチ料理人ならば誰もが知る、シェフ、ベルナール・パコー氏率いるランブロワジーはフランス料理の王道中の王道。

(この時の食事体験の記録や写真は10年以上も前になる古い話ですが、また次の機会にでも写真を載せて書きたいと思います。)

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ランブロワジーにはメニューがありません。

全てア・ラ・カルトと呼ばれる単品料理のみ
を提供するお店としても有名。一皿平均100ユーロ!!もちろんそれ以上する単品料理もたくさんあります。

それでも、当時の私は値段など気にすることなく、王道のフランス料理を自分の舌で味わってみたかった・・・

っと書きましたが、ランブロワジーでの食事体験の記憶をたどりながら、この文章を書いている途中で、思い出したことがあります。

当時私が勤めていたレストランは東京の京橋にあるシェ・イノのグループ。
オーナーの井上シェフが、我々が休みを利用してパリの星付きレストランで食事に行くと聞き、パリ滞在中のレストランでの食事費用の一部を、井上シェフから援助していただいていたことを思い出しました。

おかげさまで、当時のパリ訪問時にはレストラン以外にも多くの見聞を広げる事ができ、私自身、現在も沢山のことに挑戦できる環境が存在するのは、当時のパリでの訪問体験が少なからず活きているからだと感じております。

井上シェフ、ありがとうございます!!!

さて、少し話がそれてしまいましたね。本題に戻ります。。。

星付きレストラン以外にも、パリ滞在中に訪れたレストランは日本人がイメージしやすい

【これぞフランス料理】

と、当時私が思っていたレストランを中心に選び食事しました。

当時の私にとってフランス料理とは、

①伝統的な調理法をもとに、高級食材を始めとするフランスの食材を中心に使って調理された料理。

②フランス郷土の伝統料理を忠実に再現された料理を提供するレストラン

この①、②をいずれか、もしくはそのどちらも兼ね備えている料理こそがフランスにおける本質的なフランス料理店だと思っていました。

初めてパリを滞在した時はもちろん、フランスに住み始めてから暫くの間は、①や②のような料理が味わえるレストランで食事をすることを心がけていました。

その理由は、フランス料理の知識や食事体験の経験値が浅かった私にとって、フランス料理の味のイメージを自分の頭の中で描けるようになりたかったからです。

なので当時の私はフランス人シェフによる、フランス料理の歴史やフランスの食材が使われて調理されてるフランスの料理が味わえるお店を優先してレストランを選択していました。

(ちなみに料理人は料理を作る際にレシピが既存のものでも、または全く新しいものを生み出す調理でも、頭の中である程度、自分の作りたい味の方向性を描いています。作りたい味わいをイメージできないと美味しい料理を作る事は困難ですからね。それはソムリエの方も一緒だと思います!)

フランス料理を食べに行く=当時の私がイメージするフランス料理が食べられるお店

っということです。

オーベルジュ カルト 1





そんな私も今年で在仏暦10年を迎え、港町の近くの小さな町に現在は住んでいます。


ワインラバーの私にとって今でも年に1,2回は地方では入手の難しいワインの購入、そしてパリで評価の高いレストランやパティスリーを訪れる目的にパリを訪れます。

時間に余裕のある時は、エッフェル塔に凱旋門、そしてルーブル美術館などの観光名所を訪問し、パリ市内の観光も同時に楽しむ事も怠らない。

こういった観光名所は、何度言っても楽しめるものです。

20区からなるパリ市内の移動手段は、メトロと呼ばれている地下鉄を利用することが多いです。
複雑なバス路線や、渋滞のリスクのあるタクシーなどは、観光目的で時間に制限のある時には、私は利用することは少ないです。

パリ観光の目玉になっているところの訪問は、地下鉄でスムーズに移動できます。パリジャン・パリジェンヌと呼ばれているパリ市民はもちろん、海外からの観光客も訪れる際にはとても便利な交通手段のひとつだと思います。

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移民大国フランス

ボルドー・パリ間を結ぶ高速鉄道TGVの移動時間が3時間から2時間で移動が可能となったその年に、パリで行われる日本酒のイベントに参加するため、私はパリを訪れていた。

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当時ボルドーに住んでいた私は、朝早くから身支度をして自宅を飛び出すように出発しました。理由は単純、寝坊したからです。

ただ自宅から、それほど距離を感じないボルドーの主要駅、サン・ジャン駅までは、なんとか出発時間10分前には到着することができ、TGVに急いで乗り込んで到着駅であるパリのモンパルナス駅を目指しました。

パリ到着駅のモンパルナス駅には、ちょうどボルドーを出発してから2時間を少し過ぎた時刻に到着。TGVを降りて日本酒のイベント会場を目指すべく、私はパリの地下鉄、メトロを利用しました。

日曜日の正午過ぎでしたが時間帯や曜日に関わらず、利用者はとても多いのがパリのメトロ。

メトロに乗り込み、日本酒のイベント会場に近くの駅まで向かう車内は、非常に混んでいました。車内は多くの人がつけているそれぞれ異なる香水の強い香りが入り混じり、決して心地よい空間とは言えません。

香りを振り払うかのように、周りを見渡すと移民大国であるフランスを象徴する、アラブ系、東南アジア系、中東系にアフリカ系、もちろん私を含むアジア系と、肌の色から髪の色がそれぞれ異なっているのがひと目でわかります。

そして時折聞こえてくる会話は、理解できない言語で交わされ私の耳まで自然と届きます。

島国の日本では友人、近所の人、上司や顔見知り程度の人でも、生まれた土地や生活環境食べてきた物や言語肌、髪色などのバックボーンが大きく異なることは非常に稀なことだと思います。

日本で生まれ育った日本人の私にとって、その光景は、パリを訪れるたびにとても印象的に映ります。

それはメトロの車内に限らずパリの街並みを歩いていても同じことですが、あのメトロの狭い空間に多くの人が乗り込む車内では、その印象はまた少し異なってきます。

パリのメトロだけでもこれだけの人種が、必ずといっていいほど入り交じっている。その背景には、悲しい歴史やフランスの経済成長を支えたと言う事実もあります。

様々な人種の入り交じる車内から目をそらして、何も見えない暗い車窓を暫くただただ無意識に眺めていました。

会場近くの駅まであと何駅ぐらいだろうか?っともう一度目線を車内に戻した時でした。

私はハッとさせられました。

「あぁ〜なるほど。これがフランス料理なんだ。これがフランス料理の本質で、そして現代フランス料理の魅力なんだよなぁ!」っと。

その瞬間少し確信にも似た感覚であったことをよく覚えています。

フランスで料理をしていて自分自身、長らく腑に落ちなかった部分がようやくその光景から、自分の料理の方向性、そして料理の楽しさや自分自身の魅力の輝かせ方を知るきっかけになった瞬間でもありました。

そのメトロの車内での光景は、私の脳裏に今でも強く焼き付いているのは言うまでもありません。

それでは今日はここまで!
続きは【現代フランス料理の魅力とは?中編】にて!

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Chef Ichi

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