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アマガエルセラピー 18

新しもの好き

 カエルのためを思って新しくやったことに相手がきちんと応えてくれたときは、本当にうれしいものです。例年11月になると寒風をしのげるように、浜辺で拾ってきた竹を切って作った竹筒シェルターをカポックの枝のあいだに設置します。翌朝、早速その中で休んでいる子を見つけ、やったーと気分が上がります。

 そのひと月後、そろそろ冬眠対策をとるべく、カポックの鉢にペルー産の水苔を敷き詰めます。飼育されているアマガエルは水苔に潜って冬眠するのを知り、船来の水苔なんて見たことのない野生児でも潜ってくれるかなと最初半信半疑でしたが、いなくなったと思ったら水苔の欠片を身体につけて水場に現れ、めちゃうれしくなるのでした。ちなみに潜り方にも個性があって、頭から潜るタイプとお尻から潜るタイプに分かれます。

 観察していてわかったのは、どうやらアマガエルには新しもの好きの傾向があるようです。しばらく家を空ける際、水場にしている肥料差しの隣に、同じように井戸水で満たした色違いの新品を置いたことがありました。すると、不思議とみんな新しいほうに浸かりたがるのです。古いほうが空いているにもかかわらず、新しいほうが空くのを行儀よく待っていたりして。

 ほかにもたとえば、カエルが乗るのに最適な大きさと厚みのある葉っぱを基準に選んだ観葉植物の鉢を、新しくベランダに置くとします。十中八九、こちらの思惑どおりに、翌朝その葉っぱの上で暢気に休んでいる姿を撮影することができます。夜中にパトロールして見かけない鉢を発見、とりあえず乗っかってみたら、なかなか居心地がよろしいので、ここで休むことにしよう。そんなストーリーが浮かびます。

 カエルが新しもの好きで好奇心旺盛なのは、環境の変化を楽しめる、つまり環境適応能力が高い証拠なのかもしれません。

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