見出し画像

「おうちでアイドルソングを作ろう」まとめ

ついに完成しました!

ついに「おうちでアイドルソングを作ろう」プロジェクトの楽曲「キラキラキラリ☆」が完成しました!
アイドル20人、製作チーム10人による大掛かりなプロジェクトとなりました。
しかも、ボーカルレコーディングはアイドル自身による自宅録音で行いました。iPhoneでの録音、不安もありましたが、こうして形になったのは、参加アイドルたちのがんばりのおかげです。

このプロジェクトの目的

このプロジェクトの目的は、ただたくさんのアイドルと曲を作るということではありませんでした。
コロナ禍でライブができず、活動が配信だけになってしまったアイドルとファンたちに、ある程度の期間継続的に楽しめ、一緒に作り上げていく、そして成長していくストーリーを提供するということでした。
そして、完成した楽曲は、そのストーリーをまといながら、その後の活動で自分たちがファンと一緒に作り上げた楽曲としてパフォーマンスしていけるものにしたかったのです。
そのためには、費用が発生しないプロジェクトにする必要がありました(原盤権がどうのという話にしたくなかったので)
制作チームはもちろん、参加するアイドルたちも無償で参加してもらうことを条件としました。
そのために、基本的に僕から声をかけて参加してもらうという形にはせず、やりたい人に挙手してもらうという形にしました(さすがに、仕事として普段活動されている方に無償でお願いします! とは僕からは頼みにくかったので)。
Twitterで

こんな投稿をしたところ、たくさんの方からご連絡をいただきました。ギター弾きます、ベース弾きます、ミックスします、マスタリングします、映像作ります、振り付け考えます! などなど。
全員にお願いはできなかったんですが、とてもありがたかったです。

プロジェクトの進め方

プロジェクトの進め方に関してはこちらで書いたとおりです。

基本、僕からの情報公開はせず、参加アイドルさんの口からファンの方たちに伝えてもらう形にしました。
そのため、つどつどメールにて現在の状況と、それを解禁するタイミングを伝えました。やりとりが煩雑にはなりますが、今回のプロジェクトではこのやり方が一番合っていたのではないかと思っています。

どんな曲を作るのか

どんな曲を作るのか、ここからアイドルのみんなに参加してもらうことにしました。
そのために、こんなアンケートを作成しました。

Q1:一番好きなアイドル曲はなんですか?
Q2:どんな 曲調が良いですか?(明るい曲、かっこいい曲、あの曲みたいな感じなどなど)
Q3:恋愛系の歌詞、メッセージ性のある歌詞どちらがよいですか?
Q4:アイドルを表すオノマトペ(擬音)は?
Q5:「お家ですごす」でイメージする色は?
Q6:喜んでいる友達にひとこと伝えるなら?
Q7:悲しんでいる友達にひとこと伝えるなら?
Q8:#おうちアイドル の中で自分は何色担当だと思う?
Q9:自分を食べ物に例えると何?
Q10:#おうちアイドル のキャッチフレーズを付けるなら?
Q11:ズバり、今回の曲名は何?!

このアンケートの回答をアイドルとそのファンで考えてもらいました。
僕らが、曲調を提示するのではなく、みんなで作り上げた方が楽しいですし、普段はなかなかできない経験ですし!
回答をもとに
「明るくて楽しくて盛り上がれるメッセージソング」
を作ることが決まりました。

作曲

作曲とアレンジは僕がひとりでやるつもりだったんですが、最近、一緒にコライトしたりしている吉村彰一さんが「ギター弾きます!」と挙手してくれまして、でも、ギターはnipotanに弾いてもらう予定だったので、「一緒にコライトしませんか!」と持ちかけてみました。
その結果、とても素敵な化学反応が起きたと思います。

最初に僕が作ったこのデモを、吉村さんが手を入れてくれたのがこちらです。

かなり変わりましたよね。自分にできる以上のものが作り出せるのがコライトの面白いところです。

作詞

作詞は、いつも僕と一緒に曲作りをしているまいさんにお願いしました。
アンケートの回答をもとに歌詞を書いてもらいました。
現在の状況から、どうしても暗めにいきがちな歌詞にNGを出しつつ、進めていきました。
タイトル「キラキラキラリ」は割とすんなり決まったんですが、もっと! もっと! 明るく元気な感じで! ということで最後に☆をつけました。

まいさんの試行錯誤はここから見ることができます。

アレンジ

今回、ボーカルがどんな状態で録音されてくるのか未知数だったので、アレンジも音を詰め込んで情報量が多い感じにしました。ボーカルに多少のノイズがあっても気にならないように!

画像1

2Aや落ちサビのエモいピアノは吉村さんが弾いてくれました。吉村さん、ドラマーなのにギターもピアノも弾けるんです! ずるい!
ギターは、おなじみnipotanにお願いしました。

アレンジは、いつもやっていることなので、特に問題もなくサクッと終了です。

仮歌

アイドル楽曲の仮歌では必ずボーカルさんにお願いすることにしています。ボーカロイドを使うことはありません。
昔、ボーカロイドで仮歌を入れて渡したところ、そのアイドルの歌い方が、妙にボカロっぽい無機質な感じになってしまったからです。
今回は、特にアイドル20人という大人数で、しかも宅録ですから僕がボーカルディレクションをすることもできないので、僕の意図がしっかり反映された仮歌版音源が必要でした。
仮歌は、僕のツイートに挙手してくれたアネモネ・モーニアンさんにお願いしました。アネモネさんには過去にコンペの仮歌をお願いしたこともあります。正確な歌唱、華やかな表情の仮歌がいただけました。

ボーカル録音

本プロジェクト最大の壁が、このボーカル録音でした。
通常、アイドルのボーカル録音はレコーディングスタジオで、エンジニアさんによって行われます。
歌うことだけに集中していれば良いのです。
しかし、今回は違います。
自宅で、ひとりでレコーディングしなくてはいけません。
もちろん自宅にレコーディングに必要な機材が揃っているわけではありません。
使えるのはiPnoheだけ。これを前提にレコーディング方法を考えました。
iPhoneでのレコーディングには勝算がありました。僕の本業の方で、プログラマとしてお手伝いしている、nanaというスマホアプリでは、iPhoneで録音された曲が多数投稿されているんですが、そのクオリティがかなり高いのです。

そして、iPhoneではGarageBandが使えます。
GarageBandはDAWとして十分な機能を持っているので、オケを聞きながらのボーカルレコーディングが可能です。

レコーディング方法をどうやって参加者に伝えたらいいだろうと考えていたときに、こちらの記事を見つけました。

この記事の通りにやってもらえればなんとかなりそうです。

この記事に補足する形で、このPDFも送りました。

録音は思ったよりもうまくいきましたが、いくつか問題もありました。
・提出音源にカラオケの音が入ってしまっている(たぶん、イヤホンをせずに録音した)
・エフェクトが入ってしまっている(以下のPDFを送って修正してもらいました)

そんな問題はあったものの、思っていたより高音質なデータを受け取ることができました。

そして、全員がちゃんと歌えていました。これは、早めに仮歌版を渡して練習してもらい、レコーディングも締め切り直前でバタバタしないように、事前に練習しておいてもらったこともあると思うんですが、自分で録音して確認して自分の納得がいくまで録り直しができたというのも大きいのではないかと思っています。
通常のレコーディングでは、アイドルの喉の調子が悪くなるのを避けるため、極力少ないテイクでOKを出すことが多いです。そのため、本人が必ずしも満足していなくても、エディットで修正することを前提にOKを出してしまうこともあります。
しかし、今回は自分の限界まで追いこんで録音ができたのではないかと思っています。
これは、とても良い経験になったのではないでしょうか。

歌割り

どのパートを誰が歌うのかを決めることを「歌割り」といいます。
今回は20人もいること、録音の品質が高くないことから、基本、ユニゾンとすることにしました。それに、家で一人で歌っていたけど、いつも誰かと一緒に歌っているというのは今回のプロジェクトの趣旨としても良いんじゃないかと思いましたし。
歌割りは、まず、パートを分けるところから始めました。

画像2

ボーカルトラックがカットされています。これがそのパート分けになります。
サビは、全員でのユニゾンと決めていたので、ここは悩むことはありません。
Aメロ、Bメロ、Dメロの歌割りを決めていきます。
まず、各パート内で、ノイズがひどいもの、譜割を間違えているものをまず省きます。そして、そのパートの人数を決め、今度はそのパートに合うボーカルを残して、他を消していくという作業を全パートで行いました。
レコーディング環境で、ノイズが多い人は、どうしても最初の段階で消えてしまうことが多いので、逆にそういう人は、ノイズが目立たないところを優先的に使うという方針にしました。
普段の歌割りとは違う考え方で決めなければいけなかったので、なかなか大変でした。20人分ですし!

ミックス・マスタリング

そして、今回のプロジェクトの次なる山場が、このミックスでした。というか、正確にはミックスの前のエディット、ですが。
送られてきたボーカルはディレクションをしていないので、それぞれ揺らぎがあります。音程やタイミングを揃えるためにエディットをするのは絶対です。それも、20人分行わないといけません。
この大変な作業を「やります!」と言ってくれたのがyumaさんでした。
20人分のボーカルをエディットし、オケとうまく調和させていきます。特に今回サビでは20人のユニゾン、平歌では3人のユニゾンみたいな感じで、人数差も大きいので、これを違和感なく聴けるようにする必要もあります。
この大変な気の遠くなるような作業を、yumaさんはほんの数時間で行ってくれました。神か。
もちろん、ミックス、マスタリングのクオリティも完璧です。
以下の6ファイルを納品してもらいました。

・完成版(44KHz/16bit)
・カラオケ(コーラス入り)(44KHz/16bit)
・インスト(コーラスなし)(44KHz/16bit)

・完成版(未マスタリング)(48KHz/24bit)
・カラオケ(コーラス入り、未マスタリング)(48KHz/24bit)
・インスト(コーラスなし、未マスタリング)(48KHz/24bit)

マスタリング済みのものは、そのままCDに焼けるように44KHz/16bitで、未マスタリングのものは、他の曲と一緒にCDに焼くときに再度マスタリングができるように48Khz/24bitでもらっています。

MV

最初は音源が完成したら、僕が適当な動画をつけて公開すればいいかなと思っていました。
しかし、映像ユニット「いぬTねこ」さんが映像作成に挙手をしてくれました。
今回は、ライブアイドル、Vtuberアイドルと次元も超えているので、家で歌っているところを動画に撮ってもらってそれを組み合わせて動画を作るというわけにはいきません。
そこで、リリックビデオとして制作してもらうことになりました。
椎茸さんに「おうちアイドル」ロゴと曲名のロゴを用意してもらったので、このロゴの5色を活かした映像にしてもらうことに。
僕とまいさん、いぬTねこさんの4人でzoomにて打ち合わせをし、動画の方針を決めました。
イラストはいぬTねこさんのお知り合いの728墨さんの手によるもの。いぬTねこさんも一部のイラストを描かれています。
カラフルで明るく楽しい気持ちになる素晴らしいMVになりました。
個人的にサビ前の☆(というかキラキラ)が参加アイドルの人数と同じ20であることと、転調前にブルーインパルスが飛んでくるところが最高にエモいです。

おわりに

4月中旬からスタートした本プロジェクトですが、1ヶ月半でMV完成までたどり着くことがでいました。
参加アイドル、製作陣、ファンの皆さんおつかれさまでした! ありがとうございました!

このプロジェクト自体はここで終了ですが、「キラキラキラリ☆」はこれからも生きていきます。
全員バージョンの「キラキラキラリ☆」をCDにして販売されることもあるでしょう。
それぞれのアイドルがレコーディングをしなおして、それぞれのオリジナル曲としてCD販売、配信などを行うこともあるでしょう。
そして、時期が来れば、この曲をライブでパフォーマンスすることもあるでしょう。

なんだかへんてこな春でした。でも、こんな春だったからこそ、こんな曲を作ることができました。
いつか雨は止みますし、虹も出ます。
その日を思いながら、前に進んでいけたらと思います。

スタッフ

ボーカル
朱眼マナツ(Que.)
倉瀬佳凛(うたた寝シエスタ)
るる姉%
池田朱里(PARADISCIEL)
森ふうか
飯田結万(純粋カフェ・ラッテ)
藤咲なのは(純ラテ研究生)
天久舞子(RYUKYU IDOL)
こうあ(RYUKYU IDOL)
まり(RYUKYU IDOL)
園田はる花(RYUKYU IDOL)
しゅり(RYUKYU IDOL)
七海ロナ(Palette Project)
暁月クララ(Palette Project)
遠坂ユラ(Palette Project)
常磐カナメ(Palette Project)
藤宮コトハ(Palette Project)
雨ヶ崎笑虹(Palette Project)
神菜コハネ(Palette Project)
江波キョウカ(Palette Project)

プロデュース:CHEEBOW
作詞:まい
作曲:CHEEBOW、吉村彰一
編曲:CHEEBOW
ギター:nipotan
仮歌、コーラス:アネモネ・モーニアン
ミックス、マスタリング:yuma
デザイン:椎茸
MV制作:いぬTねこ
MVイラスト:728墨・いぬTねこ




よろしければサポートをお願いします。励みになります!