投資で大切な「二次的思考」

投資の神様ウォーレン・バフェットが絶賛している、ハワード・マークス著『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識 』を読んでみた。
ウォーレン・バフェットが投資の本を絶賛することは珍しく、ビジネスを進めるためにも、投資家的な考え方を知っておくことは大切かもしれないと思ったのが、この本を手にした理由である。

本書を読んで一番大切だなと思った考え方が、「二次的思考」という考え方だ。
「二次的思考」という言葉は何度も本書に出てきており、超一流の投資家であるハワード・マークスさんご自身も大切な考え方だと思っているのではないかと私は推測している。

簡単に定義を説明すると、

「二次的思考」とは、何かある出来事が起きたときにその次に何が起こるのかを考えることである。

先見の明がある経営者や起業家、投資家ほど持っている考え方なのではないかと私は思う。

この本を通じて「二次的思考」という考え方を学んだあと、私は『ドラゴン桜』で有名な三田紀房さんの『インベスターZ』というマンガを読んだ。
『インベスターZ』は、札幌の中学生が学校の投資部に入り、投資を学んでいくというストーリである。
『インベスターZ』に、「二次的思考」に関してのエピソードが紹介されており、非常にわかりやすかったため紹介させていただく。

そのエピソードとは「アメリカのゴールドラッシュで一番儲けたのは誰か?」というエピソードがある。
念のため、ゴールドラッシュについて説明しておくと、19世紀のアメリカ西海岸で金脈が見つかり、一攫千金を目指して数十万人もの人々がアメリカ西海岸に移動し、金の採掘に沸き立ったというのがゴールドラッシュである。

『インベスターZ』では、主人公が先輩から「このゴールドラッシュで一番儲けたのは誰か?」と聞かれるシーンが描かれている。
この質問への答えは「金の採掘を必死に行っていた探鉱者」だろうか。答えはNOである。
金の採掘で一攫千金を目指した人の多くがアメリカ西海岸についたときには、すでに金があらかた採掘されておりほとんど儲けることできなかったそうだ。

正解は「探鉱者に向けてスコップを売った人々や鉄道を敷いた人々」である。
つまり、ゴールドラッシュによって次に来る需要を予測し、ビジネスを立ち上げた人々が一番儲けたのである。
彼らはゴールドラッシュという一次情報から、「探鉱者はスコップや鉄道、宿が必要になるな」と二次的思考を張り巡らせてビジネスを立ち上げて成功していった。

このエピソードからも「二次的思考」を持っておくということは非常に大切だとわかる。

ただ、どうやってこの「二次的思考」を育んでいけばよいのだろうか。
私なりの答えは2つである。

まず1つ目が、日ごろの情報収集である。
東京大学教授の加藤陽子さんがご自身の著書『この国のかたちを見つめ直す』の中で、困難な問題へ対応するための初動として「現状の状況を正しく知る」ことが大切だとおっしゃっていた。
「二次的思考」を張り巡らせようにも、前提となる「一次情報」が誤っていたらどうしようもない。
そのため常に最新の情報をキャッチアップして、正しい情報を頭の中にストックして置くのが大切だと思う。

次に、「今の状況が続いたらどのようになるのか」・「今の状況が続いたらだれが得するのだろうか」・「今の状況が続いたらだれが損をするのだろうか」と未来に関する問いを自分に投げかけてみて、答えを出していくということである。
漠然と「二次的思考」をやってみようと思っても、なかなか考えられないというのが実態だと思う。
そのため、上記の質問を投げかけてみて、無理やり答えを出すという訓練を繰り返すことが大切だと思う。
その際、紙に書き出してみると自分の思考の整理ができ、次にどういった情報を集めなければいけないのかが明確になるので紙に書き出してみるのがよい。

「二次的思考」について偉そうに語ってみたものの、全然できていないので私も日ごろの情報収集と自問自答を通じて「二次的思考」力を養っていきたい。


今回読んだ本:

『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』 著: ハワード・マークス

『インベスターZ』 著: 三田紀房

『この国のかたちを見つめ直す』著:加藤陽子


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