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『アンテベラム』 ジャンル映画として申し分ない面白さ ※微ネタバレ注意


アンテベラム
Antebellum


監督
ジェラルド・ブッシュ
クリストファー・レンツ

出演者
ジャネール・モネイ
エリック・ラング
ジェナ・マローン
ジャック・ヒューストン

 人種差別の恐怖をホラー映画に綺麗に落とし込めているホラージャンル映画として申し分なく面白い映画でした。

 導入部を大まかに説明すると、南北戦争前夜のルイジアナの綿花農場にて黒人奴隷として労働を強いられているエデン(ジャネール・モネイ)は、仲間の脱走に協力してしまい焼印を入れられてしまう。その後、連れてこられた黒人奴隷の仲間も自殺してしまい、ついにエデンは脱走を決意するのだが...?
そして150年以上たった現在のニューオリンズ。社会学者のヴェロニカの周囲に異変が起き始める...。

 導入部で話した通り、非常にトリッキーな構成になっているが、『ゲット・アウト』等でおなじみの一連のジョーダン・ピールの作品のように「ギミック」重視の作品ではないので、そこに重きを置いてみると興が醒めるかもしれない。
だが、その「ギミック」がない分、ホラー映画としてより洗練され、より白人の支配構造から来る「畏怖」を痛烈に感じることができると私は思います(ついでにいいますと別にジョーダン・ピール作品が嫌いなわけではないです。どれも面白い!!!)。
 特に恐怖を感じた点として、序盤の長回しショットは特筆すべき。これみよがしに技術をドヤ顔で見せつけるような撮り方ではなく、あくまでじっくりと当時のアメリカ南部でのアフリカ系アメリカ人が受けてきた「恐怖」を描き続けるので非常に素晴らしい。だからこそその後のシーンの恐怖度も増すし、ラストの溜飲が下がるったら下がる。

 前述した通り、非常に無駄な部分を削いだ洗練された作品で、物足りないという方の意見も分かりますが、僕は差別的抑圧から来る恐怖を描いた「ホラー」映画として申し分ない面白さでした!おすすめ!!


予告編↓
(真っ新な状態で挑みたい人は見ない方がいいかも!)

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